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保科
2025-04-02 19:50:17
4028文字
Public
まほ箱系(オールキャラ)
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四月馬鹿:蛇足
https://privatter.me/page/67ec1475eb215
蛇に足生えたらかっこいいだろうがよ
あー
……
と、疲れた様子のチカちー青年
――
同じチカちーだと混乱するから、内心でそう呼ぶことに決めた
――
が、頭を掻きつつ嘆息する。
あたしは背筋を伸ばしながら、続く反応をこわごわと伺う。
「んじゃあ、まあ、お客さんの言い分を整理すると、だ。
お前は、自分こそが須方スナオであり。俺達が女のはずだと主張する、と?」
「む、無理筋だけどそうじゃん
……
」
「いや無理筋にも程があんだろ」
そんなのは、重々承知だった。とは言えジタバタしても仕方ないと、あたしはひとまず自分の境遇を二人に伝えることにした。もしこの事態が、想像通りの奇跡の産物であるのならば
――
多分、あたし如きにできることは特にない。人はこれを自棄っぱちともいう。
「な、なあチカちゃん、オレ達、実は女の子だったとかないよね?
……
え、実は可能性あるのかな!?」
「180超えてる野郎にその可能性を見出すのは限りなく厳しいんじゃねーか
……
?」
ひびきち青年がおずおずと口にするのに、チカちー青年が一言ではねのける。
確かに、ひびきち青年はデカい。たぶん、あたしが知るクラスの男子の誰よりもデカい。チカちー青年は、並んでいるのを見るとひびきち青年より少し小柄だけど、特別小さいというわけでもなさそうだ
――
少なくともあたしよか一回りはデカい。なんだコイツら揃いも揃ってにょきにょきと。
見下されてばかりのあたしが睥睨していれば、チカちー青年が肩を竦める。
「
……
まあ、仮に、お前の言うことが真実だったとしてだ。
それで?じゃあ、何だってここにいるんだ」
「
……
それはあたしが知りたいっしょ」
「
……
話になんねえな」
「うーん、困ったねぇ〜
……
」
小馬鹿にしたように鼻を鳴らすチカちー青年は、おそらくあたしの話は信じてなさそうに見えた。まあ、普通はそういう反応になる
――
でも他に答えようがなかった。
一方、真摯に向き合ってくれているひびきち青年は腕を組むと、暫く目を瞑って。
ぽん、と手を打つ。
「じゃあさ、えっと
……
スナオちゃん?」
「う、うん。あたしこそはスナオちゃんじゃん」
「
――
スナオちゃんの知る、女の子のオレたちってどんな子なの?教えてほしいな」
すっと膝を折り、あたしを見上げるようにしながらひびきち青年が微笑んだ。
その、ホストクラブ然とした手慣れた所作に、思わずドキッとしていれば。
「
…………
おい、ヒビキ」
ぐい、とチカちー青年がその首根っこを掴んで引き上げた。ずろろ、と猫の胴体みたいに伸びていく。
「ぐええ」
「だぁから!お前、そういうのマジでやめろよ!
お前がそんなんだから、お客さんから『チャージ料はいくらですか?』とか『指名って受け付けてます?』とかワケの分からんこと聞かれんだよ!」
「えー
……
?でもオレ大きいし、屈まないとさあ
……
」
「ここやっぱホストクラブだったんじゃん
……
!」
「純の付く喫茶店だボケ!」
怒鳴られた。メイド服を着ながら『ウチはコスプレ喫茶じゃね〜!』と叫んでいたチカちーのことを思い出す。得てして悩みは似通うらしい。
「つーか。女の俺達がどうとか聞いてどうすんだよ
……
?」
「でもさでもさ、チカちゃんも気になるでしょ?
それに、もしかしたら
……
このスナオちゃんが自分の世界に戻る手がかりになるかも!
……
とか?」
自信なさげではあったけれど、確かに、とあたしは納得する。手がかりがない以上、いろいろ共有すれば何か分かるかも知れない。
「ったく、適当言いやがって
……
。
後、チカちゃん言うな」
「あはは、ごめんごめん」
悪びれた様子のないからっとした返事に、はぁ、とため息をつくと。腰に手を当てたチカちー青年が、あたしをふてぶてしく睨んでくる。なんだよう、と見返せば。
「それで?
……
どうなんだよ」
「
………
」
こォのツンデレがよ
……
。
ジト目を向ければ、不満げに鼻を鳴らされる。
指摘してもよかったけど、未だこのボーイズな二人との距離感を掴みかねたままだ。追及は控え、質問に素直に答えることにした。
「そうさねえ
……
。
……
まずひびきちは、だいたいあたしとおなじ位の背丈の女の子だよ。
髪の長さも、こっちのひびきちと同じくらいかな。
天真爛漫で料理が上手!きっといいお嫁さんになる子だぜい」
「へー
……
!そっちのオレ、料理得意なんだ
……
!」
キラキラ、目を輝かせるひびきち青年の後ろで、なぜか、したり顔のチカちー青年が何度も頷いていた。こっちのチカちーはどういう立ち位置なの?
「じゃあじゃあ、チカちゃん
……
チカギは?どんな感じ?」
「チカちーはねえ、んーとね
……
ツインテ凶暴やってられっかガールじゃん」
「へー
……
!」
「おい待て、女の俺についての説明、色々雑じゃねえか!?」
あたしの完璧な回答に対し。チカちー青年がギャースカ噛み付いてくるのを、ひびきち青年がどうどうチカちゃん、と宥めている。
見覚えがある光景なのに違和感がすごい。あたしが絶妙になじむのも怖い。
「あー、あと、こんな感じの事を言うとおんなじように噛み付いてくるじゃん」
「そりゃ随分気の合いそうなこった!」
多分、普段のチカちーだったら容赦なく一発叩いてきそうなラインで、チカちー青年はぐっと拳を堪えている。実質初対面の相手に対する配慮があるらしい。危なかったじゃん
……
。
「あ、ツインテ
……
ってことは、女の子のチカちゃん、ツインテールなんだ?」
こちらのやりとりが一段落した後、そんなひびきち青年の確認に、あたしはしっかと頷く。
「そーそー!めっちゃ可愛い!あれはチカちーの唯一無二の可愛げよ」
「へー
……
見てみたいなあ
……
ツインテかあ
……
」
「この流れで俺を見るな」
しっしっ、と視線ごとひびきち青年を追い払うチカちー青年は、確かにツインテールが似合わなそうだった。それはそうだ。
「にしても、ツインテールねえ?
なんつーか、俺の割にはカマトトぶってんのな」
「そんなこと言うなよー。
かわいいよ?ツインテって。きっと似合うよ〜」
「俺の髪を結ぼうとすんな」
手を伸ばすひびきち青年を、継続して追い払うチカちー青年。その疑問は、昔あたしも抱いたものだ。チカちーの性格だけ抜き出したとき、ツインテそのものは確かにツンデレのテンプレートではあれど、その髪型を彼女が好むかと言われれば否だろう。
「んー、あたしもよくは知らないけどさ。本人もお願いされたから不承不承でやってるっぽいじゃん」
「は?そんなの誰に、
――
……
」
「?」
「
……
いや待て、いい、説明要らねえ
……
」
隣に立つひびきち青年を見て。チカちー青年が、何か察したように額を抑えた。理解が早いのは、どちらも同じチカギだからなんだろうか。てかこっちの2人もやっぱそういうアレ?
「え?どういうこと?」
「えーとねえ、ひびきちが
――
」
「言わんでいい!てか言うな!」
「えー!」
「えー、じゃねえ!
……
ああもう、マジでスナオだなお前
……
!」
「ね、オレも思った。なんか、話してるとすっごいスナオくんだなって!」
二人が揃って口にするのを聞いていると、少し、こっちのあたしってやつに興味が出てきた。
「そりゃまあ、あたしこそがスナオちゃんですし。
……
ところで、こっちのあたしはどんなヤツなの?」
「そうだね〜」
「そうだなあ」
うーん、と、二人は少し考えて。
「スナオくんはね、明るくて元気で、面白い友達だよ!」
「ほうほう
……
!」
ひびきち青年からはそんなコメント。いや照れますな。思わずぺこぺこ頭を下げる。
「あ、あれだ。胡散臭い関西人から関西弁抜いたやつ」
「それもう胡散臭いだけじゃん!?」
チカちー青年のコメントは最悪だった。シンプル詐欺師じゃん!
「まあ、ほぼお前って感じだよ。
……
え、もしかしてマジでお前、女のスナオなの?」
「ド失礼だし最初からそう言ってるじゃんよこのツンデレヤロー!」
「だぁからツンデレってなんなんだよ!!」
「わー!スナオちゃんもチカちゃんも落ち着いて!」
「止めるなひびきち!」
「チカちゃん言うなッ!」
喧々囂々、チカちー青年とあたしの間に入ったひびきち青年が両手を広げてストップ
――
するまで数分。ギリギリ血を見るところだった
……
。
なにはともあれ、一通り情報共有が済み。
一息つくように降りた沈黙を破って、おそるおそるひびきち青年が口を開く。
「改めて、だけど。
スナオちゃん、この後どうする?
さっきも伝えたけど、もうお店も閉める時間だから
……
」
「でも、行く場所もないだろ」
ウエイター2人に、差し迫った問題を突きつけられる。そう。なにはともあれ、今日の寝床の確保が必要だ。
「んー、それなんだよにゃー
……
」
うーん、と考え込む。ポッケに財布はあると思うけれど、大した額じゃない。身元不明であれ、一先ず教会に行くべきか
――
見知らぬ世界で一人というのは、なかなかに困ったものだ。
こんなにも荒唐無稽な話なんて。そう、夢であればどれほど助かったことか
――
―――
。
「あれ、夢じゃんこれ?」
曰く。
夢というものは、覚める時は一瞬だ。
――――――
おい、スナオ!」
「ひょわっぷ!?」
がたたっ、と『突っ伏していた上体を起こしてのけぞる』。正面に、チカちーがいる。アーネンエルベのウエイトレスの格好をした、緑のツインテールの女の子。
荒い呼吸のまま呆然とするあたしの前で、チカちーが、漫画本を振りながら嘆息する。あたしがさっきまでここで読んでいた、イケメンがパラダイスなやつ。
「お前なぁ、疲れてんならこんなん読んでないで、ちゃんと家で寝ろって」
「ち、チカちー
……
?」
「あん?なんだよ、そんな化物見るみたいな顔で
……
」
や、や、
「やったーーーチカちーが女の子だーーーーー!!!!!!!」
「いきなり失礼かましてんじゃねえよ!?」
ぶっ叩かれた。
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