※考察ではありません、個人の妄想と偏見のクソポエム感想文です。
長くなっちゃったんで分割して投げていきます。
いつのまにか随分間が空いてしまってました。だらしない更新ですいません。
前回の感想はこちら↓
スネについてダラダラ語ろう(1)
前置き
スネイルの描写や演出は、火ルートと解放者ルートの2つが合わさって、初めてきちんと完成するように作られていると感じます。
彼の背負っているものや苦悩が直接描写されているルートこそ解放者ルートの方ですが、逆に彼のやってきたことが最悪の形で帰結してしまったのが火ルートの『企業勢力迎撃』だなと。
なにせ、スネイルはこのルートで「フロイトの戦死」という、アーキバスにとってもスネイル自身にとっても最悪の結果を招いてしまいますから。
もちろんフロイト自身があんな性格(マイルドな言い方)ですから、死ぬのは避けられなかったかもしれませんが。
ただ、スネイルに対処方法が無かったかと言われればそんなことは無いと思いますし、私個人としてはスネイルのそれまでの様々な行動が、間違いなくフロイトの戦死に繋がってしまっていると思いました。
AC6は全体的にこういう「結果の成否に限らず、さまざまな要因が重なり合って最悪の結果を招く」という描写が随所に見られていて、シナリオを分析していて面白いところの一つです。
というわけで、今回はこの『企業勢力迎撃』を通してスネイルのことを語ろうと思います。
・『企業勢力迎撃』の概要
まず、このミッションの状況を整理していきます。
味方陣営:Rad(指揮官:カーラ)
敵陣営:アーキバス(指揮官:スネイル)
味方の目標:ザイレムのバスキュラープラント突入
敵方の目標:ザイレム撃墜
戦場:ザイレム(飛行中)
カーラはザイレムをバスキュラープラントへ突入させるために航行し、アーキバスはこれを阻止しようとする。
ザイレムは超巨大浮遊都市とかいう規格外の船ですし、防衛機構も山ほど盛り込まれています、一朝一夕には落とせません。
しかしそこはアーキバス、お得意の技術力と物量によって兵力をこれでもかと注ぎ込んで、ザイレムに乗り込んできます。
(シュナイダーやら傘下の企業も参加しているのでしょう)
というかこれ阻止できなかったらコーラルどころか自分らも死にますし、ほぼ全戦力をここに投入していると思います。(損失もエグいし)
対するカーラはブリーフィングで「正直言って押されている状況だ」と言っています。つまり劣勢です。
戦力が足りないなら、ザイレムの外部から兵力や物資を供給する選択肢もあるでしょうが、陸地の方で敵勢力を押し留めている工作もあるでしょうし、そこから人員を調達するとなると時間的にも間に合うか厳しい上に空中で潰されるリスクが高すぎます。
なので「Rad側はこれ以上の戦力の補充ができない」と、ここで仮定しておきます。
今述べた仮定のため、Radは数でアーキバスを押し返す作戦は立てられません。
なのでカーラがやるべきことは、手元に残っている戦力を効率的に運用し、結果を出すこと。
幸いにも(?)カーラ達の目的はコーラルの焼却ですから、最悪自分たちがやられてもザイレムがプラントへ突入可能な軌道まで乗せ、確実に突入できるまでザイレムを維持できればそこで目的は達成できます。
アーキバスに勝てなくても、相手に決定打を打たせないように戦線を拮抗させることができればいい。
天秤を傾かせるのではなく、天秤を釣り合わせること。つまり時間稼ぎが大事です。
(でもここで「盤面をひっくり返すのさ」とか言うあたりこの姐ちゃん発破かけんのが上手いなあって思います)
そのためにレイヴン(621)がいます。
この時点で任務達成率ほぼ100%の独立傭兵。
経験こそ浅いですが、ルビコンの死地という死地、修羅場という修羅場を潜りぬけています。
ハンドラー・ウォルターが芯から育て上げた生粋の猟犬。
状況を打破するためにこれ以上の適任はいません。
問題は、この621をどこへ投入するか?です。
一騎当千の621とはいっても、やみくもに敵を襲わせても意味はありません。
アーキバスの兵力を前にしてはさしもの621も押し切られてしまいます。
ならば、戦力的な打撃よりも心理的な打撃の方を狙った方がいいのではないでしょうか。
何か大きな動揺を誘う材料を、相手の池にさざ波を起こすような石を投げ込むのです。
通信技術が発達し、情報が即時に戦場全体に行き渡るACの世界であれば、この方法はかなり有効だと思います。
では、誰の心理を打ち砕くか?
