ろころころ
2025-09-11 03:12:52
4704文字
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魔法にかからない魔法少女/pk擬

フローラとマギアが戦えるようになった話。
2ページ目のメンバーの選出はobuyanさんが作成されたtier表に基づいています。




「おマヌケな人間どももようやくわかったようなのだ!ピカ様が最強だって事実を!いいかそこのアローラ野郎!ピカ様が最強なのだ!ライチュウなんて屁でもないのだ!」
「ねーねー!カフェに新作のパンケーキがあるんだって!みんなで食べようよ〜☆」
「おい!聞けなのだ!!!」

下キャリーアタック型の環境会議。シーズン開始毎に開かれるこの会議では、主にプロトレーナーにより指名された『今の環境で強いポケモン』が役割ごとに集まり、今の環境で自分達の役割がより活躍するための方法を話し合う。
とはいえ──────もちろんポケモン同士の会議がスムーズに進むはずもなく。大体は喧嘩か、個性の殴り合いで幕を閉じるのだ。

マギアとフローラもこの会議に呼ばれていた。
久しぶりに出席するのはやはり緊張するものだそんなことを思いながら足を踏み入れた瞬間、見えたのがこの光景なのだからそれはもううんざりした。

「もしかしてあの方達がリグちんの言ってた、同じ寮の女の子たちー?」
「はい。フローラさんとマギアさんです」

見知った顔がいると思えば、その横に腰をかけていた燃える髪を持つ少女が立ち上がり……

……………一目散にこちらへと走ってきた。


「えっ!?ちょっ」
「いぇーいっ!よろしく御三家ガールズ!あたしはグレンアルマのファイン!メイジガール同士仲良くしてねっ!あっポケスタやってるー?」
「いぇーいっ!よろしく!私はフローラ!こっちの子はマギアちゃん!ポケスタやってるよ〜交換しようぜ〜!」
「ふ、フローラ!?」

なぜこのテンションについていけるのか。再びげんなりするマギアを他所に、更なる悲劇が襲った。

「あーっ!フローラちゃんとマギアちゃんだっ!久しぶり〜☆元気にしてたー?2人も一緒にパンケーキ食べようよーっ!」
「あっおい!お前!ピカ様を無視するななのだ!」
「ツヴァイちゃん!私たちは元気だよーっ!パンケーキはフロウと食べた方がいいんじゃないかな〜?」

きゃいきゃい騒ぐ彼女達の眩さに耐えきれず、今期の採用率が高いニトロチャージでそっとその場を離れた。

「いや、何逃げ帰ってきてるんですかマギアさん。あれは洗礼ですよ。諦めてください」
「絶対嘘でしょ!?私が知ってるメイジってあんなキャピってなかったわよ!?」
…………そうですね、前環境までは誰もキャピってなかったですよ。伝説だらけだったのが何故かでんきとほのおの陽キャだらけにってあなたもほのおタイプじゃないですか!近寄らないでくださいよ!」
「私はエスパーだから。無関係よ」
「ファインさんと同じタイプですよ、それ」
…………嘘でしょ?」

予想はしていたが予想の数倍は酷かった。まだあの偉そうな伝説達がいる環境の方が、マトモな会議は出来たのかもしれない。

「そういえばカゲさんが喜んでましたよ。あなたの花火をテイアで見ることが出来たって」
「余計なお世話よ全くアイツ、花火なんて微塵も興味無いくせに」
「マギアさんの花火だからいいんじゃないですか?ほら。普通の花火は光っては散るだけですけど、マギアさんの花火は命も散るじゃないですか」
「それで喜ぶのアンタだけでしょ

マギアと幼馴染のカゲは勘違いされることも多いが、本当に特別な感情がある訳では無いのだ。マギアが騒動に巻き込まれていた時、助けて欲しいと彼に望んだことは一度もなかった。別に彼が巻き込まれるからとか、そんな優しい理由では無い。ただ単純に、彼に助けを求めても無駄だとわかっていたからだ。

