aka
2025-10-22 15:47:32
3874文字
Public decn夢
 

兄さんに彼女を会わせたくないhrmt

※固定主
※女性優位っぽい
※事後描写あり
※景光があんまりかっこよくない

◆side降谷

「兄さんにさくらさんを紹介したいんだけど、さくらさんを兄さんに会わせたくないんだよなあ」
 警視庁内で偶然顔を合わせたヒロを誘って人払いを済ませた会議室で手製の弁当を広げると、ヒロは自分の昼食である家庭じみた弁当を同じように広げて訳の分からないことを言い出した。因みに俺の今日の弁当は今朝グリルで焼いてきたブリの西京漬けと昨日の夜作った筑前煮、紅ショウガの入った玉子焼き、マッシュしすぎていないタイプのポテトサラダ、ご飯はなんと栗ご飯である。風見の机の上にもそっと置いてきたので今頃食べていることだろう。
 ヒロの弁当箱を覗いてみるとトマトソースのかかったロールキャベツにカボチャの煮物、ごぼうサラダが入っていた。それとは別に海苔を巻いた大きなおにぎりがふたつある。ロールキャベツ一個と栗ご飯を交換した。
「で、なんでお兄さんに会わせたくないんだ」
 もくもくと栗ご飯を嬉しそうに食べるヒロに尋ねる。美味い? 知ってる。
 ヒロのお兄さん――長野県警捜査一課の諸伏高明警部のことは俺も知っている。初めて会ったのは中学生の頃で、当時東都大学に通っていた高明さんは俺にとってスマートでかっこいい大人の男を体現したような人だ。先日〝安室透〟として長野で偶然顔を合わせてしまったが、頭の良い高明さんは偽名を使っていた俺にすぐに理由を察してくれたのか初対面を装ってくれた。
 ちなみに、未だにヒロは唯一の家族である高明さんにも連絡を取れていない。もう組織内では〝スコッチ〟の死を疑う声を聞くことも無くなったので頃合いを見て伝えても良い頃だとは思っていた。何度も言うけれど高明さんはとても頭の良い人だから、ずっと連絡を取れずにいて現在偽名を使って変装して暮らすヒロの現状を分かってくれるに違いないので。
 ヒロは兄の高明さんにそれはそれは懐いている。一人っ子の俺には兄弟とはどういうものであるのか感覚的には良く分からないが、幼少期から離れて暮らしているせいか、それとも年齢が離れているせいか、ヒロが高明さんに向けるまなざしはいつでもキラキラとしている。尊敬と憧れに満ちていて、大好きが全面に溢れている。だから、そんな大好きなお兄さんにヒロがとことん惚れこんでしまったあの女を会わせたくないというのも不思議な話だ。
「俺の兄さんはかっこいいから、さくらさんが兄さんの事好きになっちゃうかもしれない」
 大真面目な顔をして深刻そうに言った幼なじみ兼親友に、俺は素の「は?」をお見舞いしてしまった。