ひろっぷ
2025-04-11 18:54:07
1658文字
Public 第五 ハス探
 

じゃしんとぼく⑰

ハス探走り書きまとめ



【酷いひと】
※ハスターが消える話※

不死身なのだと思っていた。
全能神ともいえず、人間の生活を、営みを、真似て面白おかしくしていたあれが。終ぞ告げるつもりのない気持ちを生まれて初めて得られたあれが。
自分の目の前で霧散した。
庇われたと気づいた時には遅く、肉塊になるでもなく煙となって消え、撫でるように煙が頬を掠める。
…………
声なんて出るわけがない。みるみるうちに目の前が霞めば、声が出るより涙が先に出るのだから。
ようやっと出た嗚咽を混じらせ、消えゆく煙を掻き抱いて蹲る。
"邪神といえど神様だ。一度消えれば復活するのに時間を要するんだよ"
いつかに占い師に言われた言葉を頭で復唱する。
時間ってどれぐらい。そんな事は分かっていた。今生では会えないのだと体は理解しているのだ。
あの邪神ならと何度も願った。けれど聞き慣れた声はもう聞こえない。来世で会える?知ったことか。今いる自分はもういなくなる。今までいたあの彼にはもう会えない。
涙が染みた地面にゆっくり爪を立てて声を殺した。

(瞬きしたらいなくなるなんて、なんて酷いひと)