さかな
11151文字
Public フロ監
 

こんなはずじゃなかった!

頑張って求愛するフロイドと、ペットかぬいぐるみ気分な監督生

pixiv投稿 2024年12月15日

夜明け。寝足りない頭を揺らしながら、小エビを起こさないようにベッドを抜け出す。
ギシギシうるさい階段を降りて、雑に顔だけ洗ってから朝食の用意をする。自分が泊まる日は別の部屋でイイコに寝てくれる魔獣のためにツナたっぷりサンドイッチと、彼女が気に入っている野菜スープ。
あとは温めるだけのとこまで用意したら、書き置きを残して朝焼けのなか鏡舎へ向かう。

こんなはずじゃなかった


毎週土曜の夜、モストロには予約の取れない席がある。カウンターの左端、巨大水槽がよく見える位置。
フロイドが愛しい小エビを呼び出してごはんを食べさせるための席だ。
お金がないから、と適当な服ばっかり着てる。奢るからって呼ばないとモストロにも来てくれやしない。ツレナイ小エビのための。

最初は真っ当に求愛していた。
会いに行っては健気に話しかけて、ぎゅっとしたいのも我慢した。
出会いが出会いだったから仕方ないけどあんなに警戒していたくせに、今では顔を見ればふにゃりと笑うまでになった。こんなにチョロいとすぐ死んじまいそうで心配にもなるが、すっかりソフトシェル仕様になった対応にこちらも顔が緩んでしまう。
でも声をかけたときにビクッと飛び上がるのもかわいくて好きだったから、時々わざと脅かしてしまう。小エビがかわいいのが悪いので許してほしい。

すぐ番になんて贅沢は言わないで、陸にならって恋人になろうと努力してきた。
フロイドは極度の気分屋で飽き性ではあるけど、惚れた相手には手間暇を惜しまず献身できる男なのだ。飽きてポイなんてするわけがない。
根気よくせっせと信頼ポイントを稼ぎ、ぼんやりしてるとこをヒョイと持ち上げて膝に乗っけても逃げないまでになったのだ。
毎週末にはモストロに誘って、帰りは手を繋いで送って行くまでになったのだ。
期待して然るべきだろう。
なのにあンくそ女、

「フロイド先輩とお付き合い……? なんの冗談です?」

なんて笑いやがった。

やだなぁもう! なんて、なんの衒いなく笑う悪魔の顔を今でも夢に見る。