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保科
2025-09-04 22:03:34
1519文字
Public
スタレ
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警官サフェルさん
withデザイナーライアちゃん 警官サフェルを知ってから人生が激変しました 1000000000000000信用ポイント獲得 ありがとう世界 ありがとう警官サフェル
――
正義の味方さん、ありがとう!
「って言われちゃった。
いやー
…
、ライアはどう思う?」
お礼を言った後、向こうの通りへと走り去る子供を窓越しに見送った警官は、コーヒーの入った紙コップを揺らしながら肩を竦めた。
「どう
……
とは?」
向かい。安場のダイナーの席には勿体ない程洗練された衣服を纏う女が、困惑を滲ませた相槌を打つ。
ライア
――
アグライアという名の、金の髪を緩やかに靡かせる優雅な女と、粗野な印象の制服から尻尾を覗かせる獣人の女の組み合わせは奇異に映るが、しかしここらでは見慣れた光景だ。閑散とした店内で彼女らに注目する客はおらず、主人もまた、水音とともにグラスを洗っている。
「んー?あたしが正義の味方なんてガラかどうかってハナシ」
その、どこか捨鉢な言葉に。アグライアがアイスコーヒーのグラスに手を付けようとした手が、ピタリと止まる。
「
――
何を。疑う余地はないでしょう。セファリア、あなたの働きぶりは地域の皆さんも、あのように幼い子供でも知るところです」
「あーまあそれはね?
……
でもそれは、やるべきことをやってるだけっていうか、さ
……
」
どこか気まずげに、セファリア
――
サフェルは頬を掻く。その指先でコーヒーのカップの縁をなぞりながら、水面をぼんやりと眺めた。
「結局、どこまでも手段でしかないんだよ。
したいことをなすために一番最適だったのが、この立場だったってだけで。あたしには『世界を平和に!』とか、『皆を幸せに!』なんて、高尚な思考も、立派な志もない」
店の正面の道路を、トラックが勢いよく走っていく。蛍光灯の光を反射する水面が、微かな揺れに光を無くし、一瞬だけ漆黒に染まる。その、夜闇のような向こう側に、路地に潜むアウトローの自分を幻視する
――
ありえたかもしれない、どこかの自分。
「
――
きっと、『こう』ならないあたしだっていたと思う。手段を選べず、盗みとか殺しに手を染めて、暗い闇に埋もれたまま戻らないあたしも
――
。
なのにさ、こんな風に『正義』だって呼ばれるのは、なんか、ねえ?」
「
―――
」
相槌はない。愚痴っぽくなってしまったし、呆れられたか、と苦笑しながら顔を上げて。アグライアが真顔でこちらを見つめるのに、サフェルは驚きのあまり耳をピンと立てた。
「な、何。どしたの
……
?」
「
……
そのもしも、がどうであろうと
……
今ここにいるのは、貴女でしょう。
俊足が自慢の、立派な警察のお嬢さん」
「む」
突然の褒めに、サフェルは思わず黙り込んだ。そんな彼女の様子を見ながら、アグライアは気難しそうな深いため息をつく。
「
……
その人がどう見られるかは、結論、成した行いに由来するものです。
どれほど志が高い為政者でもその過程を誤れば暴君となりますし、どれほど落ちぶれた罪人でも、結果、万の人間を救えば英雄でしょう。
なればこそ、今もこうして市民のために奔走する貴女は
――
曰く、内面に瑕疵があったとて
――
その呼び名も相応しいと、私は思います」
「
……
ふーん?」
「それに、」アグライアは一瞬、息を吸うために言葉を切って。正面、彼女の制服についた、いくつものほつれや汚れを見て
――
本当に、この自己肯定感の低さだけはどうにかならないものかと、懸念する。
「『手の届く人が理不尽な目に遭いませんように』という貴女の願いは、十分過ぎるほど、高尚かつ立派な志でしょう。
なぜ、そうも卑下するのです?」
「
――
ええ
……
?そうかなあ
……
?」
全く分かっていない様子で顔を顰めるサフェルが、既に立派な警官であると自覚を持ってくれるのは何時になるのか
――
アグライアは、手応えの無さに頭痛を覚えつつ、アイスコーヒーを口にした。
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