九條もぐ
2025-06-07 21:26:39
13634文字
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その想いは、春の如く

愛を知らずに育った剣♀と鬼と呼ばれ恐れられている伊が政略結婚することに。
しかし、その政略結婚には秘密があり…

1話以降は書き上げたら随時更新いたします。九條の都合で更新が遅れると思いますが、ご了承ください。温かい目で見守ってください
※時代背景…大正時代(一応)
※剣の性別…女性
※捏造あり、口調迷子あり


第一話

 ─バンバンッ!!─
「っうぅ
「オイッ、金食い虫!!いつまで寝てんだよ!!当主様がお呼びだ!!早くしろッ!!」
 それは彼女からしたら日常茶飯だった。ここは、名家・ヤマト家の屋敷の隅にある蔵。ヤマトタケルはここで日々を過ごしていた。
解っておる」
 この家にはタケルの居場所などなく、仕方なく住まわせてもらってるという状態だ。というのも、ヤマト家は昔から男尊女卑精神が強く女として生まれたタケルには人権がない。なおかつ実の兄とは双子として生まれてきたため忌み嫌われているのだ。
 タケルは眠い頭を無理やり起こし、お下がりの着物を身に纏い屋敷に向かう。タケルが屋敷内に入れるのは当主である父親に呼ばれた時だけ。風呂も近くの川で無理やり入り、食事も召使いの残飯のみ。無論、教養すら受けた試しがない。タケルは気分が滅入りながら父親が待つ、居間に到着する。
お呼びでしょうか」
「入れ」
「はい
 タケルが居間に入ると、父親と双子の兄そして母親の姿があった。兄はニヤニヤと嫌な笑みを浮かべていたが、タケルは気にもしなかった。
「タケルよ今日からお前は宮本様の家に嫁ぎなさい」
はい?」
 タケルは突然とある名家に嫁げと告げられた。その嫁ぎ先はヤマト家と深い繋がりがある宮本家だ。兄はニヤニヤしながら口を開く。
「お前はこの家から出ていけってことだ。良かったな、お前みたいな穢れ者を引き取ってくれる変わり者がいてな!!」
「しかも宮本家のご子息鬼と呼ばれるあの御方ですから」
(ああそうか遂に来たのだな)
 タケルは兄と母親の言の葉に絶望する。タケルはいつか必ず来る政略結婚という名の絶縁を今ここで云い渡されたのだ。
(もうきみに、会うことができぬのだな)
 タケルは記憶の片隅にある幼き頃に会った少年のことを思い出す。胸がキリキリと痛むのを堪えながら頭を下げる。
承知しました。今まで、お世話になりました」
「疾く浅草の宮本様の屋敷に向かえ。お前一人でだ」
はい」
 タケルはまた頭を下げ、居間を出た。

 蔵に戻り、少ない荷物をまとめヤマト家を後にする。
(もうここには、戻れぬのだなとは云え、何処へ行こうと地獄には変わらぬ)
 タケルは生きてることそのものが地獄でしかないと考えている。例えヤマト家と縁が切れようと
 だが、タケルはまだ知らなかったこの政略結婚は宮本家が裏で仕組んだとある計画の一環であることを。そして思わぬ再会を果たすことも

 *****

 ヤマト家の屋敷を出て一時間、タケルは浅草の町に到着する。常に人で賑わうこの町は夜でも明るいらしい。タケルはほとんどをあの蔵で過ごしていたので、それを知らない。
(人が多い。宮本の屋敷は何処だ?)
 日中の浅草は人が特に多く、人波に揉まれたタケルは屋敷が何処にあるのか解らず途方に暮れていた。タケルは嫌々ながら通行人に聞くことにした。
「すまない
「ん?なんだい??」
「宮本の屋敷は何処にあるか知らぬか?」
「宮本ってあの名家のか?」
 通行人はタケルのみすぼらしい格好を見て絶句する。こんな人物が何故あの宮本家に?と云いたげな顔だ。タケルは怪訝そうな顔をして「宮本家に用があるだけだ」と強く云ってしまう。
「わ、悪かったよ宮本様の屋敷なら、あの外れの方にあるデカい屋敷だよ」
「そうか感謝する」
 タケルは不機嫌そうな態度で頭を下げ、指さす方へと向かう。先ほどのやり取りを見ていた他の通行人から「あんなボロボロな格好であの屋敷に行く気か?」とか「貧乏人の行く場所じゃないだろ」とか好き勝手に云われていた。
(煩い、私だって私だって!!)
「好きで行く訳ではないのに
 タケルは泣きたいのを我慢しながら屋敷へと向かうのだった。

