すだ
2025-12-24 00:30:00
12148文字
Public 主スバカグ
 

聖夜祭狂想曲

舞手スバルと嫁カグヤ。交際前。コタロウのためにサンタクロースになって里の子全員にプレゼントを配るクラマのお話で、スバカグもあるよ。1ページ目はクラマさん大活躍、2ページ目はスバカグプレゼント交換、3ページ目はおまけです。#スバカグ

 突然だが、かまくら祭りの翌日に里の子達へ贈りものを配ることになった。きっかけはコタロウだ。
「なあなあクラマ様! おれも『さんたさん』からぷれぜんとがもらえるって本当か!?」
「三……? 何だそれは」
 金色の瞳を煌めかせながら問いかけるコタロウに、クラマは首を傾げた。
「ひなさんが教えてくれたんだ! 西の国では『せいやさい』っていうお祭りがあって、子供はぷれぜんとがもらえるんだって!」
「静野菜……?」
 よく話を聞いてみるとこういうことらしい。
 コタロウがひなとカグヤと遊んでいるときのことだった。
「ひなさん、西の国にはかまくら祭りみたいな冬のお祭りはあるのか?」
「うん、あるよー。『聖夜祭』っていうんだけどね。大切な人と夜空を見上げるお祭りなの。町にある大樹に飾り付けをするお手伝いをして、楽しかったなあ……
「木に飾り付けをするのですか?」
「うん、オーナメントっていう飾りをたくさん木にぶら下げるんだよ。赤や金色の玉とか、雪の結晶の形の飾りとか、キラキラ光る電飾なんかも。色々な種類があって見ているだけでワクワクするの」
「へええー! 面白そうだな!」
 せめて気分だけでも楽しもうとひなの家にある木に飾り付けをしていたとき、何気ない会話にコタロウが食いついたのだ。
「そういえば、どこかの国では赤い服を着た『サンタさん』っていうおじいさんが、子供たちへプレゼントをくれるらしいよ。夢があるよねー」
「ぷれぜんと?」
「贈りもののこと」
「じゃあ、おれもぷれぜんとがもらえるかもしれないのか!?」
「んー、どうかな? アズマの辺りにいるかは分からないなあ」
「おれ、さんたさんと知り合いじゃないか、クラマ様に聞いてくる!」
 ひなとカグヤが何か言う前に飛び出していくコタロウ。
……ひな、余計なこと言っちゃったかな?」
「まあまあ、きっとクラマさんがうまくやって下さいますよ」
 そして冒頭へ戻る。
……なるほど、サンタクロースのことか」
 昔遊んだゲームにそんな単語があった気がする。クラマの方へコタロウが身を乗り出した。
「なあなあ、どうなんだよクラマ様!」
 残念ながらサンタクロースと面識はないと答えたら、コタロウは目に見えてしょんぼりしてしまった。
 どうやら誕生日にプレゼントをもらったのが相当嬉しかったようだ。できればまた欲しいのだろう。
 コタロウと別れ考え込んでいると背後から声がかけられた。
「何かお困りごとですか?」
 振り返ると、笑顔をたたえた春の女神が佇んでいた。
……うららか、来ていたのか」
 事情を説明すると、コタロウ様の悲しむ姿を見るのは胸が痛みますわね、とたおやかな動きで頬に手を当てる。
「ならば……。そうですわ。クラマさんがその『さんたさん』になってみればよろしいのでは?」
「俺が?」
「ええ。コタロウ様もきっとお喜びになりますわ」
「ふむ……


