かなざわ
2025-05-06 23:24:19
18052文字
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君は愛されているよ よだつか版

芽衣子生存、司の下宿先が鴗鳥家になるIf
タイトル通り、よだつかを成立させるならを考えてみました。あらすじとプロットと会話文とメモのちゃんぽんです。
ノーマル版を読んでいる方は2ページ目からどぞ。3ページ目は番外編的なもののメモです。


【名港ウィンドFSCにて】
異例すぎる16歳からの開始ということで所属開始当初こそ浮いていた司ですが、人懐こくて明るい、かつ世話好きという性格で年上からは可愛がられ、年下からは慕われる、というポジションにおさまります。
これまで「実家(弟二人)→加護家下宿(羊)→鴗鳥家下宿(理凰)」と年下と接する機会が多かったので扱いに慣れているからか、特に年下の子たちに懐かれます。

普段は朗らか優しいお兄さんな司が、演技が始まると雰囲気がガラッと変わる、それもスケーティングスキルが高い、となればクラブメイトの初恋(淡いものからガチなものまで)をさらう確率が高そうだなと。
本人はひたすらにスケート一辺倒なので色恋どころではないのと、小学生から高校生への「好き」を聞いてもほほえましいなーくらいの気持ちくらいしか沸き上がりません。
一部のガチ告白してきた相手へは丁寧にお断りをします。
コーチたちの間でこっそり「初恋キラー司くん」って言われてたりしそう。
なお鴗鳥家に下宿を始めてからは慎一郎が保護者代理のため、司へのクラブメイトたちとのあれこれは大体報告されています。

【夜鷹と光】
(司20歳、慎一郎30歳、夜鷹?歳、光5歳)
慎一郎宛に夜鷹からの手紙が届いた際、慎一郎は夜鷹に電話で連絡をとろうとします。鴗鳥家には既に司が下宿しており、その件を話さなければならなかったからです。
しかしタイミング悪く夜鷹がスマホを壊していたため連絡がとれませんでした。

夜鷹に司の件を説明ができないまま、夜鷹が光を連れて鴗鳥家を訪れます。
インターホンに応答した司は、モニターに写っているのが夜鷹だったので驚きます。しかし彼が幼い少女の手を引いているのを見て驚き、タオルを二枚掴むと玄関へ走りました。
「はーい……
「ここ、慎一郎くんの家だよね?」
「そうです、けど……あの、とりあえず中入ってください。外だと、濡れるので」(夜鷹の手を握っている光の髪に雪がついているのを気にしている)
司は夜鷹にタオルを渡し、光の前にしゃがんで話し掛けます。
「こんばんは。髪、濡れてるから拭いてもいいかな? それとも自分でやりたい?」
「いらっしゃい、純くん。遅れたみたいだね。平気だったかい?」
「渋滞。ねえ、慎一郎くん」
夜鷹は光と話している司に目線を向け、どういうことなのという顔をしています。
慎一郎は肩を竦め、二人を中へ案内することに。

夜鷹は慎一郎以外に親しいスケート関係者がおらず、人のゴシップなどを調べたりもしないため、光を預けにくるまで「鴗鳥家に司が下宿している」ことを知りませんでした。(司が鴗鳥家に下宿していることはネットで調べればすぐ出てくる)
ただし、気が向いた時にスケート観戦はしていたため、司の存在は知っています。
夜鷹は司を「遅咲きのシングルスケーター、色々な選手の良いところどりのような演技をしている」のを見て自分と同じ目を持っているのではないかと気にしていました。

