【Skeb】納品物

『ソープスクール』 現行未通過×
Skeb感謝 HO2さんのSS




 アユムの機嫌は悪かった。それはもうすごぶる、あり得ないほどにテンションを落としていた。来たばかりの時は鼻唄を歌いそうなほど、上機嫌だったというのに。


「おにぃさん、結構鍛えてますねー!」

「筋肉すごーい! 触ってもいいですかー?」


 海でフィルアーと遊んでいた最中は最高の時間だった、それは確かだ。だが彼女が屋台にかき氷を買いに出てから、狙ったように女に囲まれた。学生らしき女たちの中には露出の激しい、紐のような水着を着た女もいる。それらはアユムの守備範囲外だし、何より彼にフィルアー以上の女はいない。

 相手するのも嫌で無視していたが、そろそろ虚無を通り越して苛立ちが募ってきた。口汚く罵声でも浴びせてやろうかと思案し始めた頃、視界の外から白と赤が飛び出す。それはアユムの腕を引き、周囲の女性を威嚇するように告げた。


「彼、俺のなんで」


 そのたった一言で、女たちは渋々引き下がり離れていく。悔しそうにする者もいたが、それに睨まれすぐ退散する。腕を絡めたままそれは……フィルアーは、不満げにアユムを見上げた。何か言おうとして口を開き、だが僅かに狼狽え口を閉ざす。


「行こう、アユム。かき氷あっちに置いてきたから」


 ややあって絞り出された彼女の言葉で、ようやくアユムの思考が正常に動き始めた。まず彼女は嫉妬しており、そして自分を彼女のものであると宣言した。アユムにはフィルアーが最も美しく可愛らしい存在だと言うのに、彼女はそれをよく知っているのに、その上で周りに知らしめた。

 嗚呼。これが幸福と言わずして、何をそう例えられようか!


 女に囲まれていた先程から一転して、アユムは歪んでいた口角を上げる。組むだけだった彼女の手を握り最大の愛を含ませた笑顔を向ければ、フィルアーは耳まで赤く腫らす。それがまた可憐を極めたような愛おしさで、彼の独占欲をたっぷりと満たしたのだった。