 ◇

 浅草とは思えぬほど静かな場所に大きな屋敷があった。その屋敷こそタケルの嫁ぎ先である宮本家だ。
「ここだよな」
 タケルは門をコンコンと叩く。だが、誰も出てこない。
間違いだったか」
 と思い去ろうとした時だった。
「はーい!!今行きますから〜!!」
 門の向こうから可愛らしい少女の声がした。すぐに門が開かれタケルと歳が変わらないであろう少女が出迎えてくれた。
「お待たせして申し訳ございませーん!!あっ、もしかしてヤマト様の
「あ、ああヤマト、タケルだ
 少女はタケルを見てニコッと可愛らしい笑みを浮かべながら頭を下げた。
「お待ちしておりました!!私は宮本カヤと申しって着物とかボロボロじゃないですか!?」
 だが、タケルのみすぼらしい格好を見て少女・カヤは絶句した。とてもじゃないが、名家の生まれとは思えないほどに
「って、あれ付き人とかは
「いない。私一人でここまで来た」
 カヤの問いにタケルは淡々と答える。カヤは呆れた表情を浮かべていた。
「まぁ、なんてこと!!こんなに綺麗な御方を一人でだなんて!!」
「えっ
(この子は今、なんと?)
 タケルはカヤの言の葉に驚きを隠しきれないでいた。みすぼらしい格好した自分に綺麗な御方と、カヤはそう云ったのだ。カヤはそんなタケルの様子にお構い無しに、手を握る。
「さっ、いつまでもここにいると大変なことになるので家の中に行きましょう!!そして、そのままお風呂に行きましょう!!」
「へっ!?」
「実はタケルさんがいらっしゃる前にお風呂を準備しておりましたので!着物は私のをお貸ししますので」
「えっ、ちょっ
 タケルはカヤに手を引かれながら、屋敷内に入る。流石は名家の屋敷、桁違いの広さにタケルは度肝を抜く。
(あの屋敷より広いというか、私のことを歓迎してる、のか?)
 タケルはまったく理解が追いつかないまたカヤに手を引かれるばかりだった。

 そんな様子を遠くから見守る者がいた
「あははカヤちゃん、強引だなぁまぁ、あの子の冷遇度合いを話したらめちゃくちゃ怒っていたしね」
カヤのヤツ」
「こーら、カヤちゃんはあの子がうちに来るのを楽しみにしてたんだからそんな顔をしないの」
「解ってますよ、姉さん

