sousakuyamamusume
2025-10-21 22:09:52
574文字
Public 赤徳
 

死合わせ

死んだから出会えた赤徳

「私がもっと早くここに来てたら、お互い生きてたのかなあ。」
 彼女の呟きが、校舎に消える。
 僕のことを調べていた彼女のことだ、きっと知ってしまったのだろう。
 僕が死んだのが、三年前のことだったと。
 もっとも、僕自身その記憶は曖昧で。校舎に残っていた僕の思念を、正気を取り戻してから読んでみて知ったことではあるのだけれど。
……だとしてもお互い出会えなかったかもしれませんよ。」
「そっか。それじゃ意味ないな。」
 からからと快活に彼女が笑う。
 元気で、はつらつで……誰も、彼女が死んでいるなんて気付かないだろう。
 ああ、それでも。
 それでも、生きていた彼女を覚えていたかったというのは、僕のエゴなのだろう。