ぎんちき
2025-02-10 21:35:44
9350文字
Public ブン木手
 

過去作まとめ①

雨降り短編詰め合わせ

↓以下はPixiv掲載時のキャプションです。↓
※調べてはいますが似非うちなーぐちが飛び交います!
ブン木手3本詰め合わせ。

いずれもサイト「確かに恋だった」様の「雨降りに恋10題」よりお題を拝借しております。
http://have-a.chew.jp/
①「はずむ」→「君を待つ雨の午後」「雨上がりと君の笑顔」
②「記憶――ある事件の回顧」→「こんな雨の日には」「すぶ濡れの恋心」「降りしきる夜雨」「降りしきる夜雨」
③「めいわく!」→「相合い傘の魔法」


めいわく!

 キテレツと喧嘩した。きっかけは些細なことだった。でもなんであそこまで盛り上がったのかはあんまり覚えてねぇ。気がついたらお互いヒートアップして、キテレツがどっかに行った。謝ったほうがいいのか? でも俺はそんな悪くないと思うんだよなぁ。アイツ、すぐキレるし。何かと小言っぽいし。まぁそのうち腹でも減ったら戻ってくるだろ、なんて思ってたら雨が降ってきた。でも、まだアイツは戻らない。雨自体は弱いけど、すぐには止まなそうな雰囲気だ。

「あ、丸井! やー、永四郎をどこにやったんばぁ!」
 現れたのは比嘉中御一行だ。コイツら本当にキテレツのことが好きだよなぁ。……あ、でも幸村くんが急にいなくなったら、俺たちもこうなるかも。って、冷静に考えているところでもないか。
「別に俺がどっかにやった訳じゃないけど……なんかさ、ちょっと、口喧嘩してたらアイツが外に行っちゃったんだよ」
「あい! それでまだ戻ってこないやんに?」
「えー、丸井も探すの手伝え」
 そりゃまぁ。確かにちっとも心配じゃない、って言ったら嘘になる。出ていったのはアイツの意志だけど、一因は間違いなく俺にある訳だし……。それと、もしこの雨のせいでアイツが風邪でも引いたら? そう思ったらそんなの、行くしかねぇよな。
「分かった」

 とは言ったものの、どこを探そう。合宿所から出ていったってことはないだろうけど。うーん。キテレツの行きそうなところ――……分かんねぇ……。案外図書館とか室内にいるってこともあるか……? いやでもそれなら比嘉の連中がもう見つけてるか。闇雲に探しまわるのもどうかと思うし……
……随分と大きいひとりごとですね。丸井くん」
「え? 漏れてた? って、キテレツ……
「どうしたんですか」
 ずっと雨に濡れていたのかな。ビショビショだ。でもご自慢のリーゼントはちっとも崩れてない。
「どうした、って。比嘉のみんな、心配してたぞ。永四郎が戻ってこない〜って。それと……
……丸井くんは……
「え?」
「いえ。何でもないです。いいですよ、俺は後から行きますから。放っておいてくれませんかね。もう少し頭を冷やしたいんです」
「ばーか! 身体を冷やすなよ、風邪引きたいのかよ」

 わかってんだよ。お前の欲しがってる言葉くらいさ。だから、言ってやる。
「あのさ、キテレツ、俺。俺だって、心配だったんだぜ?」
 あーなんか俺、すごくカッコ悪い。
「別に気にしてませんよ」
 コイツはコイツで超・意地っ張りだし!
「あ〜〜〜もう、めんどくせーなぁ! ほら、入れ!」
「あっ、ちょっ」
 無理やり俺の傘に入れてやった。
「お前、やっぱ寒かったんだろ」
 指先が震えているのが、この距離感だとよく分かる。こんなときに言うことじゃない気もするけどキテレツはそういうところがなんか、あれだ、ギャップ萌え? ってやつ? たぶん「愛しい」って、こういうときにこそ使う言葉なんだと思う。
 思わず空いてた左手でキテレツの手を握る。冷たい。
「ほら、もうこんな冷えてんじゃん。大人しく戻って風呂でも入ろうぜ」
「もど……ん、んん。分かりました。戻りますよ、アナタがそこまで言うのならね。でも傘は俺が持っていいですか。高さが合わなくて若干首が痛いんです」
 ほんっとに素直じゃないな。まんざらでもないんだろうに!
「うるせー! みんなに心配かけたんだからそれくらい我慢しとけよな!」
「そう言いますけどね、元はといえば」
「あーストップ! また喧嘩したいのかよ?」
 くっ、と小さく漏らしてキテレツは黙ってくれた。まだまだ言い足りなそうな顔はしてるけど。そんな表情を見ると、俺はコイツのことが好きなんだな、って再確認できる。

