バラ肉
2025-04-22 22:31:08
2991文字
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カンパニュラに願いを込めて

ブロッケンJr.誕生日🎂小説!!!
アタブロ❌プロポーズという感じです。
前編・兄さん視点
後編・ブロッケン視点

アタブロの求婚話は何度書いても良いって死んだばーちゃんが言ってた!!気がする!



【side .B】


……よく寝てるな」

小さな呟きに合わせるように、ブロッケンJr.はすぐそばにある男の頬に手を添えた。

同じベッドの中。頭を突き合わすように目の前で眠るアタルの顔は、一族の掟の関係で相変わらずマスクを付けたままだ。
しかし、伏せられた長い睫毛は深い睡魔を表しており——今までは、こんなに安心した様子を見たことはなかった。

「なんだか、くすぐってぇ気持ちだぜ」

いつも胸を張って立っている男の力の抜けた様子に、ついつい顔が緩む。

スリッ……
触れるか触れないかの加減で輪郭を撫でる手は、相手を起こさないよう慎重だ。
折角の安らぎの時間を壊したく無い。穏やかな眼差しはそう訴えていた。
敢えて自分から修羅の道を進む男に、安寧を与えられる。

それは何より幸福で、誇り高く。
また、アタルの頬に添えられたブロッケンの左手に嵌められた指輪は、その証なのだ。



『一生、共に生きよう』

目を閉じればすぐに蘇る。
片膝を着いて告白してきた男の様子は当分忘れることは出来ないだろう。



「臭い真似しやがって」

思い出すだけで嬉しさから涙が滲む。
「信じられない」と突っぱねようとした手を掴み、「冗談にしてはキツい」と皮肉る唇にキスを落とした強引な男からのプロポーズは、熱烈で、強烈で、強引で。
感動した泣き虫な男が、ポロポロと涙を零したのは言うまでも無い。



薬指に嵌められたリングは怖いくらいにピッタリだった。たった数時間前に貰ったばかりなのに、まるで最初からそこにあったかのように違和感が無い。



「キャプテン……

小さく呟いた名前は、舌に馴染んで随分経つ。

……アタル、さん」

だが、慣れない響きもまた、まるでハチミツのように甘くとろけ、沁みるようにブロッケンの心に浸透していく。



とはいえ、まだまだ素の時に相手の本名を呼ぶのは気恥ずかしいのか。照れ臭さから耳が真っ赤に染まる。

しかし、これを真っ向から言えるようにならなければならない。

なぜなら彼は、この美しく強い男の生涯のパートナーになったのだから。



……アンタが好きだ」



『思いを告げる』
その意味を持つ自分の誕生花をラペルピンにして贈ったのは、彼が礼装を付ける時の牽制のつもりだった。
キン肉アタルが自分でこんな華やかな物を選ぶわけがないのは共通認識に違いない。
ならば、彼にはこんなプレゼントを贈る相手が居るということか……なんて、魅了されたご婦人方に思われたら儲けもの。
贈った時はそんな浅ましい気持ちだったのに。

よもや、己の誕生日を祝う日にまで身に着けてきた男に、胸が跳ねたのは彼だけの秘密だ。
ましてや、その格好のまま告白してくるとは予想外にも程がある。

『愛している』

何度となく吐かれた愛の言葉に流され、散々可愛がられた体は未だに軋む。年のせいかねちっこい愛撫にどれだけ翻弄されたことか。おまけに体力お化けのキン肉族の血筋ゆえに、年の若いブロッケンが泣き言を言うほどの絶倫ぶりときたら。
呆れるを通り越して尊敬するほどだ。
しかし、かと言って彼への愛しさが萎れることは一生涯あり得ない。

その証として、ブロッケンはシーツの中でゴソゴソと動くと、アタルの体に体を寄せ、胴体へと腕を回した。胸元に額を寄せれば規則正しい鼓動の音に、彼の心音もリンクしていく。
寄り添うように。
混ざり合うように。

「オレも、……あいしてる。それは誰にも負けねえ。もちろん、アンタにだってな?」

クスッと笑う顔は、負けず嫌いを言い訳にする己への微苦笑のようにも見える。
素直じゃないのは本人も重々承知だ。
しかし、それでも伝えたい思いを耐えきれない。



「だから、ずっと離さないでくれよ」

そう言ってはにかむ顔は、きっとこれまでの誕生日の中で一番輝いていたに違いない。

愛する男に求婚された。

それは誕生日以上に特別な記念日の始まりなのだから。



*ハッピーバースデー🎈ブロッケンJr.!!*