かずきち
2025-10-10 08:23:24
2152文字
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ふんいきで読むお話です 書きたいとこだけ書いたやつ




穏やかな春の日差しを浴びて気持ち良く眠りについていたのに、急に強大な気が近付いて来て目を開けざるを得なかった。欠伸を出し切ってから珍しい来客を出迎えると、絶対的な玄の鬼はふわりと笑った。

「恋が、陰陽師の喚びかけに応えたそうだ」
……えっと。誰ですか、それ」
「お前、名前聞いてなかったのか。お前が拾ったくせに?」
…………ああ」

助けた鼠は、始の力添えもあってか一命を取り留めたどころか式鬼として姿形をとれたようで、郁の所へも何度も挨拶に来ていた。感謝の印も言葉もいらないと突っぱね続けていたがそういえば最近姿を見ていなかった。が、陰陽師と契約を結んでいたとは。懐こい性格をしていたから、きっと誰か気の合う人間にでも出会ったのだろう。人の生活していた場所で生まれた鼠らしいものだ。

「生まれが京中だっただけあって、人と縁は結びやすかったんだろうな」
「それ、どんな陰陽師なんですか」
……へえ?」

しまった、と思った。始の狙いはこれだった。いつまでも人からの喚びかけに応えられずにいた郁へ、愉快そうに微笑む。

「そんなに気になるなら、自分の目で見て来たらどうだ」
「始さん」

揶揄わないで下さい、とかぶりを振ると全く悪びれない口調で謝罪が返って来る。

「だが、俺の本心でもある。今は暮らす人間も変わって来ている」
…………考えては、おきます」
「はは」

精一杯の善処を聞き届けて、始は郁の頭を適当に撫でて去って行った。
威圧感から解放され抜けた力に身を任せそのまま木の根元へと腰掛ける。何百年と縁を断ち続けた人間になど今更近付こうなんて思えたりするものか。だがしかし、時折押し掛けてはちゅうちゅう喋って帰る桃色鼠"を"選んだ陰陽師には、興味がわかないでもない。
そのうち。そのうちにでも。また、京に雨でも降ったなら。鼠を拾った辺りに行ってみるとするか。



そこで郁は青緑の髪色の少年に出会った。