【話し合い、そして】
鴗鳥家で光を引き取るにあたり、子供が寝た後の話し合いで司が「俺が使ってる部屋を光さんに譲るのがいいと思うので、俺は一人暮らしします」宣言。
司は元々18歳になったら鴗鳥家を出て一人暮らしをするつもりでした。引っ越し遅れていたのは鴗鳥家(特に理凰)に止められていたのと、探す物件のセキュリティレベルが低く周囲から許可が出なかった為です。
司はシングルスケーターとして上位に名を残すようになっても、元々が一般家庭で育ったのもあり出来うる限り節約をしようとします。大会の遠征などで家を空けることもあるし男の自分にそうそう危ないことなんて起きないだろ、という意識なので木造二階建てボロアパートを引っ越し先候補として出してきたりで、周囲が許可を出せないまま鴗鳥家での下宿を続けていました。
慎一郎とエイヴァが住む物件のセキュリティ条件について説明していると夜鷹が「それなら僕のところに住めば」と提案。
夜鷹と司がルームシェアする流れになります。

【光と】
夜鷹とのルームシェアが決まった司ですが、引っ越し準備や諸々の手続きが終わるまでは鴗鳥家住まいです。(司が使っていた部屋の整理が終わるまではゲストルームが光の部屋)
司が下宿しているというのは光にも「自分と同じ境遇の人がいる」という仲間意識に近い感覚を与えます。
大きな目で見つめてくる光は、緊張というよりもこの場所を見定めようとしているようでした。
「あのね、光さん。慎一郎くんも、エイヴァさんも、理凰さんも、とても素敵な人だよ。光さんに何かをしなくちゃいけないって無理強いすること、絶対にないからね」
「司くんは、えらんだの?」
「助けてもらってるよ」
「そうなんだ……

夜鷹は光の事情を語らず、光も同じ。
ただ、光の抱える焦燥感のようなものを感じ取った司は、この優しく暖かな家が彼女を包み込んでくれるようにと願います。

司は鴗鳥家を出てからもちょくちょく呼び出され顔を出しますし、夜鷹と光の関係を知る数少ない人間として光と関わるようになります。
司は光の夜鷹への憧れを否定せず、ただ行き過ぎるようならやんわりと「あなたがそうすると俺はこう思うよ」みたいに話して光の抱える焦燥感の緩衝材になってくれたらいいなと。

【理凰と】
理凰は夜鷹を知ってはいましたが、父の友人で黒い服のよく分からない大人、程度の認識でした。
現役時代の映像を見たことはあるのでスケートが上手かったことは知っていますが、昔の話だし「司くんのほうがすごいもん」と思っているので原作ほど夜鷹を毛嫌いすることはないです。

ただ、今まで何度か阻止出来ていた司の引っ越しを止められなかった理由が「司が夜鷹とルームシェアするから」にあると知った際は大暴れしました。
最終的に司のキャリーケースに入ってついていくとまで言い出したので、代替案としてスケートが忙しくない時期は二週間に一回ご飯を一緒に食べるという取り決めをすることでどうにか場を収めています。

【司、夜鷹とルームシェア開始】
夜鷹と司は「お互い認めている・尊敬している部分はあるけどスケート感については違う」状態です。
「犠牲を払ったから勝てた」な夜鷹。
「支えがあるから進んでいける」の司。

それに加えて、これまでの生活水準が全く違うので、最初のうちはお互い相手にどう関わればいいのか分からなくて戸惑います。
何せ「お金に不自由したことがない夜鷹」と「一般中流家庭出身で金銭面問題でスケートを諦めざるをえなかったかもしれない司」なので、そもそもの経済的価値観がまったく違います。
なので、ルームシェア開始当初は色々揉めそうです。

夜鷹は物に当たる性格なので、初めてそれを目にした司はショックと怒りで「なにしてんだクソ金持ち野郎!!」とか罵倒したりしそうです。夜鷹が面と向かって怒鳴られたことに驚いているうちに、司が自分の部屋に駆け込んだり。
尚夜鷹は後々司との距離が近づいても、時々この話をしたりします。夜鷹としては怒鳴られたことが面白かったようです。
お互いスケートオタクではあるのである程度の擦り合わせが終われば「気に食わない考えを持ってる所あるけどスケートの上手い相手」にはなるかなと。
基本的に誰かに手を差しのべることが苦ではない司なので、年上なのに生活力のない夜鷹に呆れつつあまりにも気になるところでは面倒をみるようになったり、要望を言葉にして伝えるようになっていきます。