「キテレツ。好きだぜ」
「え、あ、えぇ……それを今、言いますか……?」
 キテレツはそっぽを向いてるけども耳まで真っ赤になってるのがよく見える。表情がコロコロ変わるわけじゃないけど、結構素直に分かりやすい反応をしてくれるよな。こういうところも本当にかわいいと思う。だからちょっと意地悪もしたくなるのもしかたねぇよな。精神面が完全に「好きな子に余計なちょっかいを出したがる小学生」とあんま変わんなくて、何だかだけど。
「なぁ、お前は? 俺のこと、好き?」
「俺は……
 そのままキテレツが腰をかがめた、と思ったら、顔が目の前に来て、唇が、重なり合った。んぇ、キス?
「丸井ー! 永四郎!」
……さて、丸井くん行きましょうか」
「お前さぁ。ズルすぎるって……
「そうですよ。俺は卑怯なんです。アナタがよーく知っている通り、ね」

 結局傘まで奪われて。でも、霧雨が火照った頬には気持ち良い。ちくしょー、まんまとしてやられた。
「すぐにやりかえしてやるからな! 覚悟しとけよ!」
 こんなの雑魚キャラの負け惜しみみたいじゃねーか! あーあ、悔しい!

*

……で、やったー、ぬーんちわじってたんば?」
 平古場がキテレツに何か聞いてる。
「うっ……ま、丸井くんが悪いんですよ」
 は? 俺?
「何だよそれ」
「アナタが言い出したんでしょう「沖縄もいいとは思うけど観光客多いだろうし、やっぱ地元の海の方がいいかな」って! いくら沖縄が小さいとはいえどこもかしこも人がいるわけじゃないんですから!」
 え、えぇ……。そんなことがきっかけで俺たちあんなにこじれたんだっけ? く、くだらない……
「おー、それは丸井が悪い」
「俺かよ!」
 思わずジャッカルみたいな言葉が出ちまった。このままやられっ放しはマジで嫌だな。あ、そうだ良いこと思いついた。
「じゃあ、こうしようぜ。今度俺が沖縄に行ったら、連れてってくれ! キテレツのとっておきの海。どうよ、天才的な意見だろい?」
「うっわ。ぬーがよ、うり」
「はぁやぁ。案外ロマンチストやっし……
 甲斐と知念のガヤは気にしないことにしておこう。
「ふふん。いいでしょう。きっと驚きますよ。沖縄 うちなーの海は別格ですからね……コホン。逆に、俺がそちらに伺ったら、連れて行ってくれますね?」
「おう! 任せとけ。海以外にも、色んなところへ連れてってやるから楽しみにしとけよ!」
 キテレツと行きたいところ、見たい風景はちょっと考えてみただけでもいっぱいある。これから少しずつ、達成していこうぜ。

*

「はーぁ、なぁ凛。ぬーんちわったーバカップルの痴話喧嘩を見せつけられてるんばぁ? 意味くじピーマン」
「諦めれー、裕次郎。ああいうのは構ったら負きどー。やくとぅ、放っておくのが一番やっし」
「んちゃ。やしが……なぁ、慧くん?」
「ぬーやてぃんしむさ! でーじやーさい! あったーは放っておいて夕飯食べに来るさー」
「おー、やさやー! はいでぇー!」
「えー、慧くん、裕次郎、待てい」
「わんも行きましょうね」
「凛もかやー……なら、わんも」