かろん。
7767文字
Public #刀剣乱夢
 

泣きたいなら泣いていいよ

#刀剣乱舞 #源氏 ※ちょっとホラーっぽい。
お試しにぴくしぶに上げてるやつそのまま持ってきてみた。
ずっと前に書いた源氏+女審神者のお話。

「あれここ、どこ」

おかしい。
さっきまでみんなと一緒だったはずなのに。

「えっと
みんなと遠くの町までお買い物に来たはず

買い物に来て、その道すがらのはずだったので、周囲の風景が突然消え、ただ微妙に生暖かい風が肌を掠める、こんな意味不明な場所にいるはずがない。


思い返そう。
必要なものが少し貴重なものだから、近くのいつものお店の品揃えにはないみたいなんだよね、と近侍の清光に相談したら、少し悩んでから
「ごめん、俺は通常戦闘があるから付いていけないそれにそこまで行くとなると、護衛が一人ってわけにもいかないから、四、五人は欲しいかな」
と言われ、
「え、待って、そんなに人数もらえないよ。それに遠いって言っても隣町よりちょっと歩くらいだよ?そこまで心配しなくても
驚いた私は反論したのだが。
事は私が考えているよりも危険なことらしく、清光は丁寧に説明してくれた。

「主がここ(本丸)のある場所から離れるってことは、それだけここの加護から遠ざかるってこと。つまり、主の危険を知らせる信号を感知できる俺たちへの信号も弱まるってこと。そんな状態で拐われたりしたら

「う、ごめん、分かった」
諭されて負ける。
一緒に来てくれる子の選定は、清光に任せるねとお願いした。
清光が選んでくれたのは、髭切、膝丸、薬研、ずおちゃんの四人だった。

「行ってきまーす!」
と出たときからついさっきまで、ごく普通に楽しく街道を歩いていたはずなんだけど。


ここで冒頭に戻ろう。
そう、私は迷子のようだ。
ようだ、というのは、さっきも言っているように、私の記憶では本当についさっきまでその四人と話しつつ普通に歩いていたんだ。しかも、四人の真ん中にいたはずの私だけがはぐれることなんて、まずあり得ないだろう。


そうだとすれば。
聞いただけの話だったんだけどな
そんなまさか。
でも何よりこの意味不明な空間が。
うそ、

「神隠し

小さくそう呟いたと同時。
ぶわっと、もしスカートを履いていたら余裕で捲れてたのではないかと思うくらいの風が吹いて、景色が一転した。

「へ?」

それはうちの本丸の庭だった。
いや、訂正しよう。どこがどう違うかと問われたらはっきりとは分からないが、違う。
気付くのに数秒かかったけど、これはうちの庭に似せて作られている
そっくりだけど何かが違う。
そう感じた瞬間、私の中で赤い光が灯る。
「ここは危険だ」と、何度も私の中で警告が響いた。

ど、どうしよう。
きっとこれは、迷ってる暇なんかない。
でもどうしたらいいの?どうしたら抜け出せるの?
もし本当に神隠しなら、出てこれたなんて聞いたこともない上に、段々人間じゃなくなるようなことも聞いたことがある。

足が、体が震え始めた。

待って、落ち着いて考えないとだめ。
深呼吸して考えよう。

ふっ―――、と息を吸う。

そして気付く。気付いて、しまう。
空気が、綺麗すぎる。

神隠しの場所は、要するに神域。
この異常なまでに澄んだ空気。なぜだろう。気付いてしまったからか、肌がピリピリしてきた。

まじでやばい。
この庭になったときから警鐘は鳴り続けている。

………、落ち着こう。
これが本当に神隠しというやつなら、きっと出口はない。
そうなると、ここの主に会って交渉するか、それか逃げ続けるか、だ。

でもどっちもだめだろう。
主に会ったら鬼ごっこが終わる。ゲームオーバーだ。
逃げ続けるのも、神域と言うことはどれだけ広くても所詮箱庭。主の庭で逃げ回っても捕まるのは主の気分次第なのだろう。

じゃあ、どうすればいいの
自分で考えた案を二つとも見事に消してしまった。
でも諦めちゃだめな気がする。
諦めたらすぐにでもここの主に捕まってしまう。そんな気がする。

捕まるのは怖い。
もしも本当に聞いた通りなら、人間じゃなくなるのも怖い。
ここの主はどこかの刀剣であることは間違いないのだろう。
でもそれが誰なのか、私が出会った者なのかそうでないのか、まったく分からない。
刀は全く同じ名と姿を持ちながら、やはり一人一人違っているものだと思う。
というか、実際審神者の集会で出会う子たちも、雰囲気が本丸によりけりだと感じる。
だからこそ。ここの主はうちの子ではない、と確信した。

相手は神だ。
何でもできる。

どうする。どうしよう。


……、戻りたい。
戻りたいよ、みんな
もう会えないなんてこと、ないよね

「会いたいよ、」

さっきまで一緒にいたのに
髭切膝丸薬研ずおちゃん

「会いたい

「やだよっ」

っ、
もう立ってられなくて、両手で顔を覆ってその場に座り込んだ。

「みんな

視界が暗くなって、もう戻れないのかなと、少し、本気で思った、