 *****

 一方のタケルは、屋敷内に入るなり浴室の脱衣場へと引きずり込まれていた。
「ご遠慮なさらず、ゆっくりとお身体を温めてきてください」
すまない、このような格好で来たばかりに」
 タケルはカヤに頭を下げながら詫びを入れる。しかし、カヤは頭を横に振る。
「お気になさらないでください。姉上からお話を聞いておりますあの家にいた時の仕打ちを」
「えっ
 タケルの存在は他の財閥には知られることがなかったため、酷く驚いた。どうして宮本家はタケルのことを知ってるのかタケルはそのことが頭から離れないでいた。カヤはタケルの手を握りながら笑顔を浮かべる。
「今日からここがタケルさんの家になるんです!遠慮だけはしないでください。私のこともカヤって呼んでください!!」
わ、解った。ありがとう、カヤ」
「はいっ!!では、私は着物を持ってきますのでごゆっくり!!」
 カヤはタケルに頭を下げ、脱衣場を後にする。タケルは着物を脱ぎ、髪も解いて浴室に入る。風呂の湯気がもわっと広がる。
これが、風呂
 まず髪の毛と身体を綺麗に洗う。いつも川の水で身体を洗っていたタケルはお湯の温かさを初めて知る。
「わぁあったかい
 冷たい水で洗うより綺麗になった感覚になる。髪の毛と身体を洗い終えたタケルは湯船に浸かる。身体の芯から温まる感覚にタケルはふぅっと息を吐く。
「あったかい風呂って、これほど気持ちいいものなんだ
 タケルが初めてのお風呂を堪能している最中、カヤはとある部屋に訪れていた。そしてタケルのことで声を荒げていた。
「本ッッッ当にあり得ない!!あんな綺麗な人をここまで付き人なしで来させるなんて!!」
「あははカヤちゃん、ご立腹だね〜」
「怒るに決まってるでしょ!?」
 カヤが向かったのは、屋敷の居間。そこには宮本家現当主・宮本武蔵とカヤの実兄・宮本伊織がいた。伊織とカヤは幼い頃に両親を亡くし、ここに引き取られた。武蔵とは元々いとこという関係だったのだ。怒り狂うカヤに伊織は静かに諭す。
「カヤ、少し落ち着きなさい。先ほどだって客人を困らせていただろう」
「客人じゃなくて家族でしょう!?兄ちゃん、しっかりしてよ!!」
「まぁまぁカヤちゃんの云う通り、今日から家族になるんだしなんてったって伊織くんの奥さんになるんだから」
姉さん」
 伊織は冷静沈着な性格と剣道の名手そして淡々と仕事をこなすというのが仇となり鬼と呼ばれ恐れられている。それでも宮本家の人間だから縁談を持ちかけられていた。どんな縁談を持ちかけられても尽く断り続けた伊織が唯一承諾したのがタケルとの政略結婚だった。しかし、この政略結婚にはとある思惑があった
これで、あの家があの子と関わらなくなれば私は良いんだけど」
そうですね」
 真剣な話をする武蔵と伊織をよそに、カヤは大きな声で「あっ!!」と叫んだ。
「いけない、タケルさんに着物を届けないと〜!!」
 カヤは慌てた様子で居間を飛び出した。
「カヤちゃんの着物着れるかしら?だいぶやせ細っていたし
「近々、着物を見繕うつもりです。それまではカヤの着物で我慢してもらう予定です」
「そうね
 武蔵は遠い目で居間の襖を見る。
(覚えてないでしょうねきっと)
 武蔵は昔のことを思い出しながら、物思いにふけるのであった

