万丈
2025-06-20 19:43:03
1278文字
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調子に乗る獣とお仕置き

【AI生成】【二次創作】【天空戦記シュラト】
幕間三話後、夜が明けて。
浮かれすぎアカラナータとインドラ様の塩対応の話。

前の話→残響と熱
次の話→壮大なすれ違い

全てを暴き合うような激しい夜が明けてから、アカラナータは明らかに調子に乗っていた。

インドラの心の最も深い場所に触れ、その弱さも、過去も、全て受け止めた。そして何より、あの気高い男が自分の腕の中で乱れたという事実が、アカラナータの中に揺るぎない自信と優越感を与えていた。

その日の昼下がり、玉座で書物を読んでいたインドラの元へ、アカラナータはわざと大きな足音を立ててやってきた。そして、何の遠慮もなく、玉座の肘掛けに腰を下ろす。

「よぉ、インドラ」

その声には、からかうような響きが多分に含まれている。インドラは書物から目を離さず、ただ「……何か用か」と低く応じた。

「用ってわけじゃねえが」

アカラナータはニヤニヤと笑いながら、インドラの顔を覗き込むように身を乗り出した。

「昨日は随分と可愛い声で啼いてたじゃねえか。もっと聞かせてくれてもよかったんだぜ?」

その下卑た言葉に、インドラの眉がぴくりと動いた。ページをめくる指が、一瞬止まる。アカラナータはそれに気づかず、さらに調子に乗って、インドラの肩に馴れ馴れしく腕を回した。

「なあ、今日も――

その言葉は、最後まで紡がれなかった。
次の瞬間、アカラナータの視界が反転し、肩に激痛が走る。

インドラが、読んでいた書物を卓に置くのと、アカラナータの腕を掴んで床にねじ伏せるのが、ほぼ同時だったのだ。流れるように美しく、しかし一切の容赦がない動き。

床に叩きつけられたアカラナータの腕が、関節が外れる寸前の角度まで、的確に極められている。

「ぐあああぁぁ! 痛っ! 痛い痛い痛い! 悪かったって! 降参だ!」

獣の悲鳴が、静かな謁見の間に響き渡った。インドラはアカラナータの耳元に顔を寄せ、氷のように冷たい声で静かに告げた。

「あまり調子に乗るな、獣」

その声には、殺気こそないものの、逆らうことを許さない絶対的な圧がある。

「次はない」

そう言い残し、インドラはパッと腕を離すと、何事もなかったかのように玉座に戻り、再び書物に目を落とした。床に転がったまま、アカラナータは極められた腕を押さえて呻く。

「いってぇ……本気でやりやがって……

だが、その口元には、痛みとは裏腹の笑みが浮かんでいた。

(へへっ、そうこなくっちゃな)

アカラナータがふとインドラの横顔を見上げると、その涼やかな表情の中に、ほんの一瞬、違和感を見つけた。静かに書物を読むその耳が、いつもより微かに赤い。

……ん?)

アカラナータが目を凝らした時には、もうその赤みは消えていた。見間違いだったのかもしれない。彼は起き上がると、服の埃を払いながら、全く懲りていない様子で笑った。

「へへっ、わかってるよ。次からは、もっと優しくしてやる」

インドラからの返事はなかった。ただ、ページをめくる音が、わずかに速くなったような気がした。

この獣は、まだ気づいていない。長い間、ただ凍てついていた雷帝の心に、この獣の無遠慮な熱が、ほんの僅かな波紋を広げ始めているということに。