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保科
2025-12-27 13:09:40
1366文字
Public
スタレ
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あったかもうふ
現パロアグサフェ 短い
「ライア、ただい、ま
……
?」
暖かな部屋が出迎えてくれる、という楽観的な予想とは違って、部屋は薄暗いまま、付けっぱなしらしい空調だけがゴンゴンと唸っていた。
躊躇い気味に口にした呼びかけに、部屋の奥、机と向かい合ったままのアグライアが、はい、とぼやけた返事を返す。
「
―――
」
迎え入れるロクな言葉もなく、こちらに視線も寄越さない雑な態度。あたしは早々に、彼女の限界を察知する。
作業部屋に無造作に散らばる布切れ。片付けを怠った秩序のない机。床に広げられたままの設計図。あとで何とかしないと、とそれらを眺めつつ、眉間にシワを寄せて問いかける。
「ねえ。
……
あんたさ、何日寝てないの?」
「
……
いえ、半刻ほど寝ました」
――
それは返事になってないっての。思わず、ため息をついた。大学サークルの旅行で数日、ちょっと彼女の元を離れただけで。まさかここまで自堕落
――
言葉面と実態は離れているけれど、自己管理を怠っている様はまさにそうだ
――
になろうとは。
『昔』からそうだったのか、生憎とあたしはよく知らない。いかんせん、あたしの記憶に強く残っているオンパロスのアグライアは、指導者としてある程度自身を律し始めていた頃の彼女だ。こうして立場から解放されたアグライア、というのは、この世界で再会してから知り始めた存在になる。それにしたって、趣味人が趣味に没頭するとこんな始末になってしまうとは、案外アグライアには為政者の仕事をさせておいたほうが身体にいいのかも、なんて思えてくる。
呆れ半分、黙りこくったあたしから返事がないのに飽きたのか、再び疲れを知らないようにテキパキと動き出した手先に、見ていられないと、あたしは水を差すように口を開いた。
「ライア、今、何してるの?暫く納品ないって言ってたよね」
「すみません、あと少しなので」
「ライア」
「なんです、か
――
」
曖昧な返事に、明らかな苛立ちが混じる。
あたしが繰り返し名前を呼ぶものだから、アグライアが僅かに手を止めて、こちらに振り向いた。目の下に刻まれたくっきりとした隈は何よりの寝不足の証拠で、彼女の無理の度合いを悟ったあたしはおもむろに手を伸ばす。
――
頑なな彼女を寝かせるための方法を、あたしは、一つだけ持っている。
ぎゅ、と抱きしめた彼女は酷く冷たくて、その身体は鉛のようだった。普段の香水の香りはすっかり薄れていて、趣味の風呂すら怠っているようで。幾分彼女自身の体臭が強く感じられるのは、正直な所好ましいと思ったのは秘密だ。
「
―――
?ぁ
――
セファリア、なに、を、
………
」
抱きしめられた、と、理解するのが遅れたのか。不思議そうな声が、空気に溶けるのと合わせて、アグライアの体がくたりと弛緩する。艶を失った金の髪が、頬を撫でながら滑り落ちる。
「
……
うっわ、一瞬じゃん」
どれだけ限界だったんだ、と思わず笑っちゃう。
アグライアはどうにもあたしの体温に弱いのか、何故か抱きしめるとよく寝れる、らしい
……
と聞いたことがある。
……
あたしが恥ずかしいから、まず取らないし、取らせない手段だけど。
すう、すう、という、等間隔の寝息を耳元で聞きながら、目覚めた彼女にどう苦言を呈するかを考える。
……
説教の文言が上手く思いつかないので、トリビー姉さんを呼ぶことで結論付ける。
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