【能楽鑑賞】#206 観世九皐会5月定例会

狂言「千鳥」 能「蝉丸」

観世九皐会 5月定例会【第一部】

矢来能楽堂
2025年5月11日(日)12:30開演

狂言「千鳥」
酒屋の主人:大藏彌太郎
    主:小梶直人
 太郎冠者:大藏章照
   後見:木村直樹

能「蝉丸」
   逆髮:桑田貴志
   蟬丸:観世喜正
   清貫:舘田善博
   輿舁:大日方寛、渡部葵
博雅の三位:吉田信海

 笛:八反田智子
小鼓:田邊恭資
大鼓:柿原光博

*・*・*

推し活が無くても定期的に能を観ないと飢えてしまうので(笑)、今週末はこちらにお伺いしました。

気軽にサクッと比較的リーズナブルに、しかも超至近距離でお能が観れる会があるのは有り難いです🥹スキ



狂言「千鳥」

太郎冠者は主人の使いでいつもの酒屋に行くが、勘定がたまっていて酒が買えない。そこで冠者は話好きな酒屋の隙を見て酒樽を持ち出そうと、津島祭での千鳥の話を始める。(公演チラシより)


和泉流では何度か拝見してますが、大蔵流では初見。以前、萬斎さんも、万蔵さんも、千鳥は大蔵流が面白いと仰っていたので、ずっと気になっていたのですが、やっとこさ機会が巡ってきました。しかもシテは最近お気に入りの彌太郎さん。期待しかありません😊


まず、彌太郎さんがシテだから太郎冠者かと思いきや、酒屋だったのは意外でした(太郎冠者狂言に変わりはないが、そういうケースもあるらしい)。

和泉流では酒屋と太郎冠者は酒を巡ってかなりバチバチしておりますが(笑)、大蔵流の酒屋と太郎冠者は仲の良い間柄という設定。互いの性格を知った上で、駆け引きをしているので、どこか和やかな雰囲気も感じました。

また、彌太郎さん演ずる酒屋が、太郎冠者の話を心から聴きたがる素振りから、この時代、旅行も容易ではないし、娯楽も少なかったと思うので、他人からアレコレ話を聞くことも当時の楽しみのひとつだったんだろうなーと感じました。とにかく話好きなのが伝わってきました。

でも太郎冠者がどさくさに紛れて酒を盗もうとするから、寸前のところで「面白くない!😤」と酒を取り返すわけです。その不貞腐れっぷりがちょっと面白かったです🤭

何度も失敗に終わった太郎冠者は、自分もそんなに暇じゃないからと、最初に言われた通りに一旦お金を取りに帰る素振りをみせると、なんと酒屋は話聴きたさに太郎冠者を引き止めます。そして、話が面白かったら酒を渡しても良いと言います。

喜んで話を続ける太郎冠者。だけど何故か太郎冠者はここでもどさくさに紛れて酒を奪い、今度は成功し逃げ切ります。しまった!またやられた〜😫と太郎冠者を追いかける酒屋でしたが、でもあまり嫌そうな顔はしていません。もしかしたら反応からして、いつもゲーム感覚で駆け引きを楽しんで居たのかもしれません😊


ということで和泉流と比べると、どこかほのぼのした印象でした。このゆるっと感が狂言らしいといえば、狂言らしいのかもしれません。

でも、和泉流のあの激しい感じも私は好きだな、と思いました(太郎冠者役は大変ですが🤣)。和泉流の方は、奪う側と守る側の関係性をより明確にして分かりやすくしてるのかもしれないな、と見比べて感じました。


ところで以前、彌太郎さんの舞台を拝見した時に、エアーでお茶を飲む仕草をした時に、めちゃくちゃ美味そうに飲むから、ホントに美味しいお茶が存在してるみたいで🤤、スゴイなと思ったんですけど、今回も、お酒の樽を運んで来る時、そして太郎冠者から奪い返して置いた時、その樽にホントにお酒が入ってるんじゃないかと思うくらい重量感があるように伝わった来てリアルでした。彌太郎さんのエアーをリアルに魅せる技術、スゴイな😳✨

これからも機会があれば、彌太郎さんの芸を堪能したいです✨

■備考【能楽鑑賞】日本能楽会 東京公演
https://privatter.me/page/679e3f79dfaf1



能「蝉丸」

延喜帝の第四皇子である蟬丸は生まれつき盲目で、勅諚により逢坂山に捨てられた。一方、狂乱となって都を出た姉の第三皇子・逆髪は、偶然通りかかった逢坂山で蝉丸が弾く琵琶の音を聞きつける。再会した姉弟は互いの境遇に涙を流し、やがて別れていく。


たぶん初見。でも過去に観たような観てないような記録が出てこないので観てないのかも?🙄(あやふや過ぎるw)

高貴な身分に生まれながら、障害の為にその人生を歩むことを許されなかった姉弟の物語。

先日、歌舞伎の「高尾懺悔」を観た直後なだけに、生まれた通りに歩める人、歩めない人、その分かれ目には時代というものにも左右されるのだろうな、と。そして、人生とは、運命とは何なんだろうな、と少し考えてしまいました。

■備考【歌舞伎鑑賞】新緑歌舞伎特別公演 2025
https://privatter.me/page/6819859be8622


表題は「蝉丸」ですが、こちらはツレが演じ、シテが演じるのは姉の「逆髪」の方であり、しかも後半まで出てきません。前半は蝉丸の運命が描かれます。

ワキの舘田さんが神妙な、切なげな表情で蝉丸に付き添っているのですが、先日の観世九皐会別会では役柄的に悪い顔をされていたので凄いギャップです(笑)

てか、ワキ方さんの中では、比較的、感情が顔に乗ると言いますか、表情で魅せてくれる方なんだな、と思いました。お声も良きですし💕

■備考【能楽鑑賞】観世九皐会別会
https://privatter.me/page/680f39a4e423d


蝉丸の盲目の能面は眉尻が下がっていた為、最初からとても悲しげです😢。だけど舞台上で高貴な身分から出家の姿に着替えるのですが(頭巾の着け方とか観れたのは貴重でした)、頭巾を被って眉が完全に隠れると、仏のような顔立ちになるのです。眉のある無しでここまで印象が変わるのか(眉って大事😅)

後半になると、いよいよシテ逆髪が登場しカケリを舞います。髪は異形を表すために片側だけ一部流した状態になっていますが、それがかえって美しく感じました。

狂乱となった逆髪ではありますが、舞う姿からは気高さが感じられて、高貴な身分の出であることが伺えました。

姉と弟の再会と別れには、少し心がキュッ🥺となりましたが、元々、能は悲劇を得意とする演能。そこから生まれる、能ならではの美しい舞台に酔いしれました。



観世九皐会別会 感想⬇️
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過去の観劇日記はコチラから⬇️
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