ボツネタの小話

シナリオネタバレなし

書きたいとこだけ
自陣聖.杯.戦.争 狂と騎による決戦……?




「────決着は過ぎたか」


 唐突な男の声、それはこの場の誰の声でもない。三人の視線は自然と同じ場所、聖杯が鎮座する台座へと向かった。敗退したソウゲツはおろか、優勝者であるバーサーカーとカンジにも目を向けない男が一人。聖杯を背に此方を向きながらもそんな態度の男に、カンジは見覚えが合った。


……ダージュさん?」


 ダージュと呼ばれた彼は、カンジに情報を流していた魔術師……アマヤメに仕えていた執事である。出会った時は落ち着いたスーツに身を包んでいたダージュだが、今は漆黒のロングコートを纏っていた。その気配は浮世離れしており、明らかに人間のものではない。


「なにもん、だ、テメェ」


 激しい憤怒を抑えながら、バーサーカーがダージュに問うた。ソウゲツは困惑した様子をしており、恐らく二人は共に彼を知らないのだろう。いや、カンジも彼が此処に居る理由に心当たりはないのだ。バーサーカーの疑問はカンジの疑問でもある。


「オレはサーヴァント。真名を、シュウ・シンシャ。かつて境界記録帯ゴーストライナーから降ろされ、器から零れた泥の具現化。
 定義された霊基クラスは────復讐者アヴェンジャー

……アヴェンジャー? そんなクラスは情報に無かった筈だが」

「当然だ、この霊基は特異エクストラな要素と構造で成り立っている。高等な魔術師……時計塔の基準で言えば、開位コーズ以上の実力がなければ知り得ないような難問だろう」


 ダージュ改めシュウは「魔術使いに近いお前たちには理解できないだろうが」と続け、ソウゲツの呟きに応え終えた。そして淡々とした彼は、ようやく視線を一人の人間に……カンジに合わせる。以前は眼帯で隠されていた右の真っ赤な瞳には、奇妙な模様が刻まれていた。


「そんなにもサクタ ヒロを取り戻したいか」

「!」


 カンジは強い動揺で、ソウゲツは驚愕でそれぞれ目を見開く。その名を知覚していたのは、前聖杯戦争の生き残りであるディルリナとアマヤメ、そして受肉したキャスターメルヘカだけだった。例外である自分たち幼馴染以外からは完全に消失した、していなければならない存在なのに。


「まずは前提の説明が必要だろう。その前に……


 彼は一度目を伏せ、再びゆるりと開く。視線の先には、未だ銃口をソウゲツから動かさないバーサーカー。その先を辿るように瞳を滑らせ、怪訝そうに眉間を寄せるソウゲツを見る。


「ッ!?」


 直後、地面から無数の赤黒い柱が現れた。高速で柱は横に連なり壁となり、ソウゲツとそれ以外で隔離される。

 早すぎる展開と予想できない現状で、カンジはとにかくソウゲツの安否を確認しよう駆け出した。しかし壁にたどり着くよりも先、これまた恐ろしい速度で動く存在が居る。だらりと俯いていた銃口を持ち上げトリガーを弾くのは、勿論バーサーカーだ。

 放たれた弾丸が貫くはずだったのは、平然としていたシュウである。だがその鉛玉が彼を撃ち抜くことは無く、ガギャンッ!という金属の破裂音を大きく響かせ真っ二つに割れた。

 ────否、斬り裂かれた。


……チッ」


 いつの間にやら、シュウの手には刀が握られている。剥き身黒い刃に聖杯の光が反射して、鈍く輝いた。カンジがそれらを理解したのは、バーサーカーが盛大に舌打ちをしてからである。



この後滅茶苦茶戦闘した