スネイルです。
だから、理にかなってるなと思いました。
「621をフロイトにぶつける」というカーラの作戦は。
フロイトを撃破してスネイルの動揺を誘えれば、その判断に遅れや混乱が生じる可能性を期待できます。
フロイトを撃破できないとしても、可能な限りその足を止め続ければ(フロイトが狙われ続ければ)指揮官のスネイルもそちらへ意識を向けざるを得ません。
そしてV.Ⅰがやられたという情報が行き渡れば、他の兵士たちにその動揺が波及し、攻勢の手を止められるかもしれません。
・スネイルの失敗1「自身への脅威に対する認識の薄さ」「自己の心理的な情報の漏洩」
すると、この作戦遂行にあたって疑問が出てきます。
「スネイルってそこまでフロイトに頼ってるのか?」と。
「スネイルがフロイトに心理的に依存していなければ、この作戦は成り立たないのじゃないか?」と。
ですがこれは、ウォルターが情報を引き出してくれていました。
なにせスネイルは序盤からご丁寧に言ってくれています。
「あなたの駄犬にフロイトの代わりが務まるとでも?」
……………。
いや。
ダメなんじゃね?こんなこと言っちゃ。
しかもここ、ウォルターの方からわざわざ、
「今回も第一隊長が出ると聞いているが、頼れる人材が他にいないとは不幸なことだ」とめちゃくちゃわかりやすい誘い水を出しています。
でもフロイトは「壁越え」には現れなかった。スネイルとしてはフロイトを出したかったようですが、結果的にはそれが叶っていないわけです。
そしてウォルターは「今回も」「頼れる人材が他にいない」と言ってるあたり、フロイトが任務を平気で放棄する可能性も予測している。
おそらくウォルターは、事前調査である程度はフロイトとスネイルの関係性について情報を得ていたのかもしれません。
ヴェスパーの実質的な指揮官のスネイルは、フロイトにかなり頼っている精神状態だ、と。
それを確認したかったのではないでしょうか。
後出しの意見ですが、ここでスネイルは素直にフロイトの実力を誇示するような発言は
絶対にすべきではなかったのです。
できるとしたら、「フロイト以外の戦力は充分にたりています」とか、フロイトに頼っているかどうかわからない曖昧な発言に留めるべきでした。
それで誤魔化すことはできなくとも、少なくともウォルターの判断を遅らせることはできるとは思います。
(重箱の隅をつつくようですいませんが、スネイルが壁越えでは人海戦術を使ってゴリ押しの作戦立案をしていることも、それだけフロイトがいないことの穴埋めに対する不安の表れのようだと感じます)
スネイルがフロイトを頼りにすればするほど、その強さを喧伝すればするほど、他者は
「じゃあこいつを黙らせるにはフロイトを狙えば良いんだな」という情報を得ます。
ACの世界だからといって、別にACだけが人を消す手段ではありません。いくらでもやりようはあります。
なんだったら消さない方が利用価値があることも多いです。
そういった脅威に対して適切なリスク管理が、果たしてスネイルにできていたかというのは。
少なくとも「あなたの駄犬にフロイトの代わりが務まるとでも?」という発言からは疑わしさが残ります。
ウォルターとカーラが仲間なことは作中で明かされますし、どれほど情報共有していたかはわかりませんが、自分の死すらも計算にいれていたウォルターが
「スネイルを狙うならフロイトを狙え」という情報を残した可能性はあると思います。
それが、621をどう作戦に活かすか考えたカーラさんの判断に影響を与えたんじゃないかなと。
そして結果的に、フロイトが狙われることになる。
誰に対して依存しているか、指揮官がこれを露呈してしまうことの影響はかなり大きいです。
スネイルの何が一番問題だったのかと聞かれたら、私はこう答えます。
「彼は自分が狙われているという意識があまりに薄すぎた」
別にドンパチ撃ち合うのが戦場だからといって、戦場にいる人間だけが狙われるわけではありません。
目的こそ「コーラル争奪戦」という資源の奪い合いですが、そこにはあらゆる目的と思惑、そして背景をもった人間がいます。
「コーラルを狙わなくても、ろくでもない目的を持っている人間はいる」
「そしてその牙が自分に向いている可能性もある」
この認識がスネイルには薄かったのではないかと、今では思います。
ただ、この「自分は狙われない」という認識は決してスネイルのマイナスな面だと単純に言えないと思っています。
そういう風に考えてしまうだけの
独自理論が、彼の中にできてしまっている。
これについても後に語ります。
・スネイルの失敗2「情報に対する認識を更新することの不足。そして部下とのコミュニケーション不足」
「戦争において確実なものなど何もないが、戦争において何ものも運任せにすべきではない」
アントゥリオ・エチェヴァリア著「軍事戦略入門」
洋の東西を問わず、戦況とは常に不確実性を孕んでおり、その動向を予測することは困難です。
しかし不確実だからと言って対処を放棄しては勝てるものも勝てません。
不確実だからこそ、目の前の情報を重要性によって分類し、精査し、分析し、結論をだす。
自分たちにとって最善の状況を手繰り寄せる戦略をとり、その可能性をできるかぎり大きくしなければいけません。
そしてその最善の可能性に近づくための手段の一つが「情報共有」です。
どんなに重要な情報でも、関係ない人に話したり、明後日の方向に共有しては意味がありません。
素早く、的確に、最も伝えるべき人物に伝えなければいけない。
ザイレムで621を迎え撃ったアーキバスの戦闘員たちは、この点において職務に忠実な連携を取り、しかるべき情報共有を徹底しています。
ザイレムに現れた621を見て「第二隊長閣下に報告。例の独立傭兵と接敵しました」と、真っ先にスネイルに報告を上げていますし、指示も仰いでいる。
ですが、ここでスネイルは「些事は任せます」と部下に伝えています。
まあスネイル序盤から621の実力を軽視していますし、地上の火消しに忙しいとも言っています。部下に任せて問題ないと判断したのでしょう。
ただですね、冷静に。冷静になって考えてほしいんですが。
この時点の621って、些事と言える存在ですか?
