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保科
2025-11-24 23:38:33
2328文字
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スタレ
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バトルズのティータイム
外側にて、ぶどうちゃんなバトルズとサフェルの話
9割捏造 バトルズ〜……バトルズ………
「バトルズ〜、やっほ」
柵を越え、ぬると現れたサフェルに。喫茶店のテラスでお茶を飲んでいたバトルズが、んぉ、と気の抜けた声を上げる。
「
……
こりゃまた登場が急だなぁ、姉御。
つーかあんた、今って仕事あるんじゃねーのか?」
「店番なら退屈すぎて抜けてきた。
ちょうど近くにいたんでグレっちにぶん投げてる」
「ケケケ、アイツも大概不憫なヤツだぜ
……
」
当然のように向かいの席に腰かけたサフェルは、はぁ、とため息を付きながら、ひったくったバトルズのお茶を一口であおった。
……
ぼーっと見送っていたバトルズが、たまらず素っ頓狂な声を上げる。
「あ、あー!オイラのお茶ぁ!
これ高けえのに、酷えよ姉御!」
「はいはいごめんねーっと。へえ、いいの飲んでんじゃん。次も頼んどいてよ。
ね、あんたも大概暇してるでしょ?」
「ったくよぉ
……
ああ、オイラ?
まあ、そうだな。そこそこ暇だけどよぉ。
ふふふ、聞いて驚け、最近は大地獣の世話とかしてるんだぜ。オイラってやつは案外、チビすけの育成に適性があるってこったな」
ふん、とどこか得意げなバトルズ
――
何せ、誰かに感謝される暮らしというものにとんと縁がなかったのだ、存外面白くもなる
――
に、サフェルがあきれた視線を向ける。
「はあ?何その引退老人みたいな生活、ハリないなあ。
ね、それならまたどっか旅しない?
お宝探しに、あたしとあんたのふたりでさ。どうよ」
「
―――
」
思いがけない誘いに、ぱちぱち、と瞬くと、バトルズはじっと、人差し指を己へ向けるサフェルを眺めた。そうして、少しばかり居住まいを正して問いかける。
「
……
なあ、サフェルよ。どういう風の吹き回しだ?お前、浪漫の女の所に帰るのがずっと夢だったろうが。
それにも関わらず、もう旅に出るのか?」
「
……
その小っ恥ずかしい言い方やめてくんない?ザグレウス。
……
まあ、それは、そーだけども」
もにょ、と歯切れ悪く口を濁して。でもさあ、とサフェルはぼやいた。
「なんか、ずっと一処にいるの、
……
落ち着かなくて、やだ」
「
………
」
ふむ、とバトルズはない腕を組んで考える。オクヘイマに戻らず、長く風来坊として生きていたサフェルの暮らしは、繰り返された永劫回帰の中でもかなりの割合を占める。染み付いた習慣は、変えがたいのかもしれない。
「でもよ、帰る家ってのは大事だろ。もう少しゆっくりしたっていいんじゃねーのか」
「
……
あんたから、そんな説教めいたこと言われるとは思わなかった」
どこか拍子抜けした顔のサフェルは、バトルズならば一も二もなく乗ってくれると思っていたのだろうが。
その予想は甘いぜ、とバトルズは内心で頭を振る。生憎と、神としての責務からも、消滅の恐怖からも解放されたザグレウスが望むことは、そう多くはないのだ
――
目の前の元半神は知る由もないだろうが。
「
……
ま、旅に出るってんなら少なくとも雇い主の許可は取るべきだな。貰ってんのか?」
「
……
いや、まだ」
「当てはあんのか?」
「は
……
裁縫女の、当て?」
意味がわからない、という顔に、ああ、とバトルズは腹の口で苦笑した。こりゃあダメそうだ。
目的があるならばともかく。何となく、落ち着かなくて
――
そんな気のない甘えた理由でサフェルが離れることを、あの金織はきっと簡単には認めないだろう。それ位、見ていれば分かる。
「この問いがわかんねーのなら、取り敢えず、浪漫の女から許可をもらうのは必須だな?
ケケケ、せいぜい頑張れよ〜、姉御」
「あー?何さ、えらっそ〜に。
へん、いいよ。さっさと許可とってくるから荷造りしときな!」
びし、と指さし一つ、舌を出したサフェルが再度柵を乗り越える
――
その背に、ついバトルズは問いかけた。
「なあ姉御、何で誘うのがオイラなんだ」
足を止めたサフェルが、心底不思議そうに振り返る。
「
……
え?何でもなにも。
あたしの旅の相棒はあんたでしょ
、ザグレウス。
――
だからその恰好なんじゃないの?」
「
――
ふん」
「
……
?」
黙りこんだバトルズを訝しみつつ、サフェルは今度こそ柵を乗り越え、ひらりと姿を消した。
「
―――
」
ひとり残されたザグレウスは、空のカップをぼんやりと眺める。
とある永劫回帰にて。詭術の神であったザグレウスは、己が命を永らえさせるために、半神の力を借りて権能を捨て、ただの詭術の眷属に成り下がった。
永遠の1ページにたどり着いて尚、ザグレウスがとるのはその最も弱った己の姿だ。
「
―――
」
世界を騙すような大嘘を。最高の詭術を
――
そんな夢物語を、エスカトンの際で、命を賭して、数百年の歳月をかけて叶えてくれた。
後継が彼女だからこそ、そして、己がこの姿であったからこそ生まれた奇跡だ。そこに意味を見出すのは、個人の、いいや、個"神"の自由だろう。
「
……
ったく、オイラのことなんぞどーでもいいみたいな面して、そこそこ見てんだよなあ、アイツ
……
」
――
そう、知る由もないだろう。今、ザグレウスが望むことは、詭術と世界に狂わされたあの不器用な元半神の少女が、ありふれた幸せを享受することだけだ。
それに添うために必要なのは、ザグレウスのかつての姿でも、タイタンたる御姿でもない。
あの猫娘ときたら、何も分かってないくせに、そういうことだけはよく見抜くのだからたまらない。
……
調子狂うぜ、と呟いて、バトルズはほんの少し軽いステップで席を立つ。きっと無駄になるだろうが、荷造りだけはしておこう。姉御のご要望だ。
ああ、準備していることが同輩のタイタンどもにバレることだけは防がないと
――
生憎と、サーシスの話のネタになるのだけは御免なのだ。
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