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もちゑ
2025-08-02 00:15:09
7225文字
Public
🖊️:文字
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【寂しい】本来あるべき状態になく、また、本来備わっているはずのものが欠けていて、満たされない気持を表わす。
VOID エンド後ぼよんSS 現未✖
NPCにもっと絡みたかった懺悔から生まれた、かなり!スゥゥゥパァァァドゥラアアイな社用PC弊ぼよんでウェットなSS私にだって書けまァす!! な試み。
自陣ぼさん お借りしました。
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2
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4
1.
ラボ
……
もとい、双子の弟の作業部屋を覗くと、そこには見慣れた水色髪の少年が机に向かっていた。他には誰も見当たらない。リトは安堵の溜息を吐いて部屋に入り、扉を閉めた。
「──リト! もうご飯?」
「ううん。でもおやつ持って来たわよ」
「やったー」
振り向いたニトは姉が手にする皿とマグカップを見てにぱ、と笑う。リトは机に広げられた製図を汚さない様、空いたスペースにカップと皿を置いてやった。
「
……
修理じゃないのね。なに書いてるの?」
「よくぞ聞いてくれました!」
ニトが書き途中の製図を広げて見せる。
「スーパーウルトラデラックスレオの設計図さ!」
「はあ?」
「リトもこないだリボット社で見たでしょ。あのめちゃくちゃかっこいい巨大ロボ! レオもあんな風にかっこよくカスタマイズしてあげるんだ」
「それ、レオは絶対嫌がるわよ
……
」
「ミサイルもつける!」
「やめなさいよ、かわいそうよ」
────研究熱心なことだ。だがまずは本人に意思確認しろ。
いつもなら、仄かに笑いを含んだ低い男の声が頭上から降ってくる頃だった。
「
……
」
「
…………
」
ニトは視線を落として製図を畳み、マグカップに口を付けた。
ここ数週間はこういう不自然な間が生まれがちだった。キョウがいなくなった後の隙間はあまりにも大きすぎて、小さな二人にはとても埋める術がなかった。
それに、リトにはもう一つ、不安があった。
「
……
ねえニト。最近のレオってどう?」
「どうって、どういうこと」
「大丈夫? どこか壊れたり、部品がすりへっちゃったりしてない?」
「そりゃ、毎日動いてるんだから部品の摩耗くらい起きてるけど
……
不具合は何もないよ。この間の全身修理でぴっかぴかにしたし、毎日メンテしてるもん」
「そう
……
」
ニトの眉毛が八の字に下がる。
「どうしてそんなこと聞くの? レオ、どこか悪いの? 僕、見落としちゃったかな、そんなことあるかな
……
」
「ううん、あたしの思い過ごしかも。でも」
リトの脳裏に数日前の光景が蘇る。トイレから寝室へ戻る途中、夜も深まって静まり返った暗い廊下の一角が仄かに照らされていた。薄っすら人の話し声もする。
恐る恐る近付いてみると、光は談話室から漏れていた。そっと覗いてみれば壁に備え付けられたテレビが点いていて、小音でモノクロ映画が流れている。聞こえていたのは映画の音声だったのだ。
なんだ、とほっとしたリトは、テレビに向かい合って設置されたソファにレオが座っているのを見た。ソファに深く凭れ、緩く両手を組んで足を崩し、両目を瞑って軽く項垂れていた。伏せられた瞼に前髪が掛かっている。まるで映画を見ている途中で眠ってしまったかの様だった。
その静けさにどきりとした。それは、彼はアンドロイドなのだから稼働していなければ静かだ。でも、あまりにも
……
。
「どうしましたか」
そっとなされた呼びかけにリトは飛び上がった。気が付くとレオが目を開けていてリトを見ている。リトの緊張した様子を見たレオは身を起こした。
「何かありましたか」
「あ、ううん、レオが寝てると思って
……
」
「起きていましたよ。ログの分析をしていました」
レオはいつもの様ににこりとした。彼の声を聞いているとリトの鼓動も段々と落ち着きを取り戻していく。
「ログって、新しいお仕事の?」
「ええ。それもあります」
「警視庁中を掃除するんでしょ? 大変そう」
「フロア毎に分担しますから、それほど一台の負担が大きいわけではありませんよ」
「人型アンドロイドの清掃員って、レオのほかにもいるの?」
「数台います。でも殆どが業務用ですね」
「そうよね」
リトはレオのスタックから抽出した録画映像を思い出して笑った。トイレの鏡に映った清掃員姿のレオは、いつもの彼のイメージからはかけ離れていて面白かったのだ。
「あ、なにか失礼なことを考えていますね」
「ないない、そんなことない」
ほんの少しの意地悪を滲ませた声音を聞いて慌てて両手を振る。レオは笑って立ち上がり、点けっぱなしになっていたモニターに目をやった。途端、テレビの電源が落ちる。
「さあ、もう遅いですから寝ましょう」
「うん
……
」
背中に手を添えられ、リトは廊下に出る。レオは部屋まで付いて来てくれる様だ。
「何を見てたの?」
「『コーヒー&シガレッツ』という映画です。見ていたというよりも、ニュース番組の後に流れて来ただけです」
「ニュース、見てたの」
「調べれば何と言う事はありませんが、どうせ編集された情報を入手するなら見るほうが楽なので」
「ふうん
……
」
直ぐに双子の寝室に辿り着く。レオが扉を開けると、弟の寝息が聞こえて来た。足元に設置されたライトが室内をぼんやりと照らしている。
「ありがとう、レオ」
「ええ。おやすみ」
「おやすみなさい」
アンドロイドはリトの肩を撫でると廊下を戻っていった。
あれは、談話室の方だった。
「
……
レオ、休んでないんじゃないかと思うの。それは、VOIDは24時間稼働し続けられるって、知ってるわ。でももっとこう
……
元気がない感じなの。ずっと何か考えてるのよ。ログの分析って言ったって、掃除の仕方をおさらいしているだけじゃ、いくら旧型でもあんな時間まで掛からないわ」
「そうだね
……
」
「ぼんやりして、ここじゃないどこかを見ている時もある。心配なの」
話しながらどんどん俯いていく姉に、ニトの胸中にも焦燥が募っていく。いつもしっかりしていて自分を叱り飛ばすような双子の片割れがこうも消沈していると、こちらまで不安になってきてしまう。
ニトは最近のレオや、彼の周辺の様子を必死に思い出して考えた。
「仕事も変わったばかりだし
……
スパローのことも仕切ってくれてるし、疲れちゃったのかな?」
「
……
」
「どこか連れてってあげようよ! アンドロイドにも気分転換が必要かも」
「
……
どこか、って?」
「なんだろ。ピクニックとか」
「なにそれ
……
」
二人の脳内に、地面に敷かれたシートの上に姉弟と高身長のアンドロイドが座っておにぎりを食べている光景が浮かぶ。思わず顔を見合わせて笑った。
「楽しいかも。誘ってみようかしら」
「次の休みの日を聞いとこうよ」
「うん」
ラボにくすくす笑いが満ちる。二人は早速計画を練り始めた。
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