ルームシェア開始すぐの二人の心境は
司から夜鷹→「スケーターとしては伝説になってるくらいなのに生活力がダメすぎない?言葉をオブラートに包むことも出来ないから全方位攻撃しますって物言いになってるしえ、俺本当にそんな人とルームシェアやってける?」
夜鷹から司→「稀有な能力持ってるのに他に意識向けすぎ。どうして氷の上以外に目を向けてるの」
辺りです。

【夜鷹の心境の変化】
夜鷹は過去に恋人がいたこともありますが、演技の幅を広げる為に擬似的に作った契約恋人(相手了承済み)だったので本気での恋をしたことがありません。
現役引退してから恋人を作ろうと試したこともありましたが、上手くいきませんでした。
その夜鷹にとって、誰かと同じ部屋で暮らすのは未知数の経験でした。
光の生活の場を保障するための代替案で自分から言い出しておきながら、どうなるかと警戒していた夜鷹ですが、擦り合わせさえ済んでしまえば司はルームシェア相手として悪くはありませんでした。

決められた共有スペースでのルールさえ守っていれば過剰に干渉してくるでもなく、たまに話し掛けてくるのもうるさくない頻度でした。
相手との距離感の線引きがきちんとしており、それは夜鷹からすれば少し意外でもありました。
鴗鳥家で理凰を構っている様子などを見ると、もっと過干渉なタイプなのかと思っていたので。
「君はもっと距離が近いタイプなのかと思ってた」
「気になってることはありますけど、成人男性相手にぐいぐい行くのももおかしいじゃないですか」
「別に。好きにしたらいい」
 なんて会話があってから、少しずつ話をする頻度が上がったり、リビングで過ごす時間が長くなったり、じわじわと交流をするように。
煩わしいだけだろうと思っていた共同生活に対し、いつしか悪くないと考えるようになっていきます。

夜鷹の変化に気づくのは慎一郎だと思います。
慎一郎は過去に名港ウィンドFSCで数々の「初恋キラー被害者」を見ているので、夜鷹が司を目で追ったり、なんとなく一緒にいたがるような態度を見て夜鷹の恋心に気づきます。
家族(弟)扱いしている司と、現役時代から苦楽を分かち合った親友の夜鷹、どちらも大事な慎一郎は夜鷹の背を押すべきか迷います。
ルームシェア当初は揉めることも多かった二人ですが、お互い擦り合わせが進み上手く生活をしていました。

慎一郎は司に改めて夜鷹との生活や、彼をどう思うか聞くと「慎一郎くんも知ってると思いますけど、どうしようもないところが多い人ですよね。なんとなく放っておけなくなるというか。最初は色々驚かされましたけど、うん、今は面白い人だなあって」という返答。
これを聞いた慎一郎は、夜鷹の背を押す決心を固めます。何せ「相手の悪いところ(欠点)も許せるならそれは愛」だと思っているので。

【自覚】
慎一郎に恋心を指摘されても、夜鷹は氷に乗っていない自分を「つまらない人間」だと思っているのでなかなか踏み切るに至らないと思います。
そもそも20歳の司は現役シングルスケーターで、2年後のオリンピックでは金メダル候補として有力視されている状態。司の生活は第一がスケート、第二が鴗鳥家と加護家で構成されていてそもそも恋愛をしようとする素振りがない。
司が恋人を作ろうとしないことに安心しつつ、自分が選ばれるわけがないと思っている夜鷹はせめてルームシェアをしている間だけでも司との生活を大切にしようと考えます。