「ああスバル、ここにいたのか。丁度お前を探していたんだ」
 秋の里を散策していたカグヤと立ち話中、スバルは秋の神に呼び止められた。後ろからうららかもしずしずと歩んでくる。
「何かご用ですか?」
 尋ねると、「お前にしか頼めないことだ」と返される。
「やるぞ、サンタさんを」
「三……?」
「かくかくしかじか」
「ふむふむ、コタロウくんが」
「と言うことだからお前も手伝え」
「分かりました。資金は里の共有資産から出しましょう。各里のまとめ役の皆さんに了承をいただいてきます」
「頼んだ。そうと決まれば行くぞ」
「いつも通り強制! オレまだカグヤと話してるんですけど!? またねカグヤ、うららかさんも!」
「おー、気をつけてなー」
「モコロンは一緒に行くんだよ!」
 あれよあれよという間に腕を掴まれ引きずられていくスバルを「あらあら。頑張って下さいね」とカグヤが手を振りながら見送った。
「うららかさん、せっかくですからヤチヨさんのお店でお茶でもいかがですか?」
「まあ、嬉しいお申し出ですわ! 是非ともご一緒させて下さいませ」
 かくして、秋の神クラマのプレゼント大作戦が始まったのだ。


 まずはプレゼントを運ぶ乗り物が必要だ。ひなに聞いたところ、サンタクロースはトナカイがひくソリに乗るものらしい。
 それではまずソリを作ろうと、各里のものづくりが得意なタクミ、ツイラン、ザザに声をかけた。
 かけたのは、いいのだが。
「神輿はどれだけ派手にするんだ!?」
 いきなりソリを派手にしようとするタクミ。しかも完全に神輿と間違えている。
「いや、神輿ではなく……
「せっかくだからド派手で頑丈な神輿にしようカ! 金属をいっぱい使ってサ! 腕が鳴るネ!」
「ソリ……
 続いてザザ。こちらも神輿と勘違いしている上、自分の大好きな金属の装飾を追加しようと鼻息が荒い。
「神輿を頑丈にするのは任せてくれ。実績がある」
 きわめつけはツイランの最高強度を目指そうかという言動である。最早ソリではなく神輿と認識されている。
「はあ……好きにしてくれ……
 言うだけ無駄と早々に諦めることにしたクラマだった。最悪神輿にスキー板でも取り付ければいいか。
「そうなったときはお前が手伝えよ」
「あはは……。大変ですね。頑張ります……
「あいつら、自分の好きなこととなると本当見境がないな……
 呆れ返るクラマとモコロンの隣で、スバルは苦笑いするしかなかった。


「あとはソリを引く生き物が必要ですよね。順当にいけば牧場の狼あたりでしょうか?」
「そうだな」
 スバルの提案で冬の里で面倒を見ている狼たちを見に行くと、フブキが例の話を聞きつけたらしく待ち構えていた。
「クラマさん、子供たちに贈りものを配ると聞きました。ボクも是非お役に立ちたいです! 狼になってソリを引きましょうか!? ワンワン!」
「お前曲がりなりにも神だろう……。威厳とやらがなくなるからやめておけ」
「そうだぞ。神はなめられたら終わりだからな」
 クラマだけでなくモコロンにまで諭され、冬の神は肩を落とした。
「残念です……。お祭りを盛り上げたかったのになあ……
 耳と尻尾まで垂れ下がってしまったフブキ。あまりにも残念そうなものだから、見かねたクラマが声をかけようとすると、横からカナタが口を出した。たまたま冬の里へおでんを食べに来て、ついでに同席していたのだ。
「ソリを引かずとも、フブキが先導して走ればいいのではないか? 神に付き従うしもべという感じで威厳は保たれるじゃろう」
「俺はしもべか!」
「今回お主はサンタクロースじゃから我慢せよ。子らの夢を壊したくないならな」
……まあ、そうだが……
「わあ! いいんですか!? やったー! 先導がんばりますね!」
「よろしくお願いします、フブキさん!」
 釈然としないものがあるが、フブキとスバルが盛り上がっている中、なかったことにするのも忍びない。まあ自分が我慢すればいい話だ。クラマは年長の神であるがゆえ、年下の神たちについ甘くなってしまう。
「まあ、フブキが先導するなら狼たちも言うことを聞くからな。俺の神力を節約できるからいいか」
「え? 狼たちに引かせないんですか?」
 思いがけない言葉にスバルが聞き返すと、何を今更とばかりにクラマが肩をすくめた。
「訓練もしていないし、大荷物と大きいソリを引くのは大変だろう。俺の風の力で動かす」
「ということは狼たちは?」
「ただ楽しく走ってくれればいい。こういうのは形が重要だからな」
「なるほど。やっぱりクラマさんは優しいですね」
「はあ? 何だ急に……。このくらい普通だろうが」
 思い切りしかめ面をするクラマに、スバルは思わず笑ってしまった.


