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河童の皿箱
2025-04-18 11:19:52
2667文字
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遊戯王:短め(2025年度)
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恩恵/馬鹿
セアミンと娑楽斎が突発パフォーマンスをするだけ。
そのあとのこと。
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突発のパフォーマンスが人々を魅了し、活気づけ、そして喝采のうちに終わったあと。渦の中心たる子は、熱狂が生み出した激しい熱に浮かされたまま、摩天楼の上を目指すかのように、ふわりと浮かび上がった。
まるで重力から解放されたかのように。まるで風の精と話すかのように。骨組みの透ける金魚と遊びながら、上へ、上へ。共たる男もまた、摩天楼の壁を走り、突起に跳躍し、黒き霧を纏いながら、風に舞う黄色の花弁を追い続ける。
ふとした時に眼下を見れば、徐々に、徐々に、近くの高いビルを抜け、遠くのより低い天井たちがお目見えする。更に登り続ければ、先に通ってきた大通りすらもが見えてきた。いまだ人々が浮足立っていて、道の終端の駅からは、ひっきりなしに人々が出入りしている。こちらの姿を探したり、もういないと知って落ち込んだり。
男が手をかけて飛び乗った鉄骨は、これから何かが作られる予兆。工事現場を覗き込んでみれば、充電中の作業用ロボットが居た。挨拶をひとつ投げかければ、向こうもまた小さく手にあたる部位を振り返した。最も巨大なこの奇形の摩天楼でさえ、未だ完成を知らぬ。それは競争であり、それは共存であり。永遠とすら思えるほどに、尚も発展を続けるこの街から胸に届く愛憎を、男はふっと笑って噛み締めた。
とん、と飛び上がれば、高度はどんどんと増していく。花弁は止まる気がないようで、時折振り返り、微笑みを見せては、まだまだ舞い上がる。男はわずかに、危機感を覚えた。まさか、自分でも制御不能になっているのではないか、と。
のぼる、のぼる。上へ、まだ上へ。男は急いだ。この摩天楼も、もうすぐ頂上になる。それより先に行かれてしまうと、追いつくには骨が折れる。壁を滑り、柱で勢いをつけ、距離を詰める。なおも止まらぬ花びらに、男は頂上を蹴って飛び、手を伸ばしては、ようやく捕まえ、抱き留めた。
ようやく上昇をやめた子が、いたずらっぽく微笑んだ。「びっくりした?」と。男は苦笑を浮かべては、「ちょっとだけな
…
万が一って奴だ」。そんな言葉に、子は男に頬を摺り寄せた。「そういうとこ」、と。
男は子を腕から降ろし、共にこの街の頂点に立った。大地から切り取られたかのように浮かぶ都市の、端から端までが見えるほど。電光の鮮烈なる色彩の煌めきと、人々の息と。新鮮な風が熱を少しずつさらっていくその間、ふたりは何を話すでもなく。
子がおもむろに頂点の先へと歩を進めれば、金魚がまた、その足元を支えた。「ねえ。まだまだ、上へ行ける。そうでしょ?」。子の問いかけに、男は笑った。「あたりめぇだ。俺と、お前と、あいつらと」。
子は手を差し出した。「馬鹿と煙は」。
男はその手を取った。「高いところが好きってな」。
「んで、だぁれが馬鹿だって?」。男は子と共に、空へと身を投げた。
「誰だろう?」。子はくすくすと笑って、男の腕の中へと身を任せた。
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