sousakuyamamusume
2025-02-26 11:02:40
3170文字
Public 一次創作
 

赤と白(BL感ある)

全年齢ではあるのでご安心召されよ

風邪

 朝起きた時点で異変に気付いた。
 部屋が寒い。布団を深く被ってもなお寒い。その割に頭は熱い。そして考えもうまくまとまっていない。ついでに言うと関節が痛い。なんとか起き上がったところで、倒れそうになり壁に手をついた。ああ、これは。
「人払いをしろ。使用人は私の部屋に近づけるな。」
「かしこまりました。」
 ベルを鳴らし、一番に来たメイドに指示を出した。これで、私の体調不良は露呈しない。働かなければ。

……あれ、ロッソは?」
「『使用人は部屋に近づけるな』と仰せです。ですが、ええ、私はポンコツなメイドですので貴方がロッソ様のお部屋に立ち入ることを止めることはいたしません。」
 あいつ、何か隠してやがるな。そしてその件でメイドさんが激怒しているとみた。……こんなにやさしいメイドさんを怒らせるとか何をしているんだロッソの奴は。
「あとで二人分のお水をお運びいたしましょう。私はポンコツなメイドですので貴方が部屋に立ち入ったときにうっかり水を二人分運んでしまいますので。」
「よくわからないけどロッソにはキツく言っておきます……。」
 正直、怖い。普段優しい人ほど怒らせちゃいけないなぁ……
 で、ロッソは一体何をやらかしたんだ?そんなことを考えながら、あいつの部屋に押し入った。
「おい、使用人は」
「僕のどの辺りが『使用人』に見える……って!お前!風邪引いてたのか!!!」
 そりゃメイドさんも激怒する。こんなにフラフラだってのに普通に働いてやがるぞこいつ。

……うるさい、頭に響く。」
「ごめん。いや、ごめんじゃなくて。寝ろよ、そんなに辛いなら。」
 寝る……
「まだ昼間だぞ。」
「風邪引いたら寝ろよ。」
 まだ昼間だというのに、風邪を引いたからといって、寝ては、いけない。ああ、頭が痛い。めまいがひどい。寝て良いなら寝たい。でも、駄目、駄目なんだ。だって。
「こんな昼間から寝ていたら、とうさまに叱られる。風邪を引いたごときで、仕事に穴を開けてはいけない。だから、私から仕事を奪うな、ヴァイス。」
……んだよ、それ。」
 ヴァイス?

「どうかしたのか、ヴァイス。お前にしては珍しいほどの殺意だが。」
「ああ、いや、お前に言ったわけじゃないよロッソ。」
 ただちょっと、ロッソの『父様』とやらを殴り飛ばしたくなっただけで。
 親の風上にも置けないクソ野郎が。物心ついた頃には親がいなかった僕ですら、ロッソの『父様』がクソということぐらいはわかる。自分の子どもが風邪引いたときに、心配するのが普通だ。それを、何が『風邪を引いたごとき』だ。
……じゃあ、どいてくれ。仕事にならん。」
「寝ろよ。」
「だから」
「大丈夫、例えお前の父親が帰ってきたらこの僕が殴り飛ばすから。僕の拳がどれぐらい強いのかはお前も知っているだろう?」
 今なら拳だけで魔王を殴り倒せる気がする。気がする、じゃない。殴り倒す。

……なぜそうなる?」
「今は考える必要ない。寝ろ、いいから、今すぐに。」
 なにが、なんだか、わからないが。不思議と、悪い気は、しない。
……ありがとう。」
「別に、これぐらいはするよ。」
 これぐらい、か。
 ……思えば、私には、その『これぐらい』すら、与えられたことがなかった。