 ソリの準備が完了したら、次はプレゼント選びである。時間がもったいないからと、引き続き冬の里で作業を続けることにした。先程からクラマが目にも止まらぬ早さで目録を作成している。冷やかしで様子を見ていたカナタがドン引きしている。
「コタロウにはこれ……。すずにはこれ……。あとは……
「待て待て待て! お主、里の子らの情報に詳しすぎんか……?」
「言っておくが、合法だぞ? 本人たちから聞いているからな」
「引きこもりなのに、秋の里以外の子らにも詳しいのは何なんじゃ?」
「遊びたいって他の里からちょくちょくやってくる」
「そこでの会話を覚えているというのがすごいですよね」
「のんきに会話している場合か。お前は俺が作った目録通りの品物を調達してくるんだぞ」
「ええ!?」
「これはツバメの目の色が変わるのう……
「みなさーん、お茶が入りましたよー。ひと息いれてはいかがですか?」
「おー、ありがとなフブキ。オイラお茶請けが欲しいぞ」
「今日は干し柿がありますよ」
「やったー!」
 とまあ、そんなこんなで色々ありながら当日を迎えた。


 夕暮れどき。ソリの前で佇むクラマ。プレゼントを積み込むスバル。見守るその他の面々。いよいよ時間との戦いが始まる。何しろひと晩のうちに全ての子たちへプレゼントを配り切らないといけないのだ。準備を終え、秋の神へ声をかけたスバルがソリから離れる。
「スバルはソリに乗らないのですか?」
 今回の件に全く関わっていないカグヤが、隣にやってきたスバルを見上げた。
「うん、オレは今回完全に裏方だよ。さんたさんはあの方たちにお願いしようと思って」
「あの方たち……?」
「ほら」
「ああ、なるほど……。やる気に満ち満ちていますね」
「賑やかで楽しくなりそうだろ?」


 高らかに遠吠えし先陣を切る神狼、思わず誰もが足を止めるくらいギラギラと目立っている犬ゾリ、ソリの上には「三つ」の影。
 それぞれ赤い三角帽を被り、口元には白いつけ髭がある。
「オラオラ、おせーぞクソ天狗! テメェの本気はそんなもんか!? もっと風になれよ! この速さじゃ里のチビどもに配りきれないだろうが!」
 鬼の神がソリ後部に備え付けられた荷台兼お立ち台の上で喝を入れる。クラマとスバルの尽力により、神輿にならずにすんだソリに何故か追加されたのがこのお立ち台である。タクミが手がけた透かし彫りに加え、ザザの手によって彫金が施され、仕上げはツイラン特製の黒光りする何かでコーティングされている。表面には電飾が飾られ、煌々と周囲を照らしている。蓋を開けると荷物が入る便利仕様だ。ここまで丁寧に作る必要があったのかは分からない。すでに深く聞くことは諦めている。ソリの一番前に座る秋の神はやれやれと嘆息した。
「こいついる意味あるか……? ただ後ろで突っ立って煽ってくるだけだぞ……
「突っ立ってるだけじゃねぇぞ! オレ様のカッコ良さをこの世界に見せつけてやってんだよ!」
「まあそう言うなよー。メガネって祭ー! 花火ー! って感じじゃないじゃん? 鬼がいればうっさいけど花火感出るからいいんじゃない?」
「大きなお世話だ! というかマツリ、どうして当然のようにお前が乗っているんだ!」
「えー? さっきの話聞いてなかったのか? メガネだけだと祭の賑やかさがいまいちだからさー、アタシたちがここにいて盛り上げてるってわけ!」
「ってわけだ! 感謝しろ!」
……分かった、分かったから一旦静かにしてくれ。気持ちを落ち着かせたい」
「なるべく手短に頼むぞ! マツリちゃんはあんまり長い間静かにできない!」
「分かってる」
 目を閉じ一回、二回深く呼吸した後、クラマは凪いだ表情で目を開けた。 
「よし、行くぞお前たち。今夜中に全員へ配り終える。飛ばすからしっかり掴まっていろよ!」
「おうよ!」
「まかせろー!」
「俺の里にも祭がある!」
「知ってるけど賑やかじゃないじゃん! アタシはドーン! バーン! ってのが好きー!」
「俺も俺も!」
「祭りは明るければ良いわけじゃないぞー!」
「メガネ、珍しく絶叫してるー」
「こいつこう見えて里への思い入れが強いから、お前に悪く言われてへこんでるんだろ」
「悪く言ってないって! アタシは賑やかなのが好きなだけ。色んな祭があった方が楽しいじゃん?」
……本当か?」
「ほんとほんと」
「分かった。ならいい」
「あ、機嫌直った」
「単純だな」
「うるさい!」


