呪里
2025-01-30 23:53:04
1504文字
Public Code_Abyss 本編
 

episode:1 第三幕 〈ようこそAbyssへ〉


 時刻は16:00を過ぎたあたり。

 二人は熊の店長がいるケーキ屋を出て歩いていた。

 「あの呪里さん」

 「ん?」

 「その、Abyssの拠点ってどこにあるんですか?それらしい建物は見当たらないですけど

 少女は呪里と名乗る女性にそう問いかけた。

 辺りを見回してみても、拠点といえるような建物は無く、人気が少ない方向に進んでいるだけのように思えた。

 「兎々ととちが心配するのは分かるよ。でもこれはなんというか必要事項的な

 少女………有栖川兎々ありすがわ ととに質問されると、呪里は少し渋い顔をして答えた。

 「ぶっちゃけ言うとね、入口なんてどこにでもあるんだよ」

 「どこにでもある?」

 兎々は首を傾げた。

 「正確に言うと、どこからでも行くことが出来るかな。見ててご覧」

 そういうと呪里は、目の前にあった建物のドアに右手をつけた。

 すると、手の甲に薄ら模様が浮かびあがるのが見えた。

 五秒程経つと呪里は手を離し

 「よし、これで入れるよ」

 と言った。

 何が起きているのか兎々には全く理解できなかった。

 すると呪里はなんの躊躇もなくドアを開けようとしていた。

 「ちょ、ちょっと呪里さん!さすがに勝手に入るのはマズイですよ!」

 兎々が慌てて止めようとすると、呪里は当たり前のような顔をして答えた。

 「大丈夫だよ兎々ち。開ければ拠点はすぐそこだよ」

 呪里はドアをゆっくりと開けた。

 すると

 建物の外観とはまったく雰囲気の違う景色が中に見えていた。

 「………え?」

 戸惑う兎々を横目に、呪里は中に入ろうとしている。

 「なにぼーっとしてるの?はやくおいで」

 呪里は呆気にとられている兎々の腕を掴み、ドアの向こう側に入っていった。