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ながみね
2024-12-29 14:39:06
7126文字
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ささやかな贈り物
mcuの神兄弟がクリスマス前に休暇を楽しむ話
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2
「は? プレゼント交換?」
耳から入った言葉を兄にそのまま投げ返す。
呆れと信じたくない気持ち、あとは非難もそこそこ込めていたのだが、言われた側は気にせず買い物袋から食料品をとりだしている。
「ああ。二日後に近くでイベントをやるらしい。
昔の聖人の誕生を祝う集いで、プレゼント交換も楽しいからぜひ来てくれと」
「たまたま手助けしただけの、面識もない子どもに誘われて?
まさか行く気じゃないだろうな」
あんたは休養中なんだぞ!!
さすがにその言葉はのみこんだが、分かっているはずだ。いや、本当に分かっているのか?
このところ事件続きでさすがの兄も少々覇気にかける様子だったので、無理を言って休暇に連れ出したのが三日前。
元王族でもヒーローでもなく、ただの旅行者として過ごせればどこでもよかった。バカンスでなくていい、あまり顔が知られていない方がいい、だから行先はたまたま読んでいた本の作者の出身地にした。
さほど大きな街ではない。見るべきものは着いて早々に粗方なくなり、今日は何もしないことに決めた。そう、そのはずだった。今朝までは。
「招待を受けたんだ。断る理由もないだろ」
「
……
休暇の間は私に付き合ってくれるんじゃなかったのか」
「おまえは俺がついているのを理由に羽を伸ばしたいだけだろう?」
ロキは黙って手近なクッションを兄に投げつけた。ソーは避けもせず背中で受けて、「こーら」と口だけで叱る。
「あんたこそ、私を口実にして少しは羽を伸ばせばいい」
「休暇は楽しんでいるぞ? 旅先での思わぬ予定も良いもんだ」
「なるほど、それで人気者のヒーローとしてわざわざイベントを盛り上げに行くわけか」
私を置いて、と言外に滲ませながらなじると、「まさか」と兄は笑った。
「ただの旅行者としてだ。
ほら、おまえも考えるのを手伝ってくれ。プレゼントは何がいいと思う?」
安っぽいチラシをひらひら振ってみせるので、仕方なく椅子を引いて隣に座る。ざっと目を通すと、地域の小さな集まりらしい。だが、こちらの神を讃える合唱にもチャリティーバザーにもあまり興味はひかれない。
「どうせ子ども向けだろう、菓子の詰め合わせでいいんじゃないか」
「食べ物は駄目なんだと。アレルギーの問題があるだろう」
「ニューアスガルドで記念コインを作るとか言ってなかったか。あれはどうだ?」
「持ってきてない。それに金額の制限にひっかかる」
(なんだそれは)
意外と厄介な話のようで、ロキは眉をひそめた。子供の小遣い程度の予算でソーが持参するにふさわしいプレゼントとはなんだ。
「
……
そのへんの人形に私が簡単な魔法でもかけてやろうか」
「ロキ、お前の魔法の価値は金額制限以下なのか?」
「もちろん違う。撤回しよう」
ということは実家関連のちょっとした小物なども全てなしだ。準備の時間的にも、あくまで現地調達する必要がある。仕方がない。
大の男が二人して子ども向けのプレゼントに頭を悩ませている。はたからみれば間抜けな状況だった。
ふと妙案を思いつき、ロキは指を鳴らした。
「ヒーローのサインはどうだ? ちょうどここに一人いるし、オークションに出せばそこそこの値がつくかもしれない」
「おまえちょっと飽きてきただろ」
「そんなことはないよ」
そんなことはないが、狭い部屋の低い椅子に座って頭を悩ませるよりも、ひんやりとした冬の空気を楽しみたい気分だった。
「おい、ロキ!」
「すこし出てくる。プレゼントの件は覚えていたら考えるさ」
「いや俺の分はそれでいいんだが」
うん? なんとなく嫌な予感がして足を止め振り返る。ソーは当然のような顔をして続けた。
「自分の分はちゃんと考えておけよ。2日後だからな」
「
……
なぜ私まで?」
「なぜって、俺がお前を置いて行くと思っていたのか?
一緒に行くに決まってるだろ」
ロキは黙って瞑目した。
聞いてない。モータル達の場違いなイベントに参加するより部屋で本でも読んでいたい。
だがそうもいかない事情も重々わかっているので、ぐっと本音はのみこんだ。
「──涙が出そうなほどありがたい気遣いをどうも。嬉しいよ兄上」
「ああ、楽しみだな!」
返答が棒読みなことなど承知のくせに、明るく笑うその顔が今は憎らしかった。
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