■ストーリー
刑事捜査支隊の副隊長、严峫(イエン・シエ)はたまたま訪れていたカラオケボックスで発見された凍死体の捜査に出動する。
カラオケの関係者だという、ハンサムながらも病的でやせ細った男に聞き取りをする严峫。
田舎出身の労働者だと話すその男は、先回りして捜査のヒントを与えたり薬物の専門知識を披露するなど、矛盾した印象を残す。
严峫は過去に会っていたことに思い至り、男の秘密を知ることになる。
警察・バディ・サスペンス小説。
■紹介
严峫(イエン・シエ):
本作の攻め。
刑事支隊の副隊長だが、実質的には隊長。
大富豪の御曹司で背が高く逞しくとてもハンサムだが、女にも容赦ないのでお見合いの連続失敗記録を更新中。
顔も態度も怖く見えるが、実際は温かく情熱的な心の持ち主で高い倫理感を持っており、隊員たちから兄貴分として慕われている。
見習いの頃に酒瓶1本で銃を持った犯罪者を制圧して功績を上げた武闘派。
※严峫の峫の字は読み方がxiéまたはyéの2つあるらしく、翻訳ツールにしばしば誤読されるのですが、严峫の読みはyán xiéが正解です。
江停(ジャン・ティン):
本作の受け。
とても頭の切れる謎めいた男。
長身で美形だが病弱で痩せている。
严峫に秘密を知られたことから捜査に協力するようになる。
上品で穏やかそうに見えるが、やることに容赦が無い。
严峫より2歳年上。
#作品ページに書いてあった紹介が的を射ているので引用したいと思います。(Claudeにて翻訳)
『严峫は表面上はちゃらんぽらんなお調子者だが、実は心が細やかで非常に正義感が強い。江停は知能指数が高いが体力・身体能力が劣り、発言は慎重に言葉を選び、性格は自制心があり用心深く、表面は温厚で礼儀正しいが、行動様式には邪悪な一面を持つ。』
■感想
すごかったです
……。(語彙力ゼロ)
とても面白い捜査ミステリーパートから始まり、1つ目の事件が解決した頃から挿入され始めるユーモアたっぷりのイチャイチャイチャイチャ∞、中盤から本格的に展開され始める本筋の「誰が裏切り者かわからない」「裏切り者が何人いるのかわからない」霧が立ち込めるような息苦しさや生死をかけたやり取りのとてつもない緊迫感、やっと暗雲が晴れるようなラスト
……。
終盤は苦しかったですが一気に読まされました。
極めて専門的な薬物/化学知識や検死知識に裏打ちされた立体的な捜査パート、3次元的に感じられる厚みのある人間像、爆笑必至のユーモア、心が浮き立つような愛の情熱の素晴らしさを描いたかと思うと、何度も繰り返される血みどろの格闘の迫力や霧が立ち込めるような事件の不可解さ、号泣せずにはいられない愛するが故の苦しみ、どの要素を取ってもレベルが高く、ほとんど欠点が見当たりませんでした。
警察小説としての出来は一般レーベルの大ベストセラー小説並みですし、BL小説としてもまさに命がけの愛を描いている作品です。
途中からふせったーに実況していたのですが、二人の人物像が3次元的なため友人に話しかけるような口調になっていましたし、苦しいシーンでは自分自身が严峫であるかのような感想になってしまうくらい没入していました。
この作者は緊迫感のあるシーンからの恋愛&ユーモアシーンによる弛緩、油断したところへの爆弾の投下が繰り返され、読者を退屈させたり疲弊させたりせずにぐいぐい引っ張っていく筆力があります。他の一流とされるBL作家よりも何枚かうわ手な部分があると思います。
カプについても、二人とも地に足のついたアラサーでとってもよかったです。
・二人とも無茶なワガママ言わない(使命・大局重視)
・相手を傷つけない。もし傷つけたら心から謝って行動で示せる
・严峫の江停ぞっこんぶりがすごい(情熱的で幸せそうで、見ていてうっとりします)
・相手に依存しない
・命がけで愛する、守る
チャーミングで愛情表現がどストレートな严峫とクールなのにシャイな江停、本当に信頼し合って好きあってて、応援すると言うより幸せも苦しみも我が事のように感じました。
かなり早くから恋愛関係になりますが、関係を隠すようなこともなく堂々としている二人です。
愛に酔っているということもなく、二人のやり取りはユーモラスですし、二人での生活は当初から夫婦同然の落ち着きっぷりです。
二人とも同性愛に対する戸惑いはあっても恥じる心が全く無いのもいいと思います。人は人、自分は自分という感じで精神的独立性が高いです。
一点だけ気になったのが「(主人公たちの手による)死人が多い」ということですが、
中国では違法薬物製造等の犯罪は殺人より重罪のようなので、日本とちょっと感覚が違うのかなということで納得しました。
単なる「面白さ」だけで言うと他にも匹敵する作品はあると思いますが、全体的に完成度が高く欠点が少ないこと、非常に複雑なプロットを飛び道具を使用せずにまとめ上げたことを鑑み、S評価をあげてもいいかなと思います。
この二人の二次創作を読みたいくらい気に入りました。
もっと楽しくて情熱的なイチャイチャを見たかったです。
続編の呑海で大活躍するとのことなので、近い内に読みたいと思います。(その前にこっちの2周目を読むけど)
あと、これ、ぜっっっっったい日本語版出したほうがいいです!!!(日本語版なら無修正ですし。※晋江は性描写削済)
解釈が合っているかわかりませんが、「破云」て内容に合っていていいタイトルだなと思いました。
■おまけ
実況していたふせったー。
事件についてはネタバレしてませんが、二人の間の出来事はネタバレしてます。
ふせったー
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