【Skeb】納品物

『ソープスクール』 現行未通過×
Skeb感謝 HO2さんのSS




「つっかれた〜!」


 丁寧に整えられたベッドが、飛び込んだフィルアーを受け止める。海水浴を堪能し夕食を終わらせ、シャワーも浴びてようやく横たわれる状態になったのだ。小さく笑いながら、アユムもベッドに腰を下ろす。うつ伏せになって枕を抱えた彼女、その乾かしたばかりの髪を指で撫でて言う。


「ま、随分とはしゃいでたからな」

「しょーがないだろー? 滅多に無いんだからこんな機会」

「ははは。ほら、もっと奥寄れ」

「はいはい」


 軽口を叩きながら、フィルアーはアユムのための空間を作る。ゴロンと転がった彼女の横に、アユムは少々乱暴に倒れ込んだ。二人分の体重で、ベッドがギシリと色っぽく軋む。額を合わせ視線を交わした互いの瞳に、相手の色が混じった。


「今日は楽しかったか? ハニー」

「今日も楽しかったぜ、ダーリン」


 そんな問答で、分かりきった事を確認する。アユムが歯を見せて笑えば、フィルアーは柔らかく微笑んだ。膨らむ愛に身を任せ、彼女は彼の胸へ頬を擦り寄せ抱きつく。驚くこと無く受け入れたアユムは、心地良さげなフィルアーの頭を撫でる。


 それから二人は、様々なことを話した。

 日焼け止めを互いに塗る時、その行為にフィルアーが緊張していたこと。対して、ここぞとばかりに際どい箇所へ触れるアユムのこと。それを彼女が照れながら叱ったこと。

 全身に浴びた海水は、思ったより冷たかったこと。うっかりフィルアーの口に入った時、その塩辛さに顔を顰めたこと。それを見て笑いながら、口直しだと言ってキスしたアユムのこと。

 遊んでいれば浮き輪にフィルアーの水着が絡み、外れかけて焦ったこと。さすがのアユムもそれには驚き、浮き輪もそのままに横抱きで海から出たこと。

 美味な夕食に頬を緩ませるフィルアーを、幸せそうに眺めるアユムのこと。互いにカトラリーを差し出し、互いの手から食事を進めたこと。


 長い夜はそれを簡単に包み、男女は知らずの内に眠った。繋がった手が離れることは無く、隣人の為だけに自分は万象を行える。幸せは射られた矢のように速く過ぎ、再び訪れ胸を穿つのだから。


【幸福、宛ら矢の如し】