万丈
2025-07-10 19:02:10
5049文字
Public 小説
 

女官たちの秘密のお茶会

【AI生成】【二次創作】【天空戦記シュラト】
女官は見た。調子に乗って三本立てです。
ヴィシュヌ様の恋路を見守る女官の皆さんの話。
🔄2025/07/21
前の話→大元帥明王は心配性
次の話→傷口に口づけを


第三話

「ねえ、聞いた?」

「聞いた聞いた! 今朝もよ!」

ヴィシュヌ様付きの近侍たちが、仕事の合間に湯沸かし室に集まって、ひそひそと囁き合う。その話題は、もちろん一つだけ。天空殿で今、最もホットな噂――我らが主君、ヴィシュヌ様と、あの氷の総司令官、インドラ様についてだ。

「今朝、ヴィシュヌ様がインドラ様に朝のご挨拶をされた時よ。インドラ様、いつものように完璧な礼をされたんだけど、ヴィシュヌ様が『インドラ、顔色が優れないのではなくて?』って、そっと頬に手を……

「きゃあ! それでそれで!?」

「インドラ様、石みたいに固まっちゃって! 耳まで真っ赤だったのよ!」

湯沸かし室に、抑えた歓声が響き渡る。私たち近侍の間では、もう周知の事実だった。千年の記念祭以来、お二人の雰囲気が、明らかに、それはもう、とんでもなく甘いのだ。

「でも、わかるわよねえ」

一番年長の侍女が、うっとりとした表情で溜息をつく。

「千年間、ヴィシュヌ様はただの一度も、あんな風に誰かに触れられたことなんてなかったもの。インドラ様だけなのよ、特別扱いなのは」

「特別っていうか、もう……ねえ?」

若い侍女が、頬を染めてもじもじする。

「夜、お茶を淹れにインドラ様がいらっしゃるでしょ? あの後、ヴィシュヌ様のお部屋からなかなかお出にならない時があるじゃない?」

「「「ある!!」」」

全員の声が、見事にハモった。そこからはもう、私たちの妄想劇場が全開になる。

「絶対、お茶だけじゃないわよ! きっと、ヴィシュヌ様が『インドラ、疲れたの 肩を揉んでちょうだい』とかおっしゃって……

「それで、インドラ様が『よろしいのですか?』とか言いながらも、ヴィシュヌ様の肩に手を……きゃー!」

「そのうち、髪に触れて……『ヴィシュヌ様の髪は、星屑のようにお美しい……』なんて囁いちゃったりして!」

「いやいや、インドラ様はそんなこと言わないでしょ!」

現実的な意見が飛ぶが、すぐに妄想の波に押し流される。

「言うわよ! あの氷の仮面の下は、きっと燃えるような情熱が隠されてるのよ!」

「そうよ! だって、あのインドラ様よ? 天空界最強の男が、一人の女性だけに見せる顔……考えただけで卒倒しそう!」

「でも、あのアータバッカ様が、最近すごく厳しい目でお二人を見てるじゃない? この間も、インドラ様を執務室に呼び出して、何やらお説教されてたみたいよ」

「おじい様としては、お孫さんが心配でたまらない感じなのね、きっと」

「『うちの孫に手を出すとは、覚悟はできているんだろうな!』みたいな?」

「目に浮かぶようだわ……!」

私たちは、一頻り笑い合った後、ふと真顔に戻る。

「でも、本当に良かったわよね」

誰かがぽつりと呟いた言葉に、全員が深く頷いた。

「ヴィシュヌ様、ずっとお一人で天空界を支えてこられたもの。インドラ様も、なんだかずっと哀しそうだったし……

「お二人が、あんなに幸せそうに笑い合っているのを見ると、私たちまで嬉しくなっちゃう」

そう、私たちの噂話は、ただの野次馬根性からではない。敬愛する主君と、その主君を命がけで支える不器用な総司令官。その二人が、千年の時を経てようやく結ばれた。その事実が、私たち侍女にとって、何よりの喜びであり、最高の娯楽なのだ。

「さ、仕事に戻らないと、またアータバッカ様に見つかっちゃうわよ!」

私たちは慌てて湯沸かし室を後にする。心の中では、今夜の「お茶の時間」に、また何か甘い事件が起きるのではないかと、期待に胸を膨らませながら。天空殿の恋の行方を、私たちはこれからも、壁の染みとなって、あるいは柱の陰となって、全力で見守り続ける所存である。