河童の皿箱
2025-12-18 08:47:50
3250文字
Public 遊戯王:短め(2025年度)
 

The Grand Creators

煌めく世界を…



 バシャンと弾ける、水の音。指先流れる、奇跡の水。キラリと輝き、清浄で。
 剣を向ければ、悪魔がひとつ。それに対する少女たちは、暗闇の中でひときわの光を放っていた。

 それは、神より授かりし奇跡の力。敬虔なる乙女たちへ齎された、悪魔に対抗する力。荒廃しきったこの世界での、人が生きる唯一の術。蔓延る悪魔の這いよる夜に、日の如き灯は、人々に希望を与え続ける。毎日、毎日、夜が明けるまで。神の力が遍く照らす、その時まで。

 それは、神より示されし結束の力。乙女たちは互いに手を取った。剣を、槍を、銃を、弓を。乙女たちは互いを絆で結んだ。もう二度と離さぬよう、悪魔に誑かされぬよう、潔白なる白百合の名の下に誓った。

 それは、神より化されし試練の力。乙女たちはひたすら、ひたすら、抗い続ける。定められし滅びの運命に。人々を弄ぶ悪魔の囁きに。どれだけ身を切ろうが、どれだけ身を打ちつけようが、乙女の願いは、ただひとつ。この大地の穢れを払い、再び神の威光の下で、人々が憂いなく、苦しみもなく暮らせること。その願いのために、乙女たちは戦い続ける。

 聖水は救世主を選んだ。救世主は聖水を纏った。人類は、抗う。

 明けの明星。失われたはずの命。そこにあるのは、奇跡か、それとも。ううん。大好きなその人と居られるのなら。けれど、それはまだ、戦いをやめる理由には、ならない。それは、その人も同じだった。

 戦う。抗う。奇跡を振るう。人々が縋る希望は、希望たれと。強く、気高く、美しく。救乙女はひたむきに、ひたむきに。名を知る、叫ぶ。封印する。場数を踏めば踏むほどに、悪魔の力は増していく。けれど、負けない。負けては、ならない。

 ぜえ、ぜえと息を切らせて、迎えた夜の明け。神が照らすは、暮らしの残骸。長く敷かれた道路は断たれ、覆うドームはすっかり割れて、ひとひとりすら、いやしない。

 でも。乙女たちは身を寄せ合った。今日も生き残ったのだ、と。互いを抱きしめ合った。よく頑張ったね、と。神の力をひとたび解けば、そこに居るのは力なき少女。みんな揃ってぼろぼろの服。みんな揃って怪我をして、けれど、みんな揃って、生きていて。

 ハァ、と息を吐きだして、スゥーと大きく息を吸う。もいちどハァーと吐き出して、ふと見上げた水平線、神の御心はそこにあって。誰かが名を呼ぶ声がする。みんな無事だよ、帰っておいで、と。

 主よ。この煌めく世界を、どうかお救いください。