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ぷの
2025-03-27 08:50:41
7584文字
Public
レイチュリ ※ベ限
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子供化&猫化ありがとう小話
祝・子供と猫のグッズ化! 激かわで最高ですね🫶
P1 - 子供化した🛁を愛でる🦚の話
P2 - 子供化した🦚も愛でる🛁の話
P3 - 蛇足
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【R】
「AIで作った子供の頃の教授のお姿をコラージュして、CMを作ります」
こちらがそのお姿です、と担当者がタブレットを操作してプロジェクターで壁に投影する。写し出された小さなレイシオは、証明写真にできそうな無表情で佇んでいる。
「よくできてるね」
こういった加工をするAIは多少美しく補正したり若返らせたりと色を付けるものだけれど、レイシオは本当に子どもの頃こうだったろうなという姿である。まるで違和感がないのは、元が美しくて補正のしようがないからかもしれない。骨の太そうな健康的な体型で、あどけない顔立ちながら理知的だ。小さな子とあまり親しみがないアベンチュリンには、年齢はわからない。
この子が何かに強く興味を示して頬を上気させて早口で喋っていたら、さぞかし可愛いだろうな。アベンチュリンは頭の中で小さなレイシオを動かして、ふふっと笑みをこぼした。
アベンチュリンの隣で同じものを見ているレイシオもまた、二次元の彼と同じく無表情である。仕事だ、と自分に言い聞かせている顔だ。
レイシオを起用すると聞いて、よく本人から許可が降りたなと思った。が、学資保険のCMと言われれば納得である。人間に教育を施すにはお金が必要だ。世知辛いことだけれど、教育機関すらない星と比べれば、個人のお金で解決できる問題はまだ容易い。しかし、一握りの恵まれた子を除いて、全くの無策でなんとかなるほど容易くはない。
担当者はアベンチュリンにタブレットを渡した。人を子供化するアプリと絵コンテが並べられている。アプリにはいろんなパラメーターがあって、モデルの姿形を変えられるようになっている。絵コンテに合わせて衣装とポーズを決める必要があるというのに、「提案」の名がついたセーブデータがずいぶん大量にある。
「これ、時間が溶けるやつだ」
「そうなんです! どれもお似合いで選べなくて、教授と総監のご意見を伺いに来ました」
「教授のご希望は?」
「好きにしてくれ」
「魅力的な台詞だなあ」
二歳、五歳、七歳、十歳、十三歳。三年置きに成長する小さなレイシオのデータを次々と開く。どこもかしこもぽってりとしたフォルムで小さな虫を真剣に見つめる姿、眉間に皺を寄せて泣きそうなのを我慢している顔、虫眼鏡を脇に転がして図鑑に至近距離まで顔を近付けているキラキラした目、おすましした正装。架空の思い出のアルバムはどれも可愛らしくて、アベンチュリンの胸を躍らせる。不本意そうに口を引き結んで派手な衣装を着せられている嫌そうな表情は、かなり今のレイシオに近い。そんな力作が各年齢あたり数パターン。
担当者がデザイナーと作ったデータは、言う通りどれも似合っていた。さすがプロである。この中から選べというだけなら直感で指定しておしまいだけれども、微調整がきくとあっては時間がいくらあっても足りない。
「すごい量だね」
「デザイナーが近年で一番楽しい仕事だと申しております。合わせてこちらも」
「オプション」と書かれたデータを開いたら、小さなレイシオの足元に猫が現れた。レイシオの色味でどこか高貴な雰囲気が漂うふかふかの美猫である。
「うん、楽しんで作ったのは十二分に伝わってきたよ」
「なぜ猫が?」
「似合うからだね」
「よくお似合いです」
間髪入れずに答えたアベンチュリンと担当者に、レイシオは心底理解できないという呆れ顔で黙りこんだ。
黙ったレイシオを置き去りにして、アベンチュリンは心のままに小さなレイシオの着せ替えに時間を投じた。厳選したものの絞りこめず、なんとか詰め込もうと絵コンテにも変更を加えてもらった。担当者がその場で手を入れてどんどん形にしていく。
「僕がここにいる必要はあるか?」
「最後にまとめて使用許可をいただかないといけませんので」
「おいギャンブラー、いつまで時間をドブに
……
」
「なんだい?」
後ろで何か揉め出したのかと、アベンチュリンは前のめりで没頭していたタブレットでの作業を止めてレイシオを振り返った。目が合ったレイシオは絶句した。
おっといけない。頬に手を当ててむにむにと整えた。自分の表情筋がゆるゆるになっている自覚はある。可愛いものを存分に愛で倒して、さぞだらしない顔になっているだろう。犯罪ではない、たぶん、まだ。レイシオに嫌悪の色は見えないからセーフだろう。なぜか黙っちゃったけど。
レイシオは何かを言いかけた口を閉じて、作業に戻れと手振りで促した。それからは一切口を挟まず、最終確認の間も許可のサインをするときも無言だった。なんと、アベンチュリンが最後にデータを全部横流ししてもらったのまで黙認された。
「仕上がったらご連絡しますね!」と弾む調子で言って、担当者は意気揚々と引き上げていった。
アベンチュリンは凝り固まった体をぐっと大きく伸ばし、ソファの背もたれに身を預けた。やりきった。達成感とは別に、カロリーの高い食事をした後の満腹感に似た満足があふれ、心がふわふわしている。
「何を着せても似合ってたね。本当に可愛いかったなあ」
隣に座るレイシオは読んでいた本を閉じて、「ふん」と鼻をならした。
なんといっても、ふくふくと健康的なのが良かった。血色が良く溌剌とした姿は、それだけで見ている者を元気にする。
一方、アベンチュリンの子供時代は必要最低限の食べ物しかなく、元々小柄な体は平均と比べてとても貧相だった。たぶんそれを引きずっていて、今もさほど量を食べられない。トレーニングで筋肉は付けたものの、もし同じように子供化しても、レイシオのように見応えのある姿にはならないと容易に想像できる。少々肉を足したり衣装を華やかにしてかさ増しすることになるだろうから、何を着せてもというわけにはいかない。幸いなことに、小さくなったって派手な装いが似合うビジュアルであると自負している。服に着られて哀れを誘うような絵にだけはならないはずだ。
「小さな君が動いてるところを見たかったな」
今回のCMの材料は全て静止画だった。技術的には動かせるだろうけれど、予算の都合でカットされたのだ。わかりやすく低予算で作るのは、カンパニーは教育の支援に力を入れていますというアピールに説得力を持たせるため。運営にかかるお金を切り詰め、一人でも多くの子に支援の手を。おそらくレイシオのギャラも格安にされているはずだ。人の良心を利用して、ずるい会社だと思う。
「
……
もしかしたら実家に動画が残っているかも」
「ご家族はお礼に何を送ったら喜ぶかな!?」
躊躇いながら言うレイシオに、アベンチュリンは食い気味で身を乗り出した。
「見たいのか?」
「見たいに決まってる!」
「そんなに子供好きだとは知らなかった」
「違うよ」
レイシオの膝に手を突いて今の顔をじっと見つめる。恵まれた骨格、しっかりとついた肉、豊かな髪、強い意志を宿す瞳。才能を見いだされて早くから大人の世界に出ていたのだから、これまでの人生は楽なものではなかっただろう。風は強く、道はうねり、激しい雨が降り、獣が襲ってくる。その中を強く生きてきた命の輝きが、あの小さなレイシオにはあった。実際の子供時代にはなかったであろう強靭さは、アベンチュリンを惹きつけてやまない今のレイシオの大切な要素だ。
「君だから、見たい」
今と昔を見比べて、レイシオが歩んできた道程を感じたい。
「いいだろ?」
「
……
わかった、聞いておく」
そう答えてアベンチュリンから顔を逸らすと、レイシオはまた黙ってしまった。
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