司が海外遠征から帰ってくる日、料理は作れないけどせめてコーヒーでも淹れてあげられないかと挑戦をしてみるけど普段しないことが上手くいくはずもなく失敗。リビングのソファで鬱々と転がっているところに司が帰宅します。
「夜鷹さん、いないんですかー……ってどうしたんですか、また何か壊しました?」
帰宅するなり夜鷹の様子に気づいた司に申し訳なくなりながら、事の経緯を説明します。司はキッチンにドリップコーヒーを淹れる為の諸々の器具が転がされているのを見て、それが壊されていないことに気づいて夜鷹を褒めます。
「俺がコーヒー淹れる道具って知ってたから壊さないでいてくれたんですよね。夜鷹さんそんなにコーヒー飲まないのに。俺のためにしてくれようって気持ちが嬉しいので、怒ってないですよ。それより、俺帰ってきたんですけど?」
……おかえり、司」
「ただいま!」
なんてことない日常の挨拶を交わした瞬間に、夜鷹は自分の気持ちをようやく自覚します。

ちなみに夜鷹は知りませんが、このコーヒードリップの器具諸々は、引っ越し祝いとしてエイヴァから贈られたもので司はとても大切にしていました。
鴗鳥家では甘党の慎一郎の為にスイーツが出ることが多く(ドーナツ好きの司が下宿してからは尚更)、甘いものは好きだけどそればかりじゃ口の中が飽きるわよね、とコーヒーもセットで出されるのが日常でした。
出されたコーヒーが美味しいことに感動した司がエイヴァに淹れ方を教わったのをきっかけに、ドリップコーヒーを淹れるまでにハマったという経緯があります。

【進展】
夜鷹はスケートに関すること以外の感情には不得手というか、ある種のピュアさがあるのではと思います。
司への恋心を自覚しても言葉にして告げるようなことはないですが、態度や言葉の告げ方、眼差しなどに甘やかな雰囲気が乗るようになります。
つまり夜鷹が何も言わなくても「司が気づく」という。

司も最初は「なんで俺……?顔は普通だし、ルームシェアした最初なんて怒鳴り付けたこともあったのに。夜鷹さんならどんな相手でも選び放題だろ」と戸惑いますが、夜鷹があまりに真摯であると悟り自分が夜鷹をどう思うか真剣に考えます。考えて「好かれていてもイヤじゃないな、むしろ嬉しいかも?」という結論にいたります。
司もスケート一辺倒で恋愛経験がないので、その辺りはふんわりしてます。

ある日テレビでとあるスポーツ選手の熱愛報道が流れるのを見ていた司が「夜鷹さんに現役の時恋人いたら、報道すごいことになってそうですよね」と何気なく言うと、夜鷹に肩を掴まれます。
驚く司に対し「ここにいる間は、恋人作らないで」と言う夜鷹。一見するといつも通りの無表情ですが、そこに必死さと一抹の寂しさを見つけてしまった司は自分の言葉は夜鷹を傷つけてしまったと悟ります。

「その恋人が、夜鷹さんであってもですか?」
「なに言ってるの」
「だって夜鷹さん、俺のこと好きでしょう」
……僕の気持ち、気づいてたんだ」
「夜鷹さん、自覚ないと思いますけど結構態度に出ますよ。親しくないと分からないレベルなので日常的に問題はないでしょうけど」
「ルームシェア、解消する?」
「えっ、なんでそうなるんですか」
「君はもう少し危機感を持ちなよ。同じ部屋に住んでる男に好かれてるって」
「俺は夜鷹さんに好かれてて、嬉しいのに?」
「司。そういうの、良くないよ」
「何がですか」
「相手を増長させる」
「ええ……そこは両想いで嬉しいって言ってほしいんですけど」
「君は現役のスケーターだろ。自分を損なうようなことを言うのはどうかと思うけど」
「あ、夜鷹さん俺のこと抱きたいんですね。男同士の場合受け手側って負担あるんだっけ。じゃあ、そういうのはオフシーズンの時で」
「は?」
「お付き合い、するでしょう? ちなみに俺も恋愛に関しては初心者なので、よろしくお願いしますね」
「よろしく……?」

