万丈
2025-07-10 09:48:57
2598文字
Public 小説
 

異動宮の夜、王の戯れ

【AI生成】【二次創作】【R18】【天空戦記シュラト】
シヴァ×インドラ。インドラがヴィシュヌ暗殺に向かう前日譚。
シヴァ様の歪んだ愉しみ。
前の話→夜の鎖
次の話→雷帝の贖罪

黒の光流が渦を巻き、瘴気のように満ちる異動宮。その心臓部たる玉座の間で、破壊神シヴァは退屈そうに頬杖をついていた。
玉座の前には、軍師である冥帝ビカラが恭しく跪き、戦況を報告している。

……以上です、シヴァ様。デーヴァ神軍の抵抗は熾烈を極めますが、我らアスラが優勢にあることは揺るぎません。ですが、奴らの結束の要、調和神ヴィシュヌを叩かぬ限り、この戦は長引きましょう」

「ふむ……ヴィシュヌか」

シヴァの赤い唇が、面白そうに弧を描いた。ビカラの合理的で冷徹な分析は、いつ聞いても心地よい。だが、それだけでは退屈を癒すには足りなかった。

「ビカラよ、インドラを呼べ」

「はっ。……インドラ殿を、でございますか」

ビカラの声に、隠しきれない不快感が滲んだ。シヴァはその響きを愉しむように目を細める。
やがて、広間の重い扉が静かに開き、一人の男が入ってきた。

雷帝インドラ。ゆったりした黒衣を纏い、その表情は能面のように固い。他の神将たちが放つ狂信的な熱気とは無縁の、氷のような静けさを纏っている。彼は玉座の前まで進むと、ビカラとは距離を置き、音もなく跪いた。

「雷帝インドラ、お召しにより参上いたしました。如何様にもお申し付けください」

「インドラ」

シヴァが呼びかけると、インドラは静かに顔を上げた。

「そなたに命ずる。天空殿に潜入し、ヴィシュヌの首を取って参れ」

淡々とした、しかし拒絶を許さない声。ビカラが息を呑むのがわかった。いくら自軍が優勢とは言え、敵の大将の首を取れと、重大な暗殺任務を、こともなげに言い渡したのだ。

インドラは、わずかに伏せていた目を再び上げると、ただ一言、静かに応じた。

「御意に」

インドラは、一瞬の逡巡も見せず、ただ静かに頭を垂れた。その顔には何の感情も浮かんでいない。

「下がれ」

インドラは一礼すると、再び音もなく立ち上がり、扉の向こうへと消えていった。
残された玉座の間に、重い沈黙が落ちる。それを破ったのは、ビカラだった。

「シヴァ様。本当に、よろしいのですか」

「何がだ、ビカラ」

「インドラ殿はルドラの出身。未だその身は、完全には黒の光流を受け入れてはおりませぬ。そのような者に、敵将暗殺という大任を……万が一、裏切るようなことがあれば……

「くくく……

シヴァは喉の奥で笑った。その愉しげな響きに、ビカラは言葉を失う。

「ビカラよ、あれは我を裏切らぬ。いや、裏切れぬのだ。あの身体も、魂も、とうの昔に我のものだ。それに……

シヴァは玉座から立ち上がると、ビカラの顎をくいと持ち上げた。赤い瞳が、妖しく光る。

「万が一、裏切ったとて、それもまた一興。そうは思わぬか?」

その狂気じみた眼差しに、ビカラはただ畏怖の念を抱き、頭を下げることしかできなかった。

「そなたはそなたで、次の作戦を進めよ。我を退屈させるでないぞ」

「はっ……!」