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kanaco
2025-05-16 21:34:21
7465文字
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【十二信】十二信SS(単作)まとめ(フセッター時代)
1P【ハタチになってから】モードに入ると止まらない十二くんと、お迎えにきた信一くん。
2P【牙(R18)】嚙みクセのある十二くんと、満更でもない信一くん。
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【牙(R18)】
十二とのセックスはまず手を繋ぐところから始まる。
十二の“そういう”スイッチがどこで入るかを信一は今も的確には掴めない。幼馴染で10代の頃から一緒にいるし、それぞれが慕う兄貴は義兄弟だし、九龍城砦の半住人である十二は信一にとって年の近い兄弟のようなものだ。しかしそんな十二が、信一の左手を掴み恋人のように指を絡ませて手を繋いだら「シてもいい?」と伺いを立てる合図だった。
一見直情型に見えるこの青年は、信一が良いと言わなければ紳士なもので手を出してこない。
自分たちが17,18歳の頃、好奇心に流されて十二と初体験し、お互いに勝手がわからず暴走した結果大変なことになった。信一は1日中熱を出して寝込み、3日は使いものにならず、その状態で龍兄貴に隠し通せるはずもなく九龍城砦全体に激震が走るほどの大雷が落ちたのだった。あの大激怒を、龍兄貴の部下たちや砦の住人は子供の信一と十二が黒社会の仕事で無茶をしたためだと思っているが、真実はもっと個人的で下世話なものだった。
それから十二は九龍城砦出入り禁止になり、信一は龍兄貴の説得に奔走する毎日となり、虎兄貴の元まで話は飛び火し、何故か後半には秋兄貴まで登場してきて龍兄貴に対する取り成しが大掛かりに行われた。
あんなに砦に顔を見せていた十二は信一の部屋を訪れなくなった。8日ほど経って痺れをきらし、龍兄貴の目を盗んで信一の方が初めて廟街の事務所に忍び込んだ。十二が信一の自室を外壁から訪れるように、信一は壁をうまいこと登って上層にある十二の自室に辿りつき、窓を叩こうと覗き込む。その時に見た十二の様子を信一は未だ鮮明に覚えている。ベッドの上で膝を抱え不安そうな顔しながら落ち込み、小さく丸まっていた子供みたいな十二を。窓を叩くとこの上なく焦った様子でこちらに走り寄ってきて、泣きそうな顔で謝ってきたことも。
十二が悪いとは思っていなかった信一は呆けた顔をして(うーん、こりゃコイツに合わせるために体力作りから始めねば
…
一体、どこを鍛えりゃいいんだ?まずは走り込みか?)と呑気に思った。そのまま伝えると今度は十二の方が呆けた顔をした。そうして「バカかよ」と返事しながら、安心したように嬉しそうに笑ったのだ。信一も泣いたカラスがもう笑った、と安心した。
その直後、部屋のドアが開き虎兄貴が入ってきた。真っ青になった2人を見て大きくため息をついた虎兄貴は、2人の頭を左右それぞれの手でガシガシと乱暴に撫でると、いくつかの約束をさせた。2人がこれからも一緒にいるための、お互いの体を労わるための、大切な約束だった。
十二からの誘いは実は多くはない。本来性欲が薄く、そういう色を見せない男だ。表社会ではカラリとした笑顔と人懐っこさで社交的に振る舞い、下ネタには学生のようなテンションまで。黒社会での興奮は血で洗われる。
しかし一度スイッチが入ると相も変わらず“がっつき”がスゴい。虎という動物は食事のための狩りを1~2週間に1度しかしないが、その1度に食べる量が多いと聞いたことがある。「こいつ、ホントそっくりだなぁ」と信一は思うのだ。そしてその狩りの捕食が自分に対して向けられるから、信一は十二とそういう風になる時はそれなりに覚悟をしている。
十二が信一の左手を掴み恋人のように指を絡ませて手を繋ぐ。信一がその十二の指先に小さくキスを贈れば「シてもいいよ」の合図だった。
競うように服を抜いで子供のようにベッドへ2人でダイブする。今更に色っぽい雰囲気など気恥ずかしくてだせない。それでも十二が信一をベッドに押し倒して顔と顔を合わせ、十二の少し緊張した顔を見ると信一もそれが伝播してくる。十二は最初の1回がトラウマだ。もう何回も体を重ねているというのに戒めのように反芻する。
十二は自分がシーツに縫い付けた両腕のうち、しっかりと指を絡ませた信一の左手の指を、親指から小指まで一本一本丁寧に舐める。これも儀式めいたお約束ごとのようなものだった。ある忘れもしない一日に「俺たちは握った手を離さない」と誓ったまま今を過ごしている。
信一の左手は十二のもので、十二の右手は信一のものだ。
十二が指を解いて左手を口元まで引き寄せると指の間まで舌を割り込ませた。信一はその舌の湿った感触に体を震わせる。うっとりと目を潤ませた信一がそのままの手で十二の顔を撫でた。気持ちよさそうにスリっと頬を押しつけて、まだいつもの調子を保っている十二がニッコリと笑った。
