【可惜夜廻*爾】其の弐-1

『「すみません、よくわかりません。」』
現行未通過×
※夜廻パロ




 カンジとソウゲツが暮していたのは、ヒロが住んでいだ家屋からそう遠くない住宅だ。町から少し離れた森にあるその家は、二人で住むには丁度いい程度の規模の物。ヒロが用意し、また色々な調節をしてくれたらしい。

 昼過ぎ。まだ眠い眼を擦りながら、その話をソウゲツから聞いた。昨日、深夜に目覚めてから眠るまでに様々な思考を巡らせたからか、疲労が取れきれていない気がする。


「医者に連絡は済ませてある。歩けそうならすぐ向かおう」

「おん、オレは大丈夫」


 日に当たれば、少しは目が冴えるだろう。そう考え、部屋のカーテンを開けようとして……突如、足が竦んだ。

 視界がマーブル状に歪み、音が何重にも反響する。存在する方法を間違えたような、自身の根幹に破滅が這い寄る確信。一度経験した死よりも恐ろしく悍ましい気配で、自我が急速に沈んでいく。


「カンジッ!」


 絶叫と同時、体を強く引き寄せられた。高鳴る他者の心音で、徐々に落ち着きを取り戻していく。気が付けばカンジは、ソウゲツに強く抱き締められていた。未だ身体は上手く動かせないし、意識も緩やかな落下を行っている。それでも気絶するより先に、カンジはソウゲツにこう告げた。


「ごめん、なぁ」


 力が抜ける直前、何かが軋む音を錯覚する。聞き覚えのある音の状態を掴めぬまま、カンジは再び深い眠りへ誘われた。