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usagipai
2025-06-02 16:56:02
4744文字
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フィナ、セナ
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3
デートの許可
仕事中のスフィーの前に、ぴたりと揃って立つふたりの影。
「スフィー様!」
スフィーは顔を上げる。フィナとセナだった。
どこか浮き足立ったような様子に、少しだけ眉をひそめる。
「どうされましたか、あなた方」
「えっーと、あのさ!」
フィナは声を弾ませながら、まるで誇らしげに言った。
「気になる子できたんだ俺たち」
ぱたん、とスフィーの手から羽ペンが落ちた。
スフィーのまつ毛がぴくりと揺れる。
「
……
人間の、女性に
……
恋を
……
した
……
ですか
……
?」
「そう、今度デート」
フィナは嬉しそうに胸を張る。
セナは少し照れながら、しかし冷静な声音で続けた。
「ですので、我々ふたりに“人間界ゲートの一時通行許可”をいただきたく。
もちろん任務終了後、日没前には帰還します」
スフィーはゆっくりと目を閉じた。
計算も、報告も、空理も破綻するほどの衝撃だった。
“天使は恋をしない”
――
その前提が崩れている。
「
……
しかも、デートの
……
人間界
……
ゲート入場許可まで
……
」
スフィーの声は、若干震えていた。
あまりに予想外だった。
「ね、いいでしょ スフィー様
俺たち最近ちゃんと働いてるし、あの北部の封印の件も無事完了したし」
フィナがぐいっとアピールするように身を乗り出すと、セナも補足するように言葉を添える。
「規定には“恋愛禁止”の文言はありません。任務妨害さえしなければ、個人の行動は自由のはずです」
スフィーは口元を引き結び、ふたりの顔を見比べた。
その目に映るのは、子どものようにきらきらと輝く瞳。
それが、“作られた存在”の目なのか
――
それとも、本当に心が芽吹いた目なのか。
スフィーは長いまつ毛を伏せて、ため息をひとつ。
「
……
いえ、驚いただけです」
「くれぐれも、問題を起こさないようにしてください」
その言葉が許可を意味すると悟った瞬間、ふたりの天使は顔を見合わせ、喜んだ。
「わーお、ありがと、スフィー様」
「助かります。お土産、買ってきましょうか?」
「別に要りません。
……
でも、道中の記録は提出してください。あとでジュピター様に説明するので」
「はーいっ!」
ぱたぱたと羽音を立てて、嬉しそうに去っていくふたりを見送りながら、スフィーはひとり呟いた。
「
……
恋をする天使、ですか」
その言葉には、少しの寂しさと、少しの希望が混ざっていた。
ジュピター様、
あなたの作った“欠けた者たち”は
――
どうやら、見ない間に変わっていってるようです
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