【報告】
ルームシェアをしている状態からお付き合いに至ったので、初日から同棲になります。
二人とも成人しているしプライベートなことなのですが、話し合った結果親しい人には報告をしておこうということでまとまります。

夜鷹・司・慎一郎の三者面談では、慎一郎はもちろん二人を祝福してくれます。
凍り付いていた親友の世界がようやく回り出したのを見られて嬉しい、しかし。
「それはそれとして純くん。司くんを泣かせたり傷つけたりしたらすぐにうちに回収するからね?」
って釘を刺すと思います。しかも回収するっていうのは本気です。

夜鷹は深夜の光への練習の際に、慎一郎から言われたことを話したりします。
夜鷹は気軽な話が出来る知り合いがほぼおらず、かつ司と暮らして精神的に安定しているので光とも雑談めいた気安い話が出来るようになっています。
勘が鋭く早熟な光は、時に夜鷹が驚くような視点でものを見ていることがあります。
夜鷹から慎一郎の「司くん回収発言」を聞いた光は「コーチ、それ脅しじゃなくて本気ですよ。この前エイヴァと家の増築についてパンフレット見てたんで」「?!」ってなったり。

夜鷹・司・加護家の面談は終始和やかに進みそうです。
耕一と芽衣子は司が夜鷹純に憧れてスケートを始めたのを知っていますし、その情熱が夜鷹の世界を変えたというのもすんなり納得しそう。
唯一羊だけが「大好きな司くん」がとられてしまったことにショックを受けますが、司が「俺はいつになっても羊さんのお兄ちゃんでいるからね」と言ってくれて安心します。

親しい人とは別枠ですが、慎一郎経由で夜鷹に恋人ができたと知る人物がいます。
かつて夜鷹のコーチをしていた経験のある梟木です。
慎一郎は梟木が今でもコーチ時代に純にもっとしてあげられたことがあったのではないかと気にしていることを知っており、少しでも彼の心配を軽減出来ればと考えました。
慎一郎は純に恋人の件を梟木に話していいか確認をとり許可をもらってから、相手の名前を明かさず「純くんなんですが、先日恋人が出来たと報告がありまして」という報告をしました。
梟木はそれを聞き「そうですか……」と感慨深げに呟きました。

司も自分から積極的に吹聴することはなさそうですが、クラブメイトの雉多辺りは鋭そうなので察して「最近なにかあった?」とか聞いてきそうです。
原作で現役時代は「暴れんボーイ」呼ばわりされている雉多ですが、アシスタントコーチ時に生徒に花束を用意するなどマメな性格をしていそうなので、人の機微に敏そうだなと。
司が「あー……うん。お付き合いしてる人、出来て」って照れながら認めるのを見て「今度記念日にはうちで花買ってって」ってさりげない祝福をしてくれそうです。

【変化と訪れ】
夜鷹との関係が変わったことで、司の演技にも変化が出ます。
元々情感たっぷりなプログラムを滑る選手として評価されていたのが、より洗練されたものに。
司の趣味が読書であるのはこの世界でも変わっていないので、元々は読書で身に付けた知識や感情を再現して滑っていたのが、自身の感情に裏打ちされたことによりこれまで以上に説得力のある演技になりそます。

そのまま司は世界選手権で滑り、そのスケーティングに興味を持った振付師・レオニード・ソロキンが夜鷹にコンタクトをとってきます。
「ねえ純、日本のツカサ・アキウラジって知り合い? 彼に連絡取りたいんだけど」(明浦路が発音しにくくて名前を間違えている)

司のスケーティングの基盤には夜鷹があるので、レオは夜鷹と司が知り合いなのだろう、くらいの気持ちで連絡をしてきています。
夜鷹もレオの振付師としての実力は確かなものだと知っていますし、彼の振付でより洗練された世界を表現する司を見たいと紹介する流れになります。

