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かずきち
2025-07-29 00:07:17
2847文字
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あまいてあまえた
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見たい番組があるから、と郁が言うのでソファに二人で並んでテレビを見ていたら、姿勢を変えようと動いた郁の手が恋の手を掠めた。お。と思って恋は横をちらりと見たのだが、触れた本人はテレビに集中していて気が付いていないようでリモコンを握りしめたまま画面を見つめている。
「
…………
」
昼間にお茶会での出来事があった恋はたっぷりと意地の悪い笑みを浮かべて、ぴとりと手の甲を郁のそこに貼り付けた。すると郁の手は大袈裟な程跳ねて恋から離れていってしまった。
「
……
っわ、あ。ごめん恋!」
下手をすれば拒絶にとれる反応に郁は慌ててフォローを入れるが、恋はむしろ郁がちゃんと葵との事故を気にしている事が知れたので気になんてしなかった。
「
………
ぷ、あは、あははは!」
「こ、こい
……
?」
それどころか、そういう律儀な郁がおかしくなってしまって堪えきれずに大笑いをしてしまう。急に笑い出した恋を心配して郁はおずおずと顔を覗いてくるが、葵が折角こっそりと秘密を打ち明けてくれたのに、郁に報告しては申し訳がない。
「なーんでもない!」
「ほ、ほんとに
……
??」
恋だけが全ての真相を知っている状態で、この一連の出来事には幕を下ろそう。はてなを浮かべる郁からリモコンを毟り取ってそこに自分の手を絡める。大人の男の人の手だって。俺もそんな手になれてるかな。
骨ばった部分を指でなぞってから、その手をぎゅう、と強く握りしめたまま、テレビへと視線を戻した。
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