 *****

「ああちょっと大きいみたいですね」
 風呂から上がったタケルはカヤによって着物を着せてもらうがやせ細っていたタケルにはカヤの着物は少し大きかったようだ。
動きにくい」
「女物の着物を着るのは初めてですよね
「ああ兄上のお下がりを着ていたから」
 タケルの表情は以前として暗いままだった。カヤはタケルの手を握りまた微笑みかける。
「そんな顔をなさらないでください。ここにはタケルさんを侮辱する人間はいません、姉上も兄上もタケルさんの味方ですから」
……
(あたたかい人にこんなに優しくされたの、あの日以来だ)
 タケルはまた夢に見た少年のことを思い出す。ボロボロなタケルに優しく話しかけ、身体を拭い髪を梳いてくれた優しい少年。別れる時は父親に無理やり引き離される形だったので、名を聞くことができなかった。
『いつかいつか必ず、きみを助けるから!!きみを守れるように、強くなるから!!』
(会いたい、な)
 少年は別れ際にそう叫んだ。タケルはそれに泣きそうになったのを覚えている。タケルが黙りこむので、カヤは心配になりながら顔を覗き込む。
「大丈夫ですか?」
「えっああ、すまぬ。大事ない」
「そうですかでは、兄上と姉上がいる部屋に案内しますね!」
 カヤはタケルの手をひいて歩き出す。カヤによって連れられたのは大部屋らしき場所であった。
「姉上、兄上タケルさんを連れてきました」
「入って良いわよ〜」
 部屋から快活な女性の声が聞こえ、カヤはそれを合図に部屋の戸を開ける。部屋には女性と物静かな男がいた。タケルは男を見て硬直する。
(この男が鬼と呼ばれる人物)
「タケルさん、あちらが宮本家現当主の宮本武蔵そして隣にいるのが兄上宮本伊織です」
 カヤがタケルに丁寧に紹介し、タケルは頭を下げる。
「っヤマト、タケルです屋敷に赴いて早々ご迷惑を
「謝らないでよ〜、きっとああなるだろうなって解っていたし
 武蔵は謝るタケルに笑顔でそう返す。隣にいる伊織も優しい笑みを浮かべながらタケルの目の前に立つ。タケルは整った容姿の伊織に思わず見惚れてしまう。
「貴殿の境遇は姉上から聞いているよく、堪えたな」
 伊織はタケルの頭を優しく撫でる。タケルは驚いたのか、慌て始める。
「あっ、あのだ、ダンナさま?」
「伊織でいい」
「えっ
「あまり堅苦しいのは苦手でなだから、名で構わん」
い、イオ、リ
「うん」
 タケルは今も頭を撫でてくれる伊織に戸惑いを隠せないでいた。冷徹で有名な人物がこれほど優しくしてくるのが、不思議だった。武蔵はそれをニヤニヤしながら眺めていた。
「いいね〜、伊織くん青春しちゃって
姉さん、からかうのも大概にしてください」
 伊織は武蔵をジト目で睨見つける。武蔵はそんな伊織を無視して話し出す。
「伊織くん、剣道の腕とちょっと冷めた性格が災いして“鬼”だなんて云われてるけど本当は面倒見良くて優しい子なのです」
「はぁ
 伊織は何を云っても無駄だと解り頭を抱えながら溜息をつく。カヤはそれを見ながら微笑んでいた。宮本家があまりにも温かい雰囲気に包まれているため、タケルはどうしたら良いのか解らなくなっていた。
「そんなに緊張しなくていいわよ、今日から私たちは家族あなたも宮本家の一員となるのです!伊織くんの奥さんとしてね」
 武蔵はウィンクしながらタケルに語りかける。だが、長年の扱いのせいですぐには受け入れられないタケルは頭を下げるばかりだった。
「って、今すぐには受け入れられないわよねだから、あの家から解放してあげたかったのよね
「えっ
「表向きは政略結婚だけど、本当はあなたをあの家から解放してあげるのが最大の目的よ!あの当主が一度あなたも連れて訪れた時から、それを心に決めていたのです」
「私を、解放する?」
 この政略結婚は武蔵がタケルを初めて見た時から決めていたもの。ちょうどその頃には伊織とカヤもこの屋敷に暮らし始めた時期らしく、伊織の婚約者にしてあのヤマトの家から解放してあげたかったらしい。
「だからここでは伸び伸びと暮らしてオッケーなのです!この武蔵が保証します」
「姉さん
「あはは
 伊織とカヤは武蔵の言の葉に苦笑いを浮かべる。タケルは未だに雰囲気に馴染めないでいるが、ここにいても良いんだという安心感からやっと笑顔を浮かべた。
不束者ではあるが、今日からよろしくお願いします」
……
 タケルは深く頭をさげながらそう云った。伊織はタケルの笑顔に面食らっていたが武蔵は大興奮だった。
「やだっ笑顔、めちゃくちゃ可愛い!!」
「あ゛ッ
「姉ちゃん、駄目だからね!!」
 伊織は嫌な予感がしたのか、武蔵を取り押さえ始めた。カヤも武蔵に落ち着くよう説得し始めた。そんな雰囲気をタケルはただ、静かに見守っていた。
(ここであれば、きっと)
 憂鬱でしかなかったタケルの心境は、賑やかすぎる宮本家の雰囲気によってかき消されたのであった。