プレイヤー的には何度もゲームオーバーになっているかもしれません。
しかしストーリーとしては、ここまで生き残った621は間違いなく独立傭兵として名をあげており、ミシガンですらレッドガンの総力をあげ、自らうって出る存在になっているのです。
スネイルの問題点は
621に対する認識を更新していないことです。
この、「情報を更新する思考の欠如」は戦場では非常に問題があります。
以前見た敵が今回も同じとは限らない。
以前通用した戦術が今回も通じるとは限らない。
戦場の状況は、戦場の情報は常に変化します。
武器も、戦術も、人も、思考も、常に変化する。一つ一つの波は小さくとも、それらがうねりを持って大きな波となったとき、劇的な変化が現れる。
それに前の項で述べましたが、
621の狙いはフロイトです。単にアーキバスの戦闘員と戦いに来たのとはわけが違います。
スネイルがもっとも精神的支柱にしているフロイトを狙っている。
確かにスネイルにとって621は、駄犬だったのかもしれない。
明日にも死ぬような、旧世代型の、骨董品も同然の使えない駒だったのかもしれない。
しかし現実として621は戦場を生き抜き、ザイレムに乗り込んできています。
この時点で621に対する情報を更新しないこと、そして621の目的が何なのか考えないことはあまりにも危険なのです。
(カーラがこのあたりのスネイルの思考の流れを読みきっていたかは断言できません。個人的には読んでるとは思いますが)
そしてさらに悪いことに、スネイルはフロイト戦の前のHC機体との戦闘でも繰り返し「些事」と言っており、フロイトの投入を確認する部下に対して「持たせなさい」とだけ指示し、それ以上のコミュニケーションを放棄してしまっています。
その上で、自らが心理的に依存しているフロイトにすら「目的はあくまでザイレムの掌握」「その駄犬は無視して構いません」と言ってしまっている。
違うのです。何もかも噛み合っていないのです。
仮にフロイトが621を無視しようとしても、621のターゲットがフロイトである以上、フロイトは狙われ続けます。
しかしスネイルがひたすらに621を無視しようとする限り、他の隊員を621の方へ向かわせず、最大限の力で621を潰すという命令が下せない。
ここで621の目的を考えなければ、スネイルは現在の状況に対する認識が更新できず、適切な指示ができないのです。
仮にです、仮に。
仮に、少しでもスネイルが621への認識を更新していればどうなっていたでしょう。
621がザイレムに現れた時点で脅威とみなし、地上よりもザイレムへの指示を優先していれば。
もっと多くの戦力を621に割くことで、その行動を止められたかもしれない。
仮に、スネイルが部下と適切なコミュニケーションを取っていたとしたらどうでしょう。
例えフロイトの死による動揺がアーキバスに生まれたとしても、部下と適切なコミュニケーションをとれれば、戦線を維持できたかもしれない。
最後の最後に頼りになるのは、何より現場の兵士たちです。
彼らがあと少しでも持ち堪えれば、621を押し留めることはできたかもしれない。ザイレムを止められたかもしれない。
部下とのコミュニケーション、適切な信頼構築。
相手の存在を認識する、当たり前の感覚。
果たしてスネイルに、それらはあったんでしょうか。
「戦争において確実なものなど何もないが、戦争において何ものも運任せにすべきではない」
フロイトが死んだ後、スネイルは完全にストーリーから消え去ります。
それが、何よりの答えでしょう。
前の記事で述べましたが、なぜ、彼は自分に対する反論や粗末な反応に対して無反応なのでしょう。
そしてなぜ、彼は他人とのコミュニケーションを取ろうとしないのか。
なぜ、彼は621に対する認識を更新しようとしないのか。
火ルートに最初に行った私は、ずっと頭の中で疑問が渦巻いていました。
なんだこのキャラ?何かおかしくないか?
指揮官なのに、ヴェスパー2なのに。決して無能な人間ではないと思うのに。
思っていたような、ただの嫌味なキャラじゃないのかもしれない。
なにか、なにかとんでもないものを。
計り知れないものを抱えているんじゃないか。この人。
すいません、長くなっちゃったんで今回はここまで。次は解放者ルートのザイレムについて、そしてスネイルの心理状態について感想を語ります。
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【参考資料】
『軍事戦略入門』アントゥリオ・エチェヴァリア著
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