ぬじ
2025-11-30 12:42:44
5383文字
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原作ハムレットとの違い/結局何がしたかったのか

あまりにも意味不明だったので、自分なりに考えてみたもの
2025/12/1追記:インタビューと原作のあらすじを見て「こういうこと…?」となったので追記しました

ハムレットのあらすじみてきたら、どこがハムレットやねんて感じで別物だった件について。
教養があれば面白いとか言われてたけど、もともとハムレットが好きだった人のほうがブチ切れポイント多いんじゃない?大丈夫?

ハムレットのいいとこ全部消してる

今作では元ネタハムレットのいろんな設定がひっくり返されており、これによって色んなものが台無しになっているように見える。

  • ハムレット(男)→スカーレット(女)
  • 超有名セリフ「生きるべきか、死ぬべきか それが問題だ」→「生きるべきか」でちょん切ってしまう 「生きろ」「生きる」「生きたいって言え!」お、おう
  • 父の死の真相を知らず、序盤で父の亡霊に「弟に毒殺された復讐してくれ!」と言われて復讐という呪いに取りつかれる → 父は目の前で処刑、父の霊は最後に出てきて「復讐にとらわれずのびのびと生きて欲しかった」とか言う 処刑前の最後の言葉は実は「赦せ」と言っていたのだ!!!!(今作一番の謎扱い)
  • 母は気が狂った(ふりしてる)息子と再婚の夫の板挟みになって、ハムレットからは弱い女と蔑まれるし、ハムレットを殺すために王が仕掛けた毒で間違って死ぬ かわいそう→ 娘に愛情を注がず、権力者に乗り換え、スカーレットが生き返ったときは「お前が死ねばよかったのに!」とヒスって終わるただのクソ女 毒は王が自分で間違って飲んだ
  • ハムレットを慕っていた宰相の娘(オフィーリア)は間違いで親を殺された上、ハムレットにも冷たくされ悲しみの溺死→存在自体を消される かわいそう
  • 宰相の息子(レアティーズ)は間違いで親を殺されたんだから当然ハムレットを許せん(復讐の連鎖要素)→宰相、息子は悪役ABに改変、チョイ役で雑に退場
  • 復讐をやめられんハムレットはレアティーズとの決闘を受けて立つが、実は王の罠で毒が仕掛けてあり相打ちで死去 → スカーレットは復讐をやめることにする 叔父は改心したりしないのでご都合ドラゴンが叔父を消して終わり スカーレットは生き返る

原作ハムレットでは、叔父が先王を毒殺し、それを知ったハムレットは叔父に復讐したい、ハムレットが誤って宰相を殺してしまい娘が溺死、宰相の息子はハムレットに復讐したい、叔父はハムレットを始末しようとして妻を殺してしまう、最終的に息子もハムレットも死んでほぼ全滅
という、復讐をしようとしたがために悲劇の連鎖が始まってしまうという話になっている
つまり復讐の行きつくところはみーんな破滅ですよ、ってエンド

果てスカにおいてはハムレットが女性になっているため、母親を見て偏った女性観を持ってしまう展開が消え、ただ単に母がヒステリックな毒親というだけになっている。
母と対照的な女性像となるはずのオフィーリアは存在自体が消されているし。
オフィーリアが消されたため宰相、宰相の息子はただのモブになってしまい、誤って毒を飲むのも母ではなく叔父本人。
メインテーマである「復讐の連鎖」要素が消え、最初から最後までスカーレットVS叔父の話でしかない。
なので、細田が主張したいらしい「復讐の連鎖を止めるため復讐をやめよう」が成り立たなくなってしまっている。
復讐の連鎖を1ミリも描かないくせに復讐の連鎖が~とか言ってるから意味不明なのだ
叔父が先王に汚名を着せて殺したのは、叔父も先王に何かを奪われたから、という話にでもすれば、まだ話はわかったのだが
先王は争いを望まない聖人君主として扱われており、叔父が己の欲望のために一方的に王位を奪ったようにしか見えない。

教養があれば楽しめるのか???

そうかなぁ
てかさ、インタビュー見て思ったんだけど
もしかして:細田、ハムレットを
「憎むべき相手を倒してスカッと爽快な気分になる、という復讐劇」
「悪い敵を倒して終わりという単純な」
話だと思ってないか?あらすじ見ただけで明らかに違うのだが
https://kadobun.jp/feature/interview/entry-130930.html

*細田:復讐劇の元祖ということで、「ハムレット」をモチーフのひとつにしました。*
*憎むべき相手を倒してスカッと爽快な気分になる、という復讐劇は、昔からエンターテインメントの王道ジャンル。*
 →勧善懲悪ものは王道としてあるけど、ハムレットは真逆では?
*でも今の時代、悪い敵を倒して終わりという単純なことでは済まない。それぞれに正義があって、復讐を果たした後にはまた次の復讐劇が始まるという、報復の連鎖は、やはり悲劇なのではないかと感じます。*
 →それがまさに原作ハムレットの展開だよね
*どこかでそのループから抜け出さないといけないけれど、簡単に抜けだせるほど甘いものじゃない。では、どうすれば良いのか、という想いが今作には色濃く反映されていると思います。*
 →むしろスカーレットのほうが、クローディアスがただの悪役になってて復讐の連鎖要素もなく、ただの勧善懲悪になってません?
 描写に説得力がなくて、復讐やめまーすしたら悪役に天罰が下って解決する甘いものに見えてる

言ってることとやってることが違うんだよなあ

なんか考えれば考えるほど細田守が無理になってきてて、
入院した時優しくしてくれた看護師に感謝まではわかるんだけど、
その結果出力される看護師リスペクトキャラが、お花畑なこと言うだけで行動に一貫性のない聖人(に見せたいらしい)キャラっていうのは逆にリスペクトなくない?という感じがしてしまう

つまり何がしたかったのか?

インタビューによると
①細田は「復讐してっていわれるより許せと言われたほうが悩むのでは?」と思っていたとのことで、ハムレットの設定である「最初に王の霊から復讐してほしいと言われて復讐する」を根底からひっくり返したいらしい。
まあ、現代の価値観でアレンジしたいということなんでしょう。やりたいことは分かった。
②コロナで入院した経験から主人公を看護師にしたい それは好きにしたらいいよとしか言えん
③生きるとは、人間とは、愛とは何か 愛のすべてを知りたい
うるせえ 本筋の復讐をちゃんと書いてからにしろ

でも、復讐ものを復讐イクナイ!に変えたいからって
・「残酷で卑劣な殺人の復讐をするのだ」→「赦せ」
・最初に王の霊から聞く→最後に王の霊から聞く
この両方ともひっくり返すのはそもそも無理だったと思うんだよな
原作のハムレット自体、別に復讐を肯定してるわけではないんですよね。だって復讐で悪くない人まで巻き込んでみんな不幸になる話になってるんだから。