03 After Death
これがDIOの思い出の、最後の再生だ。
「やはり、お前が来るだろうと思っていた
……空条承太郎」
今日、死刑執行人が、襟の鎖を鳴らしながらやってきた。以前ここに通っていたうら若きツバメは飛び立ったのだ。もう二度と、戻ってくることはない。
DIOの因縁に決着をつけるのは、やはり、空条承太郎とわたしの二人しか、ありえないだろう。
今更命乞いはしない。無駄だからだ。
やつらがウェザーやフー・ファイターズを見捨てられないのはわかっている。わたしが死ぬことによって、ウェザー・リポートの封印されていた能力が解放されたり、あるいはフー・ファイターズの能力が消滅したりすることは、決して受け入れられないはずだ。だから今日までわたしは生かされていたし、問題が解決したから今日処刑されるのだ。
「ホワイトスネイクは自然消滅し、完全な再起不能状態
……と、空条徐倫から報告を受けたか」
「わたしの娘は関係ない」
承太郎の眉間に皺が寄る。やつはどんな状況でも、絶対に娘を庇うのだ。
わたしはまぶたを閉じた。
「そうだな
……」
今日この日、お前が一人でここに来ることは、わかっていた。
「だが、ここに記憶DISCがある
……空条徐倫のものだ」
「何
……!!」
わたしがDISCを投げると、スタープラチナがキャッチした。内心狼狽しているだろうに、正確な動きをする。
空条承太郎、お前はわたしを怒らせた。親友の敵なのだ。長年、どうすれば無敵のお前に勝てるか、ずっと考えてきた。当然、お前がどんな人間か、わたしは知り尽くしている
……二十年以上の歳月をかけて対策してきたし、完全な記憶DISCも読んだ。
時間が勝敗を分けるのだ。たとえただの感傷にすぎないとしても、わたしは勝つ。
「さて、どうするね? その記憶DISCを読むのか、読まないのか
……選択の余地はないだろうがな」
「
……」
承太郎はDISCを読む。いくら癪だろうと、自分の娘とDIOの友との間に何があったのか、確認しないわけにはいかないからだ。わたしは脅威なのだ。現に今も、やつはスタープラチナを身構えさせて間合いを取りつつ、わたしの話を聞いている。自分の娘が記憶を奪われるという危害を受けているとなれば、しかるべき対処を取るつもりだ。
この時点で、承太郎は負けている。やつのあずかり知らぬところで事態は進行していて、知ったときにはもはや手遅れなのだ。DISCに記録されている出来事は、起こってしまった過去だ。誰にも手の出しようがない。
それを引き起こした力こそ「引力」、徐倫とわたしの間に働いていた、出会いの力であった。
敵討ちは終わった。だが、だめ押しだ。
「DISCは魂を形にしたものだ。永久に保存できる
……肉体の外に取り出してる限りはな」
このくらいのことは、SPW財団がとうに解明しているだろう。ただ、確かめておきたいことがある。
「だが、死にゆく者の体内にDISCが入ったのなら
……そいつの生命とともに、DISCもそいつの死にひっぱられる。それが、DISCの唯一の廃棄方法だ」
「
……」
やつの様子からして、どうやらDISCを抹消する方法は知らなかったらしい。わたしから押収したDISCを研究して、能力を保存したり魂を解放したりする方法は編み出したとしても、廃棄しようなどとは考えなかったのだろう。
やはり、甘い。費やした犠牲の差が、空条承太郎とわたしの決定的な差だ。
知りたいことは全部わかった。これでわたしは心置きなく、この世を去っていける。
「予言してやろう。空条承太郎、お前は必ず、完全なる死の忘却へ、そのDISCをわたしとともに送り込む。それが運命だ」
やつはそうする。赤の他人や記憶の持ち主にさえ、このDISCの存在を知られるわけにはいかないし、DISCの処分に都合のいい人間は、生憎わたししかいない。全てをなかったことにしたいなら、わたしの言う通りにするしかないのだ。
今、わたしは幸福だった。徐倫、死にゆくわたしを、君が微笑ませるのだ。だが君がそれを知ることはないし、知らなくていい。君のことを、大切に思うからこそ。
わたしはきっと、二つの記憶との心中を遂げるだろう。
こんなにも完璧な死後の覚悟はなかった。
「さあ、空条承太郎。いくら時間がかかっても関係ないから、安心するといい。そのDISCを
再生することだ」
Playback DISC▶️
https://privatter.me/page/65803e46a07d0
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