 ◇

 あの後、武蔵が完全にバーサーカーモードになってしまったためタケルはカヤによって寝室に案内されていた。
姉ちゃんが本当にごめんなさい」
「いや、構わないむ、ムサシはいつもああなのか?」
「はい姉ちゃん、可愛い子にはめっぽう弱くてタケルさんも笑えば好みなんだけどなぁって」
 カヤはげんなりしながらタケルに詫びるしかなく、頭が上がらないでいた。タケルはそんなカヤを慰めるしかできなかった。
「あれでも一応、宮本家当主なんだけどなぁ厄介事は全部、兄ちゃん任せだけど
「そ、そうなのか
「それも兄ちゃんが鬼と呼ばれる理由なんです仕事も淡々とこなしちゃうから
あれほど、優しい笑みを浮かべるのだな」
「あれが本来の兄ちゃんです、本当はとても優しいひとなんです」
 カヤとタケルは色んなことを語り合う。伊織や武蔵のことタケルはあの家での生活を話した。カヤはまたタケルの手を握り真剣な目で見ていた。
「タケルさん、ここにはタケルさんを傷つける人はいません。タケルさんが嫌ならタケルさんには使用人はつけないって姉ちゃんも云ってくれてます。だから遠慮はしないでください」
ありがとう、ここでなら安心して暮らせそうだ」
 タケルはカヤに笑顔を向けながら感謝を伝える。カヤも笑顔で頷く。
「しばらく姉ちゃんが騒がしいと思うので、ここでくつろいでください。私は姉ちゃんを止めてきます」
 カヤはタケルに一礼し、部屋を出た。初めて与えられた部屋、温かな光が差し込む和室。タケルは畳まれた布団に顔を埋めた。
柔らかい」
(こんな柔らかい布団で寝れるのか)
 蔵でボロボロの布団を敷いて寝ていたのが嘘だと思える。ずっと腫れ物扱いをされたタケルが初めて、人として扱われ人の優しさにも触れた。すると部屋に誰か訪れてきた。
「タケル入って構わないか?」
「イオリ?」
 タケルは布団から離れ、部屋の戸を開ける。げんなりした様子の伊織がそこにいた。
「先ほどは姉さんがすまないああなると、止めるのも大変でな」
「そ、そうか
 タケルは部屋に伊織を招き入れ、伊織は胡座をかく。タケルも伊織の目の前に正座する。伊織は複雑そうな表情を浮かべてた。
政略結婚には、抵抗ないのか?」
ないと云えば、嘘になる。だがあの家にいても、良いことなどない。私は忌み嫌われていたからな」
……
 伊織はタケルの待遇に胸を痛めるばかりだった。タケルの小さくもやせ細った手を取る。
「タケル俺は、お前のことが知りたい」
「えっ
「居間で笑顔を見て、更に知りたくなったんだお前という人を」
「イオリ
 伊織の笑みと言の葉にタケルの胸が高鳴る。タケルはどうしたら良いのか解らず、思わず目を逸らす。
私は、知らないことが多い」
「うん」
「人の温もりも、愛も知らないだから
「ゆっくりでいいゆっくり受け入ればいい。ここには、お前を傷つける輩はいない。お前を傷つける者がいるなら俺が、お前を守る」
「っ!!」
 ドクッ、ドクッとタケルの胸が高鳴る。頬も熱くなるのを感じたタケルは、完全に戸惑っていた。
(これはなんだ?どうしてイオリに)
 政略結婚家の都合によって引き合わせられた伊織とタケル。しかし、この運命的な出会いがこれから訪れる新しい日々の幕開けなのでした。