呪里
2025-06-16 18:41:47
3156文字
Public Code_Abyss 本編
 

episode:3 第二幕 〈泡沫の夢〉



 VIPルームの扉を開けると、中からふわりとシャボンの良い香りが漂ってきた。

 部屋全体が赤と金で装飾されており、床に敷かれたカーペットに足を置くと、綿わたを直接踏んでいるかのようなふわふわ感が心地よくて、その場で何度か足踏みをした。

 部屋の中を物色していると、壁面へきめんに埋め込まれた大きな水槽が目に入った。

 中では様々な種類の熱帯魚が自由に泳ぎ回っており、眺めているだけで時間が溶けていくようだ。

 「…………………

 ゼロはじっと水槽を見つめる。

 ゆらゆら揺れる水草や、不規則に浮かんでくる泡を眺めていると、頭の中から考え事がスーっと消えていくように感じる。

 このままずっと見ていたい。

 ゼロは人形のようにその場に立ち尽くしていた。

 すると

 〈ガチャ〉

 扉の開く音が聞こえた。

 ゼロは音に驚き両肩がビクッと上がった。

 扉の方向に体をひねると、口を抑えて笑いをこらえている二人が目に入った。

 「…………なに笑ってんだ」

 ゼロがそう口を開くと、二人は我慢出来なくなったのか大声で笑いだした。

 「だっだってそんなに驚くなんて思わなかったから

 銀色の髪をサイドテールにして結び、綺麗な青色の瞳に涙を浮かべた女性〈飛華あすか〉は、申し訳なさそうに眉を下げて言った。

 「呪里はさー、いつまでたっても急な物音に弱いんだよなー?」

 淡いピンクの髪をツインテールにした、水色とつづじ色の瞳の青年〈吠舞羅ほむら〉は腹を抱えてゲラゲラと笑っている。

 「吠舞羅……お前なぁ……

 怒りを含んだ声色こわいろでゼロはゆっくりと二人のいる方向へ歩き出す。

 「ご、ごめんなさい呪里。ちょっとからかいすぎたわよね。落ち着いてちょうだい?」

 「わりぃわりぃ。謝るから許してくれよ」

 二人から謝罪を受けると、ゼロは歩みを止め、不貞腐ふてくされたような表情になった。

 「さっ変身を解いて?この部屋には私達三人しかいないんだから」

 飛華から提案され、ゼロはふぅと息を吐きながら元の姿に戻った。

 「ピリピリした空気は私達には似合わないわよ。せっかくなんだし、今夜は心ゆくまで楽しみましょう?」

 飛華に続いて吠舞羅も、呪里に顔を向けてにかっと笑った。

 「そうだなぁ。なんてったって今日は久しぶりに……



























 「三傑が揃った特別な日だからな」