sousakuyamamusume
2025-02-06 21:48:10
2003文字
Public 一次創作
 

彼岸警邏隊

刑事ものが書きたかった

ある男の懺悔

一課にいた頃にも、こんなことがあったな。寝不足で錆び付いた頭がぼんやりと考えた。
怪異に乗っ取られた相棒を、自分の手で撃った。
撃ちたくないと思う心などそもそもなければよかった。それなら苦しむこともなかった。なんて、誰にも言えるはずがない。
「よぉ、夜更かしか。」
……旦那。」
とっくに退院した旦那は至って元気そうだ。だが、俺は
「なんだ?悩んでることがあるなら」

……こんな血だらけの手で、どうやって娘を撫でれば良い」
絞り出すような本音だ、と思う。同時に、俺のヘマでこいつを傷付けたな、とも思う。
……あんたに言っても困らせるだけだな。悪ぃ、旦那」
ったく。
撃てちまうってのも大問題だな。
「聞いた話なんだがな。とある傭兵部隊が怪異のせいで壊滅したらしい。それも、霊感が目覚めた当の本人が、一番目に発狂した男を撃てなかったが為に。」
だったら話してやるよ。
コールになる前の『ある男』の、罪の話を。
「霊感による発狂現象は、生死に触れ続けた人間によく起こる。俺が元いた傭兵部隊、ではないが、とある傭兵部隊でもそれがおこった。ま、このご時世、怪異の影響で部隊が全滅するなんざよくある話だ。そうだろ?」
……そうか?」
「まぁ、そうなんだ。それで、まぁなんだ、その男は運良く生き残っちまった。……昨日まで笑い合ってた戦友同士が殺し合うのを、見ていることしか出来なかったくせに」

「そんな言い方……ッ!」
「そう熱くなるなよ。言ったろ?『聞いた話だ』って」
そんなわけがあるか。
そんなわけがあるか……
そんな傷ついた顔で!遠い戦友を思い出す顔で!そりゃ無理があるぜ旦那……!!
「ともかく、そいつは暴れ回ってる戦友を撃てなかった。結果、部隊は全滅した。そいつが引き金を引けてさえいれば部隊は全滅しなかったろうに。お前は、撃てちまったんだなぁ……。」
撃ててしまった者がいれば、撃てなかった者もいる。まさかそれが、旦那だとは思わなかったが。
……そうだな。」
「撃たせて悪かった」
……隠す気あんのか?旦那」
「ま、建前ってやつだ。」