【新境地】
これまでの司のプログラムには「恋愛」を主体としたものはありませんでした。
司自身が恋愛経験がなく想像でしか再現出来ないのと、彼の体格では「勇敢さ、勇猛さ、力強さ」などをメインにしたプログラムの方が映えると思われており司自身もそれが無難だと考えていたからです。映画のテーマ曲などを使用した際に添える程度に恋などが組み込まれていたことはありました。

だからこそ、レオがもってくるのはバチバチにゴリゴリの「恋愛」メインのプログラム。
それもSPで「男性から女性への愛」を、FSで「女性から男性への愛」という対になるようなものを。
男性的な体格の司が「女性的な表現」をする、それも情感たっぷりに、観ている人を夢中にさせるほど。
「人目を引き付けるための最初の仕掛け、それは意外性だよ。ギャップ、驚き、そういうものに、人は視線を向けずにいられない」
「それで、俺が今までメインテーマにしたことがない『恋愛』ですか」
「そう。でもそれだけじゃあ足りない。引き付けた目を、そのままずっと、君に向けさせ続ける。その為に何が必要か分かるかい?」
「上手さ、技術、熱量、リズム感、説得力……どれも全て大事だけど、俺は」
「君は?」
「引力だと思います」
「はは、いいね! 引力か。それなら僕がキミへ送るプログラムは『太陽』と『月』にしよう」
 月は太陽に恋をするんだ、熱烈にね。

これまで衣装については曲の世界観を壊すものでなければ特に注文を出さなかった司が、今回だけは「どこかに太陽と月のモチーフをいれてください」って注文を入れます。
周囲の人たちから見ると太陽が司、月が恋人(夜鷹)になるんですが、司としては自分をスケートに導いてくれた夜鷹が太陽、それに照らされた自分が月、という認識です。
司はインタビューなどでもそれは誰にも明かしません。真意は自分だけが知っていればいいと考え、このプログラムを向けた先にいる夜鷹にも伝わると信じています。
(FPの最初のポージングは、衣装の肩に刺繍された太陽のモチーフに唇を寄せたものから始まる)

逆転の妙をつく演出はで、あえてそれぞれの曲を従来のイメージとは逆で仕掛けたり。
・力強さや明るさを示す太陽(男性から女性への愛)で静かな曲調から始まるオペラ
《カルメン》より“花の歌”など

・静けさや暗さを示す月(女性から男性への愛)でアップテンポかつ途中でエレキギターなどが入ってくる曲
Florence + the Machine「Cosmic Love」など

【返信】
夜鷹のリンク貸切に同行させられる司。
何を滑ろうかな、それとも何か滑ってもらおうかな、と考えているとリンクサイドに立たされます。
「見てて」
そう告げた夜鷹がリンク中央へ。そこで彼が取ったポーズは見覚えのあるもの。
あ、と思っているうちに曲がかかり、夜鷹が滑り始めます。
司がFSで滑った「月」のプログラム。それを夜鷹が再現して演じます。
ただし、プログラムそのままではなく、ところどころに夜鷹の入れたアレンジ入り。ジャッジアピールはもちろん司へ向けて。
曲が終わると同時に司は夜鷹の元へ。
「言ってくれれば花束用意したのに」
「言ったらサプライズにならない。どうだった?」
「俺だけで見てていいのかなって思うくらい完成度高くて、けど絶対他の誰にも見せたくないくらい、俺への気持ちで溢れてました、ね?」
「うん。このプログラム、捻り多くてキツいね」
「俺の体格で女性的な表現するには仕方ないんですー」
「そうだね。僕だけで一人占めしたかった」
「わぁ。純さん、熱烈過ぎません?」
「大会で僕への愛を滑りきる君が言えたことじゃないよね」

【あなたに感謝を】
夜鷹と司のルームシェア開始が司20歳
恋人関係になるのが司20~21歳頃
レオ振付のSP月、FS太陽完成、司21歳
オリンピック出場、SP月FS太陽を使用。エキシビションで純と共同製作したプログラムを使用。司22歳

