万年青
2025-10-11 07:24:58
1030文字
Public ポケ擬
 

フィルラン(ゲリラ豪雨)

うちよそ

午後三時を過ぎた頃、空が急に暗くなった。
雲は灰色を通り越して鉛のように重く、
街の空気が一瞬で湿り気を帯びる。
誰もが「来る」と察したその瞬間、
雷鳴が空を裂き、ゲリラ豪雨が始まった。
ランカは、散歩中だったが
それどころではない。
「わっ!!雨っ?!どっか隠れるとこ!!」
炎タイプの彼女にとって、雨は天敵だった。
濡れると体温が急激に下がり、
尻尾も重くなる。

慌てて走り込んだのは、古びた店舗の軒下。
そこは人1人がようやく立てるほどの狭さで、
ランカの尻尾も髪も、服も、
すでにびしょ濡れだった。
「はぁ、最悪
彼女はしゃがみ込み、腕で膝を抱えた。
ポロシャツの裾から覗くお腹が冷え、
ミニスカートの裾も水を吸って
重くなっている。
少しでも体を温めようと濡れた尻尾を
巻き付ける。

通りを行き交うポケモンたちは、
傘を差して足早に過ぎていく。
誰もが自分のことで精一杯。
誰も、彼女に声をかける余裕などなかった。

そんな中、フィルムさんは、
保安官としての職務中だった。
地域の方から「軒下で震えている
ウィンディらしき人物がいる。」との
報告が入り、すぐに現場へ向かった。