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kr0mm333
2024-11-12 10:57:22
3625文字
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書きかけ
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牙のない獣
座漆の転生ネタで、記憶ありの座さんと記憶なしの漆さんの話。
あと1話くらい増える予定。
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気がつくと、雨の雫が庭の木の葉を叩く音が聞こえてきた。
座村さんを誘って何度かシたものの、そのまま疲れて寝ちまってたらしい。
時計を見ると最後に見た時よりも四時間ほど経っていて、いつもなら夕飯の支度が終わっているような時刻になっている。冷蔵庫にある食材を思い出しながら、残り物に加えて卵焼きとご近所さんからお裾分けでもらったワカメを使って酢の物と味噌汁でも作るかと献立を組み立てていく。
座村さんをその気にさせるため、体に手を這わせた。
腕、肩、胸、腹、順にの手のひらで筋肉の形を確かめるようになぞっていると、おぼこかよと笑われた。
あの人の触り方を真似てるつもりなのに何でかいつもおぼこいと言われる。それに納得がいかなくて、アンタ以外の触り方なんて知らないと言い返したらじゃなきゃ困ると息を吐いた。
少し視線を動かして起き上がると床に座り、壁に背を預けて船を漕いでる座村さんがいる。服が変わってるから俺との情事の後に着替えたんだろう。俺の体も拭いてくれたみたいで、不快感はほとんどなかった。
洗濯したばかりのシャツは座村さんの嗅覚が鋭いから香りの強い柔軟剤とかはあまり使えないわけだが、その分キッチリ日光に当てるようにしてる白いシャツからは干したての太陽の匂いがした。
立ち上がる前に眠っている座村さんの顔を見る。サングラスは机の上に置いてあり、その隣には半分くらい満たされたコップがある。落としてもいいようにプラスチック製のものを買ってあるが、落とすのはいつだって俺だった。
少し視線を動かすとラップのかかったコップがが置いてあるから、俺が起きたら飲めるように用意してくれたんだろうな。
こんな気遣いをできる人なのに、座村さんは結婚もしていないし恋人もいない。俺がいるから相手を作らないのかと思って聞いてみたこともあったけど、そんなんじゃねえと叱られたりもした。
その時、静かに眠っていた座村さんが小さく震えたかと思うと苦しそうに何かを呟いた。
机越しだし、何を言ったかまではわからなかったがおそらくいつものだろう。
あの人は時折、寝言で誰かの名を呟く。
特定の誰かの名前というよりは役者とか芸者とか、そんな感じ。
"くめゆり"
あの人がそう呼ぶと、胸がざわついた。
あの人がどんな夢を見て、夢の中でその女と何をしているかまではわからない。今みたいに魘されながら呟くその名がどれほどの意味を持っているかなんて、俺には予想もつかなかった。
でも夢の中でまで呼ばれるその名は、あの人にとってよほど大きな存在なんだろう。
なんで、アンタがその名を呼ぶんだよ。
あの人の口からその名が出た時、そう思った。別の名を呼ばないでくれと懇願したくなった。
俺は俺を引き取ってくれた後の座村さんしか知らないが、あの人が女と一緒にいたなんて場面は見たことがない。きっと俺を引き取るまでの二十数年の間に出会った女か何かなんだろう。
駄目だ、と繰り返しているのはその女を離すまいと足掻いているのだろう。
体はもらえても心までは与えられないことをまた思い知らされる。何年共にいても、慕っても、この人は俺のものにはなってくれない。
誘ったのは俺。
俺が誘わなければ、この人はずっと家族でいたはずだ。
勝手な敗北感に打ちひしがれながら、座村さんの眠りを妨げないよう部屋を出る。
何か色々考えてた気がするけど、夕飯はもう冷蔵庫の残り物とインスタントの味噌汁でいいか。
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