ゑ/圓堂
2025-03-27 00:45:48
5357文字
Public 月詠サーバー(十五夜本丸)
 

【刀剣乱舞】ちょもさに♂Twitterログ01【山鳥毛×創作男審神者】

Twitterに文庫ページメーカーで上げた小話まとめちょもじゅ編。2024年に上げたものをまとめました。
眼鏡珈琲ネクタイの日小話『pretty fetish』
ハロウィン小話『今日からいつかの1031へ』
ポッキープリッツの日小話『十五夜本丸、11月11日の八つ時。』
の三本立てです。
『十五夜本丸、11月11日の八つ時。』だけ初期刀加州清光視点のお話になってます。


【十五夜本丸、11月11日の八つ時。】

 その日の八つ時、十五夜本丸の広間では数振りの刀剣男士たちが座卓を囲み、何やら催しを企画していた。その中心にいるのは、この本丸の始まりの一振りである加州清光だ。
「恨みっこなしだからなー。ズルもなし!」
 集まった仲間たちにそう宣言しながら、不要になった紙の裏面を利用してあみだくじを作っている。傍らには、現世ではお馴染みである細長いチョコレート菓子の箱が一つ。
「ま、一種の度胸試しってところかな」
 好奇心に満ちた笑みを浮かべているのは小竜景光である。その隣で楽しそうにそれに賛同しているのは髭切で、隣では弟にあたる膝丸が複雑な面持ちで兄の顔を眺めていた。取り敢えず髭切が乗り気だからその場にいるだけのようだ。
「そういうことなら負けらんねぇな~!」
 やたらと気合十分なのは御手杵と豊前江である。これから行われる行為を手合わせか何かと勘違いしているのではないか——そう思いながら、加州清光はしかし何も言わず放っておく。その方が都合がいいからだ。
——あれ、皆集まってどうしたの?」
 広間の入口から、控えめに声が投げかけられる。加州清光を始め刀剣男士らがぐるりと首を回すと、彼らの主である青年がやや引け目な様子で佇んでいた。
「お、主もやる?現世で有名な今日にちなんだゲーム」
 加州清光が菓子を一本取り上げて差し出し、誘う。主は存外にそれだけで趣旨を理解したのか、あっという間に顔を紅潮させ、信じられないというような表情を作った。
「え、えぇ……?だってそれ……キス、するやつじゃ……
「するかしないかは~、やったもん同士次第じゃね?」
 加州清光の台詞にそうそう、と他の刀剣男士らも同調する。とはいえ、この場にいる全員が主のことを本気で誘ってなどいない。ただ、初心な主の反応を楽しんでいるだけである。第一そんなことをすれば——
「あ、」
 音もなく背後から指先に挟んだ菓子を奪われ、加州清光は間の抜けた声を上げた。彼から菓子を取り上げた張本刃——この本丸の近侍である山鳥毛は脇目も振らず、無駄のない動きで主の元へと一直線に向かう。そしてごく自然に主の身体を抱き寄せると、加州清光を振り向き、言った。
「悪いが、主は先約があるのでな」
 そのまま唯一人事態が飲み込めていない主を、山鳥毛は颯爽と攫って廊下の奥へと消えてゆく。小竜景光が小気味よい口笛を一つ吹き、いやはや見習いたいもんだね——と軽口を叩いた。
「はーぁ、見せつけてくれちゃってさぁ」
 加州清光が呆れた声を廊下の奥へと投げかける。しかしその表情は何処か、歓びと柔らかな慈愛を帯びていたのであった。