はいで
2025-09-23 22:43:59
13459文字
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草原を駆け行く二頭の馬

サバージオスがカルデアに加入して1週間前後の話。戦闘以外でなかなか表へ出ないサバージオスを、オデュッセウスが「勿体ない」と感じて外の世界へ連れ出そうとするお話です。

筆者は過去のサバージオスが草原を駆ける姿を幻視したので書きました。
きっとこんな時間もあっただろうと考えております。

筆者は祈る、サバージオスの道行きに幸せがありますように。
未だハッピーエンドを迎えるか分からない、戦いの旅路の中だとしても、どうかこのような小さな幸福が溢れておりますように。
カルデアの賑やかさを感じて、人の輪の中で過ごしていただきたい。
貴方の言葉と声音の柔らかさに、きっとその方が似合うと感じたのです。

だからどうかこの祈りを叶えてください、天より零れ落ちた星よ。
流れ星には願いを叶える力があるのだから、きっと成し遂げられると信じております。



-後日談-サバージオスのなぜなに期



 その後、オデュッセウスの仲介を経てサバージオスの加入はカルデアのメンバーに周知された。
 エフェメロス姉妹にはそれに先立って謝罪に向かった。
 イプシロンは好意的で「よかった!サバージオスも一緒に来てたんだ!あのまま終わりじゃ寂しかったもんね、本当によかった」と迎え入れていた。
 だがエフェメロスは案の定ツンツンとした態度であった。イプシロンが何も言わなかった分も含めて怒っているのだろう。
 それでも「あんたのした事を許すつもりないけれど、マスターが受け入れるんなら仕方ないわね。協力位はしてあげるわ、せいぜい足を引っ張らない事ね!」で済ませてくれた辺り、かなり譲歩してくれた。サバージオスは「全力を尽くすと約束する」と誓った、これから態度で示すのだと。

 なおマスターは「よーし!これから組んでみたい編成が色々あるんだ!改めてよろしくね!」と張り切っていた。
 この後、マスターに「オデュッセウスは耐久編成に向いてるんだけど長期戦にはコツがいるから、サバージオスにも是非体験して覚えてほしい!」と言われたので、入念に準備をして向かったのだが。
 様々なパーティ編成を試させられた挙句、高難易度アドバンスクエストにまで連れ出され疲労困憊になるのだが、それはまた別の話だ。


 それから、カルデアの各所でサバージオスの姿が見られるようになった。
 図書館で天文学の写真集を見つけて、時間が経つのも忘れて魅入ったり。
 食堂で現代の様々な食材へ、関心したり驚いたり。
 ふとした時に談話スペースの片隅にいて、英霊たちのざわめきに耳を傾けながら、オデュッセウスと入れ替わって交互にボードゲームを進めたりして過ごしていた。

 見ていたカルデアスタッフからは「お二人を見ていると、うちの子のなぜなに期を思い出すよ」と言われてしまった。
 そして当のサバージオスが後から「ナゼナニキとは、なんだ?」と疑問を口にするので、オデュッセウスはちょっと笑ってしまった。
「幼い子どもが、物事を知りたがってあれこれと動き回る時期らしいな」
『俺は幼子ではないんだが
 困惑した声音に、オデュッセウスは笑いながら返した。

「だが世界を知る為に冒険オデッセイするという意味では、俺たちも子どもたちとあまり変わらないかもな」
 オデュッセウスは遠い昔を思い出す。
 幼い頃、海の彼方の景色を見つめ「行ってみたい!」と遠い国に憧れていた頃の自分を。
 思えば、馬術を覚える為にギリシャ本土へ渡った時、あれが初めての冒険だったのだ。 
『そうか、それもまた冒険オデッセイか』
 サバージオスは一番古い記憶を思い出す。
 己を定義づけた記録庫の景色。
 宙の彼方の記録に触れて「……行ってみたい」と呟いた時の憧憬を。



 きっとカルデアの先行きには様々な困難が待ち受けているのだろう。
 この平穏な日々はつかの間の静けさに過ぎない。
 生前の彼らが様々な困難と闘った様に、この先には戦いの日々が待っている。

 それでも今、彼らの先行きは開けていた。
 草原を駆け行く馬たちが、自由に遮るものなく跳ねまわる様に。
「サバージオスならすぐ追いつけるさ、吸収が速いし、俺が教えられる事は全部教えるから」
『ではお言葉に甘えさせてもらおうこの借りは後で返すからな』
「ああ、楽しみにしとく!」

 一人と一柱の物語はこれから始まるのだから。