「うっわ、お前顔がトロットロじゃん」
「はぁ~?だ、だってお前が」
「俺ぇ?俺だからそんなにトロトロになっちゃうの?」
嬉しそうな笑顔で無邪気に言う姿はいまだ少年っぽさを残していると思う。
「えー何それ、めっちゃくちゃ可愛いじゃん」
しかしその瞳がだんだん欲に満ちてきて剣呑さを帯び始めると、年下の彼のエンジンがかかり始める。十二の右手がさらりと信一の喉元を触った。信一が少し首をしならせると喉元が晒されて十二の息がかかる。ちいさく主張する喉仏が丹念に舌で愛撫されて、急所を支配されている感覚に信一の息が上がっていく。くすぐったさの中に渦巻いていく悦楽は徐々に火がついていく。
「かわいい」
十二が夢見心地のように呟いた。いつもは信一より「自分の方が可愛い」とのたまうくせに、情事に入ると飽きもせず「可愛い」を連呼するこの男に自分はどう映っているのだろうか。
(一応、俺の方が年上なんだけど
……
)
好きなように体を舐めさせながら、ぼんやりとそんなことを考えていた瞬間、
「い、っ」
左肩からピリッとした痛みが走り信一は大きく体を跳ねさせた。
十二がパッと肩から口を離す。
「あっ
……
わりぃ。
…
噛み痕ついた」
十二のしおれたような声がする。
信一は十二の顔を両手で包むとそのままぐいっと手前に引き寄せた。その降りてきた頭に左右の腕を絡ませて固定し、自分から寄せて唇を合わせる。そのまま薄く空いている十二の口内に自分の舌をねじ込む。信一が慰めるように引っ込む舌を突けば、応えるように十二の舌が絡んできた。口の中を堪能するように十二の歯並びを一周なぞればそこで一際に尖ったような歯を見つけ、そこを丹念になぞった。
十二の牙だ。信一の体にいつも交わった跡を残す、愛しい牙。十二から鼻から抜けるような可愛い声が漏れる。満足した信一が両腕をパッと広げ、さらにぷはっと色気なく唇を離した。そして、
「この犬歯がなぁ~」とニヤニヤと笑う。
「うう
……
」
「可愛いよな。お前のチャームポイント」
十二がきょとんとした。
「別にいいんだよ、十二」
さっきしたようにまた頬を両手で包む。十二の猫のような釣り目が見開かれてアホ面に見えた。でもそれが可愛くもある。
「ほら、俺、昔より体力ついたし、もう龍兄貴の右腕やってるくらいに、強ぇし」
それに
「俺は最初の1回だって、骨の髄まで食べられそうで嬉しかったんだから」
あとさ、お前に嚙まれた方が、俺は、
「感じるし」
色っぽく笑う幼馴染を見た十二が呆けた顔をする。いつぞやの懐かしいその顔だ。そうしてまた、泣いたカラスがもう笑ったかのように、
「おまえって本当に、もう」
と、幸福にとろけるような瞳で笑う。
「たまんねぇ」
その掠れた声の湿度と、瞳に宿った欲の深度が数段階下へと沈んだのを感じて信一も笑う。十二の喉元がグルっと鳴いた。目の前にいる自分の大切な獲物を存分に愛して良い悦びに笑って口をパッカリ開けると牙がのぞく。その牙に信一がゾクゾクして、ますます誘うように蠱惑的に微笑む。
「うらぁ!」と十二が信一の体をひっくり返した。やっぱり色気ねぇ!と思いながら「うわっ」と叫ぶ。うつぶせになった信一のうなじから背中、腰、尻が露わになった。信一が首をできる限り捻って後ろを見ると、楽しそうに生き生きとした十二が目に入った。
信一の細い腰に吸い付く唇。その瞬間、遠慮なく歯が立てられてそのピリっとした刺激に信一の腰が跳ねた。そのまま舐める舌が背骨を這う。
「ふぁ
……
あ、あ
……
いっん」
熱い舌が肌の感触を楽しむように、ゆっくり透明な軌跡を残しながら登っていき、やがてうなじにまで到達する。長くなった髪がかきあげられて”さらされた”その”うなじ”に、腰の時よりも強く牙が食い込んだ。
「あっ..はっ」
信一が体と喉を弓のようにしならせる。さきほどマーキングを残した腰骨をしっかり掴んだ十二によって、信一の腰が強く突き出された。あられもない姿に十二がペロリと舌なめずりをする。
「ほんと、かわいい」
十二がのしかかってきて、耳元でそう囁いた。捕食されているかのような気分は、初めて十二と寝た時から変わらない。
(なんか交尾みたいなんだよね、とか言ったら龍兄貴は怒るかなぁ~)
しかもそれが興奮するのだといったら、絶対に良い顔をしないに違いない。
手前に投げ出された左手が十二に捕まって上に引き上げられ、人差し指が十二の口の中に呑みこまれた。牙がそれにあてがわれるだけで信一から熱い吐息が漏れる。不自然な体勢のままに十二が上からのしかかって、さらに体をこすりつけるように体重をかけるから、その苦しさの中で体温と匂いに包まれて信一の体の温度がより上昇する。
また十二の喉がグルルルと鳴いたような気がして、信一は嬉しそうに笑った。
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