どうやら相性も良さそうですよ

今回喚ぶサーヴァントと、この世界は。(ここまでがタイトル)







 夢を視た。

 世界の果ての、夢を視た。

…………

 見覚えのあるなんの力も無い無害な花々に囲まれていると知って、立香は自分が本当に棺桶に収められたのかとぼうっとした頭で考えた。
 背中に伝わる感触はどちらかというと地面だったので、立香は自分が起き上がれることを確かめると、どうにかこうにか上体を起こした。
……話の途中で寝ちゃったかな……
 カルデアから来たらしい巌窟王から、今どういう状況になっているのか話を聞いていたのだと思う。燕青が来た時は立香の状況を説明するだけで精一杯だったので、お互いの現状把握がかなり遅れてしまった。
 巌窟王から聞く限り、特に下総のときと変わりないらしいが、ひとつ違うのは時間の流れだろうと思われた。立香の体感時間では三ヶ月以上が経っているにも関わらず、カルデアでは一日二日程度の時間経過なのだという。
「そして今日は二日目と一時間四十分くらいだ!」
「───」
 突然視界に入ってきた 真っ白いロクデナシグランドキャスター マーリンに、立香はすううと息を吸った。
「アルトリアにチクろ……
「ご無体な!」
 息を吐き出しながら言った立香に、マーリンがガン、と身を強ばらせた。
「しかし、実験は成功したし、もしキミがアルトリアにチクってもお説教くらいで済みそうだ」
「実験?」
「キミとコンタクトを取る実験だよ。夢を使ってね」
「ゆめ」
 立香はあたりを見回した。
 サーヴァントの夢、ということはここはマーリンの心象風景ということになる。つまりはアヴァロンだ。騎士王アーサーが辿り着いた最果ての妖精郷。
 景色だけは美しい風景に、立香は嘆息した。
「キミがあのアサシンをカルデアから召喚できたことで、カルデアはキミを補足できないまでも繋がりを得ることはできた。それを頼りにアヴェンジャーの彼が夢を通ってキミの世界に現界を果たせることを証明した」
 あとはそれに倣うだけさ、とマーリンは歌うように言った。
「勿論、様々な制約はあるけどね。たとえば、」
 マーリンが立香に向き直る。立香は目を丸くした。
「キミは、ただのサーヴァントの夢を通じてこちらに戻ってくることはできない、とかね」
……私は自分で自分を霊子分解できないから……?」
「まぁ、そんなところだね」
 サーヴァントは魔素によってその体が構成されているので、霊体化して姿を消したり、纏う衣装程度なら自分の霊基を弄ることも可能だ。
 しかし立香は人間なので、そんなことはできない。カルデアのコフィンやシステムが無ければレイシフトも覚束無いのだ。
……ん? ただのサーヴァント、ってことは……
 何か気付いたらしい立香の様子に、マーリンは笑みを深くした。
「答え合わせをしたいところだが、そろそろキミの目が覚める頃だ。あんまり話し込むと、アヴェンジャーの彼にどやされそうだしね」
「え、」
「大丈夫だ。上手くいくように、私もサポートするからね。キミは、いつものように突き進んでくれ、マイロード」
 大丈夫だよ、と遠くなる意識の中、マーリンがのんびりと声を張り上げる。立香は、閉じる瞼に、抗えなかった。





 意識が沈む。