 まずは春の里に到着した三人は、爆速で小さい子のいる民家へ突進した。
「たのもう!」
 戸を叩くと、現れる幼子。びっくりしたのか口が開きっぱなしだ。
「ええ……なに? なにかのお祭り?」
「おう。かまくら祭りに続き、西の『聖夜祭』ってやつだ。ほらよ、お前に贈りものだぜ」
「えーと、カイさま? ありがとう!」
「今日のオレ様はカイ様じゃねえ。サンタコロス様だ!」
「物騒な名前にするな。サンタクロースだ」
「さん……? 三人いるからさんたさんなの?」
「違う」
……? よくわかんないけど、おくりものはうれしい……。ありがとー! 三人の三太郎さん!」
「じゃあな!」
「絶妙な間違え方に味があるな」
 見送られながらクラマが呟いた。
「もう三太郎でいいんじゃない?」
 早々にサンタクロースでいることを諦めようとするマツリを嗜める。
「駄目だ。元ネタには最大限の敬意を表する。名前を改変するなどもっての外だ。案を拝借する以上、当然の姿勢だろうが」
「メガネってそういうとこ、めっちゃ真面目だよな」


 疾走するソリ。ソリの勢いに負け吹っ飛ばされる鬼の神。応援するマツリ。待機中そこら辺を走り回る神狼もといフブキ。遠吠えをする狼たち。運動不足なのにダッシュで階段を駆け上がるクラマ。狭い所や階段は力の微調整が難しいため、ソリから降り必死に足を動かす。
「いや、お前がいけよ!」
 思わずマツリにツッコミを入れてしまった。
「え? まあアタシの方が体力はあるけどさー。今夜はクラマが祭のかしらじゃん。それならアンタがやった方がいいと思って」
 そう言われるとぐうの音も出ない。クラマは走った。とにかく走った。
 何とか全里を回りプレゼントを配り切った疲労困憊のクラマが居酒屋ヤチヨへ帰ってくると、最後に渡したいと思っていた子ダヌキの姿が見当たらなかった。
「ヤチヨさん、コタロウは?」
 尋ねると、困り顔のヤチヨが無言で指し示す。その先には、暗闇の中しゃがみ込むコタロウの姿があった。
「どうした、コタロウ」
 声をかけると、顔を上げるコタロウ。その瞳には今にもこぼれ落ちそうなくらい涙がたまっていた。
「どうしようクラマ様。おれ、ぷれぜんともらえない……
 どうしてそんなことを言い出したのか事情の飲み込めないクラマに、コタロウの横で慰めていたスバルが口を開いた。
「実はコタロウくん、今日も元気にイタズラしてたんですけど……
 プレゼントが待ちきれなくて、里中を飛び回ってイタズラをしていたコタロウ。それを見た里の子が言ったひとことが発端となったらしい。
『コタロウくん、いい子にしてなきゃ、さんたさんは来ないんだって。お父が言ってたよ』
 この子の父親は商売の関係で西方にもよく出かけているのをコタロウも知っていた。
……おれ、いい子じゃなかったから、ぷれぜんともらえないのか?』
 俯いたコタロウの瞳にみるみる涙が溜まっていく。駆け出した子ダヌキをスバルが追いかけた。
『スバル! ひなさん、私たちも』
『うん、行こう!』
『よろしくね、ふたりとも』
『よろしく頼む。こちらのことは私たちがやっておく』
 ヤチヨとツイランに見送られながら、カグヤとひなもスバルの後に続いた。
 しばらくしてスバルに抱き抱えられ戻ってきたコタロウは、それからずっと、うずくまって涙ぐんでいたそうだ。
