みたむら
2025-03-26 18:52:07
4186文字
Public 8/17「夏インテ」
 

「夢綴り」サンプル

呪術廻戦・五条×女夢主本4冊目です。


* * *中略 * * *

「あれー? 随分と元気そうじゃん」
「ふふ。そう見える? なら、彼女・・のおかげかな」

 そう言って二人対峙するように立つ。私の話題が出てきて、何故か五条君の様子がおかしかった。まるで何か血が上ったような。それをさらに夏油君はクスクスと笑い、彼を見るのだ。

「最近アイツとコソコソ何かやってるみたいだけどさー? あんま近づかない方が――
「そうかな。悟がその気なら、私が彼女を貰おうか」
……何言って」
「悟も素直じゃないからね。本当は彼女といつも通りの関係に戻りたいと思ってない?」
「は、はぁ――?! 俺は別にアイツなんかっ!」
「そう? なら彼女が七海や灰原と話してるとき、羨ましそうに見ていたのは気のせいだったのかな? 親友として応援してあげようと思ったけど、悟がその気がないっていうなら私が彼女を狙ってもいいよね?」

 そう言ってニヤリと自信満々に言う。

(あ、あの……いったいこれはどんなドッキリなんですかね?!)

 恥ずかしくて、直視できない。夏油君は一体私に何を見せようとしてるのか。

(これじゃまるで、まるで――

 五条君が私を気にしてるかのように見えるし、夏油君も私のことを気になってるというやつじゃないですか……
 いっそのこと、『祓ったれ本舗』の漫才二人だったならいいかもしれない。笑って『ああ、これはそういうネタなんだ』って言い逃れができる。しかしこれは正真正銘の壊玉・玉折の世界観だ。

「で、傑は一体何が言いたいんだよ?」
「彼女を賭けて、久しぶりに真剣勝負でもどうかなって。私も任務続きでこういう息抜きはしたいと思ってたからね」

 そう言って、準備運動をする夏油君。それに対して、同意見なのか五条君も腕をぐるぐる回してストレッチをしている。

「賭ける云々は置いといて、息抜きは同感。色々鬱憤溜まってるから、傑でストレス発散しよっかなー!」

 ま、勝つのは俺だけど、と五条君はやる気十分のようだ。
 私はそのまま見入ってしまうのをはっと気づいて、書き留める準備をする。夏油君は私に託したんだ、この二人の戦いを日記として記録することを。確かに、私は座学が多いので呪術の鍛錬風景を見ることは滅多にない。だから、呪術対戦は久々に見ることになる。
 二人は殴り合い、少しだけ呪力を使い対峙する。ただその光景をまるで感動する子どものように見入っていた。そして、久々に見る二人の清々しい表情が輝いて見えた。

(そういえば、二年になってから私も彼らのことをちゃんと見ていなかった、気がする)

 夢のことばかり気になってしまって、この世界のことを疎かになっていた。自分のことばかりではなく、目の前にあることにも集中しなければいけない。私もまた、彼らを観察して記録するという寄り道をして、時々私自身のことを考えたらいい。それを、二人は教えてくれた――そんな気がした。
 激しい戦いが繰り広げる。目が離せないけど、私は少し二人から離れ、自動販売機とタオル二人分を取りに戻った。
 グラウンドに戻ってくると、夜蛾先生の怒鳴り声が響いていた。
 やはり呪力が感知してしまい、先生たちにも警報が聞こえてしまったらしい。担任である夜蛾先生にお叱りを受けている二人だ。
 しばらくして、夜蛾先生はグラウンドから離れていくのを見届けてから、私は二人に駆け寄った。

「二人とも、大丈夫?」
「大丈夫。君はバレなかった?」
「ってか何でお前がいんの?」
「あ……偶々散歩に出かけていたら二人の姿が見えて、練習でもしてるのかなって思って、これを持ってきたんだけ、ど……

 そう言って二人分のドリンクとタオルを渡す。


*製本版を購入の上、お楽しみください。*