「最近は色違いのミュウの子と一緒にいるみたいだけど。変なことしてないかしら。セクハラとか」
「いや、貴方の中のカゲさん人望無さすぎでは
「それがアイツよ。ここにいる誰よりも長い間アイツのこと見てきた私が言ってんだから。アイツは神社の後継を兄弟に押し付けて来た、逃げ足だけは無駄に早いカエルなの」
「それ、私に漏らしていい情報ですか?」
「知らないわよあんなやつ。アンタを通さないと花火の感想すら言えないヘタレた両生類に、尊厳もクソもないでしょ」

マギアだって同じ穴の狢であることは自覚している。例えば自分だって、フローラのようにあの光り輝く群れの中に入っていく勇気は無い。リグの言う伝説だらけの環境にいたって、縮こまって発言すら出来ないかもしれない。

だから腹が立つのだ。アイツと自分は似ているから。似ているのに、魔法使いの家系に生まれて、両親の魔法を有名にしてみせると飛び出したマギアは選手達に選ばれず、逃げ先としてエオスを選んだカゲは選手達に指名された。
それが、何よりも気に食わなかった。
不公平だと思った。

そう、これはただの八つ当たりだ。


「えへへ〜ごめん二人ともーっ!久しぶりにポケスタの話したから話し込んじゃった!」
「ようこそフローラさん、陰の溜まり場へ。教室の隅で騒がしい陽キャを寝たフリしながら睨んでる者同士の同盟です」
「ちょっと。勝手に巻き込まないで貰える?」
「えーっ!インの溜まり場ってなになにーっ?あ!もしかしてパンケーキ!?」
「ちょっ!ツヴァイちん、パンケーキは5000億歩くらい譲ってもぜったい無いでしょーっ!」
「ツッコむだけ無駄なのだ。そいつは救いようもないくらい頭パンケーキの馬鹿なのだ」
「えーーっ!?パンケーキマンってコト!?」

急に騒がしくなった周囲にマギアは再びげんなりした。どうしてこうも彼女達はくだらない話でこんなにも盛り上がることが出来るのだろうか。マギアにはわからない。

「あっでもでもですぜ!?パンケーキの材料あれば後はあたしがFIRE!すればパンケーキ焼けるくない!?!?」
「ざいりょー?材料!材料ならボクがちゃちゃっと持ってきちゃうよっ!いつでも食べられるようにお部屋の冷蔵庫にいつも準備してるのさ☆」
「それなら私は乗せるきのみを準備してくるよ!まかせてーっ!くさタイプだから、甘いきのみの見分けがつくんだぞ!えっへん!」
「おいお前ら、本気でパンケーキ作る気なのだ?」
「えーっ?でもピカちんも食べたくないー???」
…………………食べたいのだ」
「でしょでしょーっ!?」

ああ、何故パンケーキ作りになってしまったのか。どうしてこうも彼女達は、くだらない会話から明後日の方向に結末を運ぶのが得意なのか。会議のかの字も無くなった現状に、マギアは呆れて声も出なかった。

「あーあ。今回も会議にはなりませんでしたね。まぁいいでしょう、見逃します。私もパンケーキ食べたいので」
「結局アンタも食べ物に釣られてるじゃないの!待って、今回"も"?まさかいつもこんなにグダってるとか言うんじゃ」
「嫌ですねぇ、むしろマトモな会議になったのなんてアサルトブレイクの時くらいですよ。流石にメイジの人権が危なくてお通夜状態の中、ミュウツーさんと二人きりで徹夜で対策を練ったのが最初で最後です。もう二度とやりません」

ミュウツーと二人きりなんて死んでもお断りだ。聞くだけでも、なんとも恐ろしい。
少し前、まだマギアが弱かった頃。彼とぶつかったことがあるのだ。それもその、この会議室て。

そんな風に身震いしていたため、再び災難が降りかかろうとしていたことにもマギアは気づかなかった。

「ねーねーマギアちん!聞いたぜ!!!あたしと同じタイプなんだって?一緒にFIRE!しようぜ〜〜!!!!」
「は、はぁっ!?ちょっと離し……力強っ!」

前を見ればリグがにこやかに手を振っていた。何が陰の溜まり場だ。見捨てやがって。
反対側からは、「マギアちゃんも一緒に作ろうよ!」だなんて友人の声が聞こえる。


──────全く。この会議室に来るといつだってろくなことがない。
マギアはため息を吐きながらも、付き合わされたパンケーキ作りのために袖をまくった。


Fin.