河童の皿箱
2025-08-03 08:33:50
5016文字
Public 遊戯王:短め(2025年度)
 

ファインメルトとにじいろえのぐ

幼い頃のファインメルトが、空の妖精に会うだけ。

 むかぁしむかし、あるところに。小さな女の子が住んでおりました。
 その女の子の名前は、ファインメルト。絵を描くことがとっても大好きで、今日もまた、お父さんとお母さんがくれた筆と、絵の具と、それからお気に入りのかばんを肩に下げ、さあ出かけようとベレー帽をかぶり、絵を描きに行こうとしています。
 ガチャッと開いた玄関のドア。「いってきまーす」。女の子の、おおきな三つ編みのおさげがゆれるのを、お父さんとお母さんは「いってらっしゃーい」と見送りました。

 今日もお空はピカピカお天気。おひさまポカポカ、雲はプカプカ。女の子はルンルン気分で、街へ街へと歩きます。遠くに見える大きな学校、いつかはわたしも行きたいなと、女の子はぽうっと眺めて、また歩き始めます。
 途中、「ファインメルトちゃん」と声をかけられました。ドキッとして振り返ります。絵の具屋さんです。「今日もお絵かきかい?」。女の子はもじもじしながら、こっくりと頷きました。「そっかそっか、気をつけてね。もし早くに帰ってくるようなら、うちにも寄ってってよ。今日はお空の絵の具が入荷したんだ」。
 「おそらのえのぐ?」。女の子は、店員さんに尋ねました。「そう、お空の絵の具。ファインメルトちゃん、お空はね、妖精さんが毎日描いてくれるんだよ。その妖精さんが使っているのと、おんなじ絵の具さ」。絵の具やさんはにっこり笑って、「もし絵を描くなら、今日はお空を見てごらん。きっと君なら、妖精さんも来てくれるよ」と言いました。女の子もまたこっくり頷いて、秘密の場所を目指します。