このエキシビションのプログラムでの使用楽曲がこのために用意されたオリジナル曲(タイトルが『月と太陽』、作曲は日本の新鋭アーティスト)
エキシビションは小道具の持ち込みが可能なため、曲の最後(2〜3分)に純と共に滑る

司・足首辺りが黒に近い濃紺、上にいくにつれ明るくなり首もとは白。スパンコールなどの飾りは夜空を思わせる部分にだけ星を彷彿とさせるように。胸元心臓の辺りに金色の糸で太陽モチーフデザインの刺繍。夜明けをイメージ。
夜鷹・白を基調としたシンプルめのデザイン。シニアに上がってからの夜鷹は寒色系の衣装ばかりだったので白い衣装はレア中のレア。スケオタが絶叫する。

コンセプトは『あなたに感謝を』で、司がこれまでの人生で関わってきた人たちに『ありがとうございます』を贈るようなプログラム。
迷い、葛藤から始まり、かけがえのない出会いや別れ、唯一に出会えたことへの惜しみない感謝、が込められた振付。

この『感謝する』プログラム製作に夜鷹が関わっているというのが大きいと思います。
夜鷹は氷から降りた生活に馴染めず、どこか厭世的に生きていました。ほぼ唯一の関わりが慎一郎だけという狭い世界で、本人もこのまま終わっていくだろうなと諦念していたというか。
そこに光に指導をするというイレギュラーが舞い込み、光を預けに行った先の鴗鳥家で思いがけない出会いをする。
人は誰かと関わりながら変わっていくのか、これまでも意識していなかっただけでそうだったのか、と司との関係を築いて初めて夜鷹も気づきます。

ここでタイトルの『君は愛されているよ』が司だけではなく夜鷹にも、ひいては登場人物全員に向けられた言葉でした、に。

【プログラムが完成するまで】
プログラム製作当初は、夜鷹が出演する予定はありませんでした。
エキシビション製作を進める途中、司が鴗鳥家で資料を探している時に流れた映像でシングル選手がアイスダンス選手をゲストで呼び一緒に滑っているプログラムがありました。

司が家にいるのが嬉しくて同じ部屋で映像を見ていた理凰(7歳)が「エキシビションて誰かと滑ってもいいんだねえ司くん、おれのエキシビションで司くんを呼んだら、一緒に滑ってね!」と言い、その言葉をきっかけに司は(プログラムに純さんを呼びたい)と思いつきます。(恋人関係になってから純さんと呼ぶようになっている)

司に話を持ち掛けられた最初、夜鷹は難色を示します。
現役を退き、競技者に戻らないという意向で喫煙もしている自分が滑るのは違うだろう、と。
夜鷹の喫煙ですが、ルームシェアを開始してからは現役選手に副流煙を浴びせるのはマズイからと自室でしか吸わず、司と恋人になってからは苦いキスを味わわせたくないという気持ちで本数がかなり減っています。
そもそもがリンクの貸切につられて光の指導に興味を示したくらいにスケートを大事にしている、そして引退して尚磨かれ続けている技術を知っている司は納得しません。

純との距離を詰めつつ(何ならハグしたりでもいい)「純さん、俺はプログラムで貴方を世界に自慢したよ。貴方は俺を世界に自慢したくないの?」
ちなみに純は司の敬語がとれた状態での話し掛けに弱いです。司も純がそれを好きだと分かっててここぞの場面で使いました。
自己肯定感強い明浦路司、最強無敵なのでは??

純は競技者に戻るつもりはなく、今回のような機会がなければ誰かに対して『感謝する』ことも知らないままだったかもしれない、それなら司のくれたボーナスステージとして一度だけ競技者だった自分とその時に関わっていた人たちへの感謝のために氷の上に戻ろう、と出演を決めます。
もちろん『司を世界に自慢する』が魅力的な誘いだったのもあります。