【#深淵覗きの断章】深淵を覗く子よ

深淵覗きガーベラの、始まりの物語。

⚠原作の諸要素に対する独自解釈・捏造・オリジナル設定あり⚠
※本シリーズオリジナルの怪物(?)が登場します。
※戦闘・流血描写を含みます。

Fanmade by チーバオ(QiBao)
#sky創作 #sky二次創作


 ネモが生まれた季節の2つ前。
 忘れ去られた魔法の方舟の噂が囁かれていた頃に、私は生まれたの。
 この、謎だらけの王国に。
 雷鳴轟く、真っ暗な本拠点ホームのど真ん中に。

『神話の時代 銀河の煌めきは永遠を約束していた』
『その日、過ちを犯した星々は空を追われた』

 キミも見たことがあるでしょ。若い星の子は知らない、あの壁画の夢。
 生まれたての星の子に使命を伝える夢。

 夢から目覚め、私は孤島への門をくぐった。
 内なる光が指し示すまま、砂浜を駆け出して。
 洞窟を抜けて、薄紫の暁の砂漠へ。
 光の翼を手に入れ、ケープをはためかせて精霊たちを助けに行き、鐘の音響く神殿へ飛んでいったの。

 瞑想で孤島の大精霊様にお会いした時、私は初めて言葉を話した。
「だあれ?」
 大精霊様は私を見下ろし、大きな雲の山を杖で指し示めしてこう仰ったの。
「儂はこの島の大精霊……お前をあの山に導くものだ、小さき子よ。この先、儂とは別の大精霊たちがお前の訪れを待っておるぞ」ってね。
 神殿を抜けた私は、あの嵐の山暴風域への最初の巡礼を始めた。

 穏やかで暖かな緑の草原。
 冷たい雨降る青い雨林。
 夕日の赤に輝く雪の峡谷。
 暗緑色の夕闇に満ちた黄金の荒れ地捨てられた地。
 夢幻の紺の夜空を内包する書庫の塔。

 精霊たちの記憶を解放し、光の翼を集め、大精霊様たちに謁見し、たくさんの星の子に出会い、多彩な景色の数々に心奪われた。
 そして、恐ろしい、赤い闇の暴風域……その奥の原罪に足を踏み入れて。
 嵐の石っ子たちに、わずかな光の翼を必死で捧げて、最初の死を迎えたの。

 死んだ後に訪れる暗い空間で、初めて“独りぼっちのあの子”を抱き締めた時。
 私の全く知らない子で、でも遠いようで近しい存在だと感じた。
 だから「“あの子”の孤独を癒やせますように」と強く願った。
 “あの子”は私に翼を与え、天空への道を示してくれた。

 巨きな巨きな光の向こうの、転生の門をくぐって、私は再び王国に生まれ落ちた。
 そして、各地の精霊達と絆を深め、光の翼を集め、原罪で2度目の死を迎えた時。
 闇の嵐の只中で苦しんで死ぬ恐怖より、この世界に対する疑問が勝ったの!

 何故、“独りぼっちのあの子”はずっと暗闇に囚われたままなのだろう。
 どうすれば、私は“あの子”をここから助け出せるんだろう。

 あの子の名前は何だろう。
 “あの子”を助け出せた時、私は“あの子”にどんな名前と二つ名を名乗れば良いのだろう?

 何故、私は……星の子は生と死を繰り返すように出来ているのだろう?
 そもそも、この闇の嵐は……
 星の精霊たちの王国の滅びは、どんな経緯で引き起こされたのだろう?

 湧き上がった疑問は心の中で大きく膨れ上がり、『この世全ての謎を解き明かしたい』という願いへ変わった。
 そして、冒険と探究を極め、願いを叶えるため、私は今みたいに王国の各地を何度も巡って、何度も転生するようになった。
 それがどれだけ痛みと苦しみを伴うことか、解っていてもね。
 他の名有りの星の子たちと交流する中で、旧き星の子の文書の存在を知り、それらを集め始めた。
 他の子どもたちや“あの子”に呼ばれたい、私の本当の名前『ガーベラ』を思いついたのは、忘れられた方舟を素敵な魔法屋さんとして復活させた頃だった。

 でもね、二つ名は……私の在り方を示す二つ名は……
 楽園の島々を『光の生き物の聖域』として蘇らせた後に起きた、捨てられた地での不気味な出来事まで、全く決まらなかったの。

 ここから先は、初めてネモに話すお話だよ。