「コタロウ」
 呼びかけると、潤んだ金色がこちらを見上げる。それ以上何も言わず、クラマはプレゼントを差し出した。
「え……。でもおれ、今日もヤチヨさんに怒られちゃったし……全然いい子じゃなかった……
「そんなことは気にしなくていい」
 きっぱりとした口調に、コタロウの瞳がはっと瞬いた。たたえられていた涙がハラハラとこぼれ落ちる。
「いい子じゃなくていい。イタズラ小僧で構わない。お前がここにいてくれるだけで俺たちは嬉しいんだ」
「こほん!」
 背後から聞こえた咳払いに身をすくませながら付け加える。
「だ、だがその……イタズラはもう少し控えめにした方が……いいと思うぞ?」
「はあ、全く」
 惑うようにコタロウの瞳が揺れる。
「いいのか……? おれ……これからもたくさんイタズラしちゃうと思う。だって……みんなおれがイタズラするたびにかまってくれるから嬉しくて……
「誰かを傷つけることさえしなければいいわよ。その代わり、悪いことをしたら叱るからそのつもりでね?」
「ヤチヨさん……
「オラ、早く受け取ってやんねぇと、モヤシの腕がもげるだろうが。こいつ運動不足のくせにそこら中を走り回ったからヘロヘロなんだよ」
「もげるか!」
 おそるおそる両手を差し出し、コタロウがプレゼントを受け取る。抱え込むように持つと、これ以上ないくらいの笑顔を浮かべた。
「ありがとう、さんたさん」
……ああ」
 ふたりのやり取りを見守るスバルの袖が誰かに引かれ、そちらを見る。コタロウに、いい子にしないとプレゼントはもらえないと言った子が立っていた。
「ねえ、スバルくん。お父はうそついたの?」
 落ち込んだ様子の男の子に、しゃがみ込んで目線を合わせるとスバルが話しかける。
「ううん、そんなことないよ。お父さんが聞いた話も、西の国に伝わっていることなんだと思う。でもクラマさんは、みんなにプレゼントをあげたかったんだよ。どんな子にも。みんな一緒がいいって」
「みんな、いっしょ?」
「うん、みんな一緒」
「そっか。うん、ボクもみんないっしょがいい」
 男の子はコタロウのもとへやって来ると頭を下げた。
「いやなこと言ってごめんね、コタロウくん」
「ううん。おれこそイタズラしちゃってごめん」
「いいよ」
「では、仲直りだな」
 クラマに言われ、秋の神を見上げたふたりが互いを見る。やがて笑いながら手を握り合った。
「よくやった」
 クラマが穏やかな顔でふたりの頭を撫でた。


「さて、円満解決したところで、皆様お疲れ様でした〜。こちらでゆっくりなさって下さいまし」
「お主らのためにヤチヨが腕によりをかけて馳走を作ってくれたぞ」
「待ってました! いやー、労働した後の酒はうめぇな! ヤチヨさん、おかわり!」
「鬼、早っ」
「はいはい」
 それぞれが思い思いの場所で休息を取り始める。クラマは肩を回しながら呟いた。
「食うか、飯……。腹が減った……
「里の子たちのために、ありがとうございました、クラマさん」
 スバルからの礼に、ちらりと視線を寄越した今宵のサンタクロースが気怠げに答えた。
「ああ……
「クラマ様の好きなものも沢山用意してるわよ。たんと召し上がれ!」
「ありがとう、ヤチヨさん。行くぞ、コタロウ、スバル」
「うん!」
「はい!」