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sidori
2025-11-15 23:49:59
18434文字
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人妻定食十一月号『夜兎パロ』
モブ視点で高銀の坂田に敗北するNTRマガジン十一月号です。
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jilの『異国の風香る豪快かぶりつきロール定食 ~現地の過程風味を味わう個性派スパイス~』
まったくもって、くさくさした気分の夜だった。
ちょいと馴染みの酒場に顔を出して、ちょいと馴染みのやつとポーカーで戯れてみたら、気がつけばすっからかんだ。
「よう、どうしたんだよマイケル。ついにジェニファーに振られたのか?」
「冗談はよせよ、ケニー」
安酒を片手にうなだれている俺に声をかけてきた男に、俺はしっしっと手を振る。
「ジェニファーとは先週の水曜日に別れたよ。俺の今の天使はアマンダさ」
「そいつはなによりだよプレイボーイ。そのご自慢のマンガンが暴発しないように、細心の注意を払うべきだな」
「僻むなよ」
「お前こそ拗ねるなよ。それより、面白い話を聞いたんだよ」
「なんだよ」
男は気安く俺の隣に座ると、そっと耳打ちしてくる。
「最近、ボスが新しい用心棒を雇ったんだ。なんでも、白い髪をした兎さんだとか」
「兎ぃ?」
「夜兎族ってやつさ。名前くらい知ってるだろ?この宇宙で悪名高い三大傭兵部族の一角さ」
「うちのケチなボスが、よくもそんな大物を雇えたもんだ」
「ちょいとワケありらしいぜ?」
「ワケあり?」
興味のない話題に適当に相槌を打ちながら、俺は空になったグラスを睨む。この男相手にもうひと勝負でも仕掛けようかと口を開いたそのときだった。
突然、激しい銃声とともに、店の窓ガラスが粉々に砕けた。
「何事だ!」
俺とケニーはすぐにテーブルの下に隠れ、腰からピストルを抜き出した。
「インディゴファミリーのやつらだ!」
誰かが叫んだ。
「あいつらの襲撃だ!」
「くそったれ!」
その名前に、眉をしかめる。
インディゴファミリーは、俺たちが組みしているアンバーファミリーと敵対している組織だ。
ここ数日緊張関係にあったが、こうも大胆にシマに襲撃を仕掛けてくるとは想定外だった。、
なんとか反撃を試みるも、奴らの奇襲は完全に成功したといっていいだろう。
このまま少数の仲間で分が悪い打ち合いを続けても、ジリ貧になるのは目に見えている。
「クソッ。ああ、なんてこった。こいつは、日曜日のお祈りをふけた罰かい、こりゃ」
「ケニー!神に祈る暇があったら、奴らの脳天に弾を叩き込め!」
だからといって、俺は諦める気も毛頭ない。威勢を張りながらケニーを叱咤し、どこかに突破口はないかと考えをめぐらせる。
「あーあ、せっかく初日くらいはゆっくり飯が食えると思ってたのに」
ーー激しい銃撃戦のさなかに、その男はふらりとやってきた。
いや、元からこの店にはいたのだろう。だが、その妙に間延びした声が聞こえるまで、だれもその存在を気にかけていなかった。
白い髪に白い肌の、白い中華服を着た若い男だ。まだ
少年といってもいいかもしれない。若く柔らかな白兎のようだった。
手には妙な傘を持っていて、明らかに目立つ身なりであるはずの男なのにーー俺はまったく、気がついていなかったのだ。
「どーも。用心棒の白夜叉ちゃんです」
そう言って、その白兎はーー跳躍した。
◾︎ ◾︎ ◾︎
「本当にあっという間の出来事だったぜ。その白兎は軽快にはね回りながら、たった一人で敵を殲滅してしまったのさ」
「不幸中の幸いってやつか。とにかくお前が無事でよかったよ」
親友であるジェイムスが俺の肩を叩きながら笑う。それだけで、俺の胸も熱くなった。
あの嵐のような夜を生きいた俺たちは、なんとか連絡のついたボスの命令で、根城の一つであるホテルの大広間に転がり込んでいた。
夜が明けてみれば、どうやら、ほかの仲間も緊急招集をうけたらしく、続々と集まってきていた。
「ケニーはどうした?」
「やつは尻に鉛玉を食らってな。別室で治療中だ」
「そいつは災難だ。
……
それにしても、インディゴファミリーめ。まさか拮抗状態を壊してまで、直接シマを襲撃してくるなんて」
「やっこさんからしてみれば、先に拮抗を壊したのはウチなのさ。なんせ、とんでもない人型兵器を仕入れちまったもんだ」
「ああ、確か夜兎族のーー」
「ほら、あれが例の白兎さ」
俺が指さした方に、ジェイムスが目線を向ける。
そこには、白い中華服を着た、白い肌に白い髪の男が、眠そうにソファーにもたれかかっていた。
「あれがMVP?まだガキじゃねーか」
「なかなか可愛い顔してるだろう?」
思わず顎を撫でる俺の目は今、獲物をとらえた鷹の目をしているのだろう。
それに気がついたジェイムスが、俺を小突く。
「おい、物好きもほどほどにしておけよ」
「物好きとは失礼な。俺の審美眼は一級品さ」
「お前にはアマンダがいるだろ?」
「人を愛する心を作ったのは神だ。そして、神に間違いはない」
「お前にはまったく呆れ果てた!」
ジェイムスが顔を覆うの尻目に、俺は白兎に向かって足を向けた。
「よう、お眠かい?白兎」
「
……
白夜叉だよ」
「白兎のほうが可愛げがあるだろ?お礼を言わせてくれよ。俺も昨日の襲撃の場にいたんだ」
「へえ、そいつは律儀なことで」
「俺はな、あんなに綺麗に跳ねる兎は初めて見たんだ」
「そりゃ、どうも」
「なあ。俺は気になって仕方がねーんだ。ベットの上でも跳ねるのか、それともシーツの海に溺れるのか」
白兎がジロリと無言のまま、俺を睨んだ。
「夜兎族ってのは、ひとりで宇宙を飛び回ってるんだろ?ウサギは寂しいと死んじまうらしいが
……
どうやってその寂しさを埋めているのかな?」
腕を腰に回すと、白兎は鬱陶しそうに払った。
「生憎と間に合ってるんだ」
「なんだ、もういい相手がいるのか?でも、断言するぜ。そいつより俺の方がイケメンだし、身長も高いし、気も利くぜ?」
「大した自信家だけど、お前よりあいつのほうがイケメンだね。でも、お前のほうが身長高いのは本当かも」
「おい、ジェシカ。悪いがそのホットミルクを俺たちにもれ。蜂蜜たっぷりのやつさ」
「
……
気が利くのも、そうかもな」
ジェシカの持ってきたホットミルクを手渡すと、白兎はくすりと笑った。
「しかし、あんたのボスはどうするつもりなんだろうな。ここで待機しろって言ったっきりだ」
「ああーー今夜、総力戦をするつもりなのさ」
俺が言うと、白兎はわずかに眉を動かした。
「見知った顔のヤツが全員いる。裏じゃ、武器もここに運ばれてるみたいだ」
「随分と性急だな。いくら俺がいるからって、少しは様子見するもんじゃね?」
「時間がないのさ」
俺は言いながら、アカシアの葉を噛む。
「ボスはご病気だ。息子のボンに引き継ぐ前に決着をつけて終わらせたいのさ。なんせ、息子はボンクラ中のボンクラだからな」
「随分と辛口な評価じゃん」
「そうかい?俺は公正なつもりだけどな」
俺は白兎に向かってウインクする。
ちょうどそのときに、女が一人壇上に上がった。
「あのねーちゃん誰?」
「ボスの秘書のアマンダさ」
アマンダはマイクを持つと、俺たちに向かって暗い目を向けた。
「ボスが昨日、お亡くなりになりました」
ザワッと、広間内に動揺が走る。思わず口を抑える者もいれば、悔しそうに舌を鳴らす者もいた。
俺も言葉を失う。
あの男が病に伏せていたことは、誰もが知っていた。余命が幾ばくもないことも。だが、まさかこんな急に容態が悪化するだなんて、思ってもいなかった。
「そしてーー」
アマンダは冷酷な口調で続ける。
「あなたたちは袋の鼠です」
その瞬間、頭上から銃声が幾重にも重なって鳴り響いた。
「裏切ったのかアマンダ!」
俺の怒号に、アマンダは涼し気な笑みを返すだけだった。
いつの間にかホテルを囲っていたらしいインディゴファミリーの連中が、広間になだれ込んでくる。
銃声と悲鳴、そして怒りの声が広間に
呆然とする俺の手を引いたのは、白兎だった。
「逃げるぞ!」
そして、今まさに俺の脳天に斧を振り下ろそうとした敵ファミリーの男を蹴り飛ばす。
「っ、おい!」
「行け!逃げろ、マイケル!」
踏みとどまろうとした俺の背中を押したのは、ジェイムスだった。
「お前が生きていれば!まだ道はある!」
「ジェイムス!」
「頼んだぜ、白夜叉」
白兎は頷くと、俺の体を子どものように軽々と抱き上げた。襲い来る男たちのの合間を駆け抜け、一段と高く跳躍すると、窓ガラスを割って外に転がり出る。
すかさず浴びせられる銃弾の雨をひらりと躱しながら、今度は隣の家の屋根に向かって跳ねる。
「っ、離せ!」
俺は白兎の腕から抜け出そうと身を捩るが、こんな細腕のどこにそんな力があるのか、逆に俺の体が締めあげられる。
「ぐっ
……
」
「大人しくしてろって。ガキじゃないんだからよ」
「
……
逃げるならアンタだけで逃げな。アンタの雇い主は死んだんだ。もう俺たちに関わる理由はないだろう」
「それがきっちり前金でもらっちゃってるんだよね」
白兎はそう言って、俺を見る。
「用心棒だって言っただろ?俺の護衛対象はお前ーー、ボスの息子のお前だよ」
「
……
くそったれ」
手も足も封じられた俺は地面に向かって、唾を吐く。
「俺だけ逃げ出して、どうしろって言うんだ」
「そりゃあ、こんな舐めた真似されたんだ。ヤッコさんに直接ご挨拶だろ」
「まさか、インディゴファミリーのアジトに」
「向かってる♡」
そう言って降り立ったところは、すでにインディゴファミリーの陣地だった。
四方からあらゆる武器を手に襲いかかってくる敵を、白兎はたった一人で、なぎ倒していく。
「
……
夜兎族ってのは、とんでもないやつだな。それともアンタが飛び抜けてやばいのか?白兎」
「だーかーら。白夜叉だって言ってんだろ?」
「馬鹿言うな。どこに鬼がいるって言うんだ?アンタはただの元気な白兎さ」
「
……
ふぅーん。言うじゃん、色男」
白兎は少しだけ驚いたように目を見開いてから、照れたように笑った。
「ま。とっとと、片付けようぜ?俺、早く帰って旦那の飯作らなくちゃいけないんだ」
白兎が背負っていた日傘を広げる。その切っ先を向けたのは、まだ遠くにあるインディゴファミリーのボスが居座る屋敷だ。
「そんで、夜はポップコーン食べながら映画見て、明日は昼まで寝て、午後からはデート兼早めのディナー。この週末のルーティンを壊したからっから、ゴ〇ラでも連れてきな」
鋭い音とともに火花が散る。さりげなくされた告白に傷心する間もないまま、白兎は再び高く跳ねた。
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