ゑ/圓堂
2025-03-27 00:45:48
5357文字
Public 月詠サーバー(十五夜本丸)
 

【刀剣乱舞】ちょもさに♂Twitterログ01【山鳥毛×創作男審神者】

Twitterに文庫ページメーカーで上げた小話まとめちょもじゅ編。2024年に上げたものをまとめました。
眼鏡珈琲ネクタイの日小話『pretty fetish』
ハロウィン小話『今日からいつかの1031へ』
ポッキープリッツの日小話『十五夜本丸、11月11日の八つ時。』
の三本立てです。
『十五夜本丸、11月11日の八つ時。』だけ初期刀加州清光視点のお話になってます。


【今日からいつかの1031へ】

十月三十一日の月詠サーバー内の繁華街は、普段とは少々違った賑わいを見せていた。
その日、十五夜本丸の審神者である青年と、彼の近侍を務める山鳥毛は至って通常通りの買い出しに繰り出していたのだが、購入品とは別に行く先々の店で貰った洋菓子の類が、既に手荷物一つ分になろうとしている。
「山鳥毛は、ハロウィンのこと知ってるの?」
頭一つほど上にある自身の顔を見上げ、伸ばし気味の前髪からあどけない瞳を覗かせて問う己が主に、山鳥毛はゆったりとした笑みを向けた。
「ああ、先代は何かと行事が好きな男だったからな。菓子を買ってきて本丸に配り歩いたり、仮装大会などという催しもしていたな。……主は、そういったことに興味はないか?」
「ううん……無いわけじゃないけど……ちょっと恥ずかしいかな」
山鳥毛の現在の主である青年は、かつて主だった男とは違って、あまり派手な行為や目立つような振る舞いは苦手な性分である。その上、現世で酷く虐げられ続けていた彼が、悲しいことにあまりそういった行事とは縁が無い生活をしていただろうことは、山鳥毛とて容易に想像出来る。しかし、彼の言葉の裏側には、発した感情よりも強い好奇心が見え隠れしている——山鳥毛は浅からぬ彼との付き合いの中で敏感にそれを感じ取っていた。
「納戸や蔵を探してみれば、仮装の衣装なども見つかるかもしれない。——帰ったら、探してみないか?」
山鳥毛が提案すると、主は彼の顔を見上げ、見通しの悪い前髪越しの黒曜石の如き瞳をきらきらと輝かせた。刹那、目を逸らして逡巡するような素振りを見せたが、頭を振って何かしかの迷いを振り捨てる。
——うん、そうしよう。……今の十五夜本丸でも、そういうこと、やっていきたい」
再び見上げてそう強く発言した青年の面立ちは、すっかり一つの本丸を背負う主の顔だ——山鳥毛の胸の内に、じわりと慈愛の念が広がった。
「あ——あのさ、」
「ん?」
「山鳥毛は、お菓子と悪戯、どっちが欲しい?……な、なんて」
新たな目的が出来て、揚々とふたりで帰路を歩んでいた途中のこと。
唐突に言い始めてから照れ臭くなったのか、顔を赤らめて目を逸らしながらそんな睦言を言い放つ愛しい主の姿に、山鳥毛は思わず往来であることを忘れて膝